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第3話:光のヒロインの裏の顔


一方でその頃、学園の空き教室。

 「光の特待生」として王太子から寵愛を受けるアリス・マーガレットは、愛らしい微笑みを完全に捨て去り、冷酷な目で一人の令嬢を見下ろしていた。


「……準備はいいわね、マリア」


取り巻きの一人である男爵令嬢マリアは、プルプルと首を縦に振った。


「は、はい……アリス様。お茶会の最中、セシリア様が用意した王太子殿下のカップに、この小瓶の毒を……」


「そう。そして私が『偶然』それを庇って飲むの。安心して、ただの芝居よ。私は数週間前から薬師の耐性薬を飲んでいるから、この程度の毒ならちょっと血を吐いて倒れるだけで済むわ」


アリスはふふっ、と可憐に——それでいて蛇のように残酷に笑った。


平民の自分が王妃の座に就くためには、高慢な公爵令嬢セシリアの存在が邪魔すぎる。

 ならば王太子暗殺の濡れ衣を着せ、大逆罪で断頭台に送るのが一番手っ取り早い。


「マリア、あなたは騒ぎに乗じて、その毒の空瓶をセシリアの席に隠すの。大逆罪の決定的な証拠よ。……もし失敗したら、あなたの実家がどうなるか、分かってるわね?」


「ひぃっ!? わ、わかっています! 必ず、必ず成功させますから!」


泣きそうになりながら立ち去るマリアの後ろ姿を見送りながら、アリスは自身の勝利を疑わなかった。


私は、この世界の主人公だ。神に選ばれた存在なのだ。

 すべてが自分の思い通りに進むシナリオの美しさに、彼女はウットリと頬を染めた。


——彼女の耐性薬の成分が、ただの健康ビタミン剤にすり替わっていることなど、知る由もなく。

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