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アコガれて魔法学校に入学したらそこは地獄だった(仮)  作者: 感想とかオホメノコトバとかいただけたら執筆スピード上がるタイプの奴。
入学
18/48

After5 裂け目

 

 

「……深いところまで届いているっぽいね」

「もしかして弁償かな」

「大丈夫でしょ? だって土だもん。もっかい埋めちゃえば大丈夫でしょっ」

「そうかもしれないけれど、でも地面に管とか線とか通ってたかもしれないし」

「それは……たぶん大丈夫じゃない?」

「そうかなあ、」


 膝を折ってしゃがみ、裂け目の深さを調べる。

 夕時の少し冷えた空気の動きをほっぺたに感じる。

 幅は片手がちょうど入るぐらいか、結構深いな。真っ暗で何も見えない。


「……見えーん」


 半ば独り言のようにぼそりと言う。


「……そっか」


 裂け目の向こう側で、無為は聞こえるか聞こえないかの声でつぶやいた。


 あたしは口の中に出てきた唾液を喉の奥へと引き戻した。

 こんなに心臓がドキドキするのは生まれて初めてなんじゃないかと思うぐらい、落ち着かない気持ちでいる。

 さっきから、ずっとあたしに背を向けたまま、振り返ろうとしない弟。

 不安だな。ここにいたくない。


「お姉ちゃん、俺さ」

「……なっ、何?」


 実は僕、宇宙人なんだ――とか、そう言ってくれませんか!!



「実は俺、羅野井さんから【魔王を倒すためのパーティー】に入らないかって誘われたんだ」



「エッ!!??」


 食い気味であたしは言った。混乱しすぎて声が裏返っていた。


「ななな何で?」


 ヒステリック気味の高い声になってしまったあたしを、無為はチラリとだけ見て言った。


「羅野井さんは三年後に魔王と戦うつもりで、仲間を探しているんだ。羅野井さんが魔王と一対一で戦う。その間、魔物の大群たちを相手にできる強くて体力のある魔法使いを」

「そ、それで?」

「なぜだか分からないけど、その魔法使いにならないかって……」

「……それで?」


 (三年後って、学校はどうするのかな)と思いながら続きを促した。


「それで……」


 そこで少し口ごもる。


 (ひょっとして学校辞めるのかな……)


 仮に無為がいなくなったとして、一人で学校生活を送る未来を想像してみる。

 勉強面、実技面、精神面、それぞれで困った時に相談したり、ぶつけたりする相手がいなくなる。

 ……ダメだ、いることが当たり前すぎて。リアリティのある想像ができない。

 想像できなさすぎて、ショックを感じられない。


 (いや、まだ辞めるって言ったわけじゃないし)


 とその時だった。


「夢似も一緒に来てくれるよね?」


 少し震えた声で弟は言った。




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