これがいわゆる、タイムジャンプ
良いタイトルが思い浮かばなかった・・・
「いや、別に話も何もちょっとした諸注意さ」
門をくぐり、玄関から入った途端にお帰りなさいませ、とかメイドさん?に言われて面食らったのはスルーでお願いします。
「と言うかさっさと未来に飛んでもらった方がありがたいんだが」
「そんなに簡単で良いんですか」
「いいさ。別に」
「えぇー・・・」
緩すぎる。これ騙されてるじゃ・・・いや初めから8割信じてないけど。
「まぁ、これはプロジェクトの一貫でな。過去の人間に現実を突きつけて未来を変えてもらおうという話さ」
少子化、紛争、食糧難、様々な問題を抱えた結果、全ての責任は過去から警鐘されていたにも関わらず何もしなかった過去の人間が悪いと結論付けた国連のお偉いさん方は、極秘かつ地球規模でタイムトラベルの研究を進め、完成させた。正直驚くばかりの話だが。
「それタイムパラドックスとか大丈夫なんですか」
「本当に変わってたらこんな苦労はしてないよ」
「やっぱり一筋縄では行かないんですね」
「まぁそうだろう。もしかしたら世界の修正力が働いていて、滅びの運命は変えることができないのかも知れない。もしからしたら知覚できない部分で何かが変わっているのかも知れないがね。とりあえず、私に結論を出すことは無理だ」
さて、と先輩は話を区切る。
「覚悟は良いか、少年」
先輩が俺を見据える。
「未来を変える、覚悟があるか」
「いえ、まだはっきりとは言えませんが、ただ・・・」
「ただ?」
先輩は聞き返す。
「俺は『微力だけど、無力じゃない』という言葉は嫌いです」
「結構」
先輩は笑う。
そして、機械でびっしり埋まった部屋に案内された。
「そこの上に立つんだ」
と先輩は部屋の真ん中にある台と言うかステージと言うかを指差した。
「案ずるな。私も同行するのだ」
そして二人でステージに立った。
「システム起動します」
「接続問題ありません」
研究員の声が交差するならステージが白い光に包まれる。
「さぁ、少年。記念すべき旅立ちの日だ」