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プロローグ
少年A
「まえがき」
——はぁ……はぁ……。
体育館倉庫。普段から埃っぽいその部屋には異臭が立ちこめていた。
——はぁ……はぁ……。
薄暗い部屋の中で荒い息づかいだけが響き渡り、体中がじっとりと汗で滲んでいる。髪が額にへばりつくのが気持ち悪い……。目の前で床に転がる少女、その光の無くなった目が、僕をぼんやりと見据えていた。つい先ほどまで呻き、暴れていた少女。だらしなく口の端を下げ、そこに転がっていた。
——はぁ……はぁっ……ははっ。
異質な空気が部屋を満たしていた、鼻を突く異臭、胸を強く打つ鼓動、べったりとまとわりつくような汗……その異様な雰囲気に、非現実的な光景にに、僕は。
——はははっ、あはっ、あはははっ……!!
どうしようもなく興奮していた——。
これは、僕と彼女の物語だ。