表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

それは、よくある日常で

超不定期更新。普段に思った事を書き溜めては吐き出す作業の物語。エッセイかも知れないけど。

話は二年前に遡る。


「なぁ、君、未来に興味はないかい?」


ある夏の暑い日の部活終わり、先輩に訪ねられた。


「未来、ですか」


「そう、未だ来ずと書いて未来」


「未来・・・僕はあんまり好きじゃないです」


「どうして?未来にはいくらでも可能性がある。もちろんそれに伴ったリスクだってある。故になかなかにハイランダーかつ不定形なものだ。だからこそのわくわくを感じないかい?」


そんな笑顔で言われても。

疲れてるしあまり良い受け答えも考えるのが面倒だったので素直に自分のありのままをぶっちゃける。


「学年最下位の成績なめないでください」


「ただの通過する関門の一つさ。長い人生に比べたら一瞬だよ」


「それでも、ですよ。漠然と未来なんて言われてもまずピンと来ません。それに」


「それに?」


「僕は死ぬのが何より一番怖い」


死。生まれたものに必ず訪れるもの。

生あるものは死ぬために生きる。

なんの意味がある。

そもそも死とはなんだ。

幼少期、祖父母家に半ば居候の身だった婆さんが亡くなってから今でもずっと疑問に思っている。ふと死を考えただけで、いや、連想しただけで身の毛がよだち、恐ろしく不安になる。今だって吐き気を催しそうなくらいだ。出ないけど。

考えて答えが出ないのが余計に質が悪い。


「あー、なるほど。それは確かにわかるな。でも、君は一人で生きていけるかい?」


「どういう意味です?」


「考えてもみてくれ。例えば不老不死だったとしよう。周りの人間は次々に死ぬ。親、兄弟、仲のよかった友達、愛した人、皆だ。そして人類が滅んだ時に君は一人だ。話しかけても誰も返さない。死にたくても死ねない。そんな張り合いの無い生活が楽しいかい?怖いものに怯えて、逃げて、それで良いのかい?」


先輩の言うことだって一度は考えた事はある。ただ漠然としすぎ、かつまったくわからない先の話だ。当然答えが見つかる筈もない。


「私は嫌だね」


先輩は断言した。


「死ぬのは怖いさ。でも怖さに怯えて手を出せなくなって縮こまって何もできずに死ぬのがもっと怖いね」


「結局、これ、何の話なんですか」


当たり前の常套句を聞くのも飽きて改めて尋ねる。本当にこれは何の話なんだ。


「だから最初にも言ったろ?」


先輩は一息置いてもう一度、はっきりと言った。


「君、未来に興味はないかい?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ