最初で最後の、時間旅行
地の文ってどう書けばいいんですかね。さっぱりです。
そして今に至る。
「答えを聞きに来た。否、答えなど求めていない。君を連れ去りに来た」
「いきなり何なんですか・・・」
俺は高校を先生達の助力でなんとか卒業に漕ぎ着け、学年最下位の成績でもギリギリ入るレベルの私立大学に何が起きたか次席で入学していた。腐っても進学校。あんなに自分を目の上のたんこぶみたいに扱ってやがった癖に教育は凄かったのか。
入学から数週間、いきなり校門で待ち伏せられて開口一番にこれだ。理解に苦しむ。ちなみに先輩は県外に出て有数の、いわゆる地元に帰れば華よ華よとちやほやされる難関大学に通っている。
が、今日は平日だ。サボって何してやがる。
「いや、問いに答えてもらおうと思って」
「すいません、覚えてません」
「嘘だ!そんなの嘘だと言ってよ!」
知るかよ。
「まぁいい。まぁ良いさ。とにかく君には一緒に来て貰う。なぁに、ちょっと一年ばっかりさ」
「それちょっとのレベルじゃないですよね!?」
「何を言うか。長い人生に比べたらちょっとさ」
先輩は昔から強情だ。しかも言い出したら聞かない。
先輩は俺の手を強引に引いて歩き出す。
「というか一年!?大学退学になりますよ!?」
「気にするな。既に休学届けは出してきた」
ハハハ、こやつめ・・・。
いい加減諦める。この先輩と三年も付き合ったのだ。この手の誘いは先輩が諦めるまで待つのが一番だと学習した。
「私、実は未来から来た人間でね」
「は?」
いくら突拍子のない先輩でも、流石に頭のネジが外れたのかと心配になる。
「ちょっとしたキャンペーンの一貫でね。過去に派遣された我々が見初めた人間を未来に連れていくっていう」
「なかなかに迷惑ですね」
「まぁ拒否すれば殺すんだけどね」
「えっ」
「未来に行ける事を誰しもが知ってたらおもしろくないだろ。大丈夫、一回しか行けないし。あと、殺すっていうのも、正確には存在自体が消えて、最初からこの世に存在しないことになるんだけど」
一方的かつ酷い話である。それはいかYESの一択しか選択肢ないじゃないか。
「という訳で、私と一緒に未来に来てもらおう」
かくして、強制的にではあるが俺の最初で最後の時間旅行が決定した。