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第5話:断頭台への招待状

そして、運命の『建国記念茶会』の朝がやってきた。


 ローゼンベルク公爵家のエントランス。

 紺碧の美しいドレスに身を包んだセシリアは、しかし顔を青白くして立ち尽くしていた。

 彼女の脳裏に、あの『断頭台の不吉な悪夢』がフラッシュバックして離れないのだ。今日、私は死ぬのではないか。


「……セシリア様」


 不意に、側に控えていたエスターが、音もなく彼女の前に片膝をついた。

 彼は白手袋に包まれた手で、セシリアの震える指先をそっとすくい上げ、恭しく額を当てる。


「何があろうとも、私がおります」

「エスター……」

「この世界が貴女を糾弾しようと、神が貴女を見放そうと。このエスターの命に代えても、セシリア様の御身には爪痕一つ残させません。——私が、すべてを終わらせて参ります」


 それは、ただの護衛の決意ではない。

 修羅場を何千回もくぐり抜けてきた怪物だけが持つ、絶対的な勝利の宣言だった。


 その言葉を聞いた瞬間、セシリアの胸を満たしていた死の恐怖は、甘い痺れのような強い依存心へと変わった。

 そうだ。この男がいる限り、私に悲劇など訪れない。


「……信じているわ、エスター。行きましょう」


 かくして、役者は揃った。

 アリスが用意した「最強で無敵の暗殺シナリオ」の舞台へ、最悪のバグを孕んだ主従が、静かに足を踏み入れていく。

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