それは、白い塀のある家で
僕の1024文字戦争。いや、複数枚保存すれば1024文字以上かけるんですけど、それだとモチベーション持たないので勘弁してください。
「ところで君、連絡は済んだのかい?」
「連絡?誰にです?」
「おいおい、君はこれから一年間音信不通になるんだぞ?」
あんたのせいでな。
「親しい友達とか親とか、良いのかい?」
友達は・・・まぁ大丈夫だろ。問題は親か。
「良いのかい、ってなんていえば良いんですか」
先輩は腕を組んで悩んでいる。歩きながら腕組みとか器用すぎる。
「留学に行ってきます」
前々から留学について言われてたからまぁ良い。
「金の出所は?」
「タダでした」
「それ絶対危ないやつじゃないですか」
駄目だ。やはり先輩はバカだ。タダより危ないものはない。祖母もそう言ってた。
「じゃあ私が説得しよう」
「は?」
「電話をかけてくれたまえ」
「え、は?」
なにを言い出すんだこの人は。
「早く」
「え」
「 早 く 」
「アッハイ」
直ぐに電話かけた。キレた先輩ほどおっかないものはない。
数コールで出た。早い。
「あ、お母さん、あの、前から話してた留学の件なんだけどさ、その―」
先輩に無理やり携帯を取られる。
「おい!!」
「もしもし、お母様でしょうか。私―」
先輩の説得(?)が始まった。
◇
「はい、では。いえいえお構い無く、えぇ、はい。では」
待つこと10分、先輩による説得がおわる。
「ふぅ、やはり人は騙すものじゃないな。心が痛む」
「なんて説得したんですか」
「禁則事項だ」
「おい」
それが親が騙されるのを傍らで黙って眺めてた子に対する態度か。
「まぁ気にするな。最後はそれはそれは喜んで賛成してくれたよ」
「本当に、なんて説得したんだ・・・」
触れたいけど、触れてはいけない秘密のような気もしてままならないのがなんとも言えない。
「さぁ、ついたぞ」
目の前にある、古くからある立派な、何て言うのか、厳かな建物。
「誰の家です?」
「我が家だ」
瓦の乗った白壁の塀がある家が自宅なんて人初めて見たぞ。
「とりあえず上がってくれたまえ。話しはそれからだ」