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第1話:死刑執行人の朝

新連載スタートです!

推し(悪役令嬢)の破滅フラグを物理的かつ徹底的にへし折る、限界オタク従者の暗躍物語。

少し仄暗く、でも爽快な(?)展開を目指して書いていきます。どうぞよろしくお願いいたします!


王国の中心にそびえ立つ、王立グランシャリオ学園。

 その裏庭のさらに奥、生徒が足を踏み入れないような薬草園の隅で、エスターは『仕事』をしていた。


時刻は早朝。

 朝日が昇る前の薄闇の中、彼は手袋をはめた指先で、ある特定の薬草——『紫の毒芹』の根を精緻なナイフで削り取っていた。


この根を特殊な製法で煮詰めれば、強力な遅効性の毒薬になる。

 そして、それをごく微量ずつ、数週間にわたって摂取し続ければ、同種の毒素に対する強固な『耐性』を獲得できる。


「……そろそろ、アリス・マーガレットが依頼した闇の薬師が、この根を定期回収しに来る頃合いか」


エスターは冷たく呟きながら、削り取った毒性の根を全て自身の革袋に回収した。

 そして代わりに、見た目も匂いも全く同じだが、効能がただの『滋養強壮』になる別の根を、同じ場所にそっくりそのまま植え直した。


これでいい。

 アリスお抱えの薬師は、この偽の根を使って「毒の耐性薬」を作り、彼女に献上するだろう。

 アリスはそれを自分だけの絶対の切り札だと信じ込み、毎日欠かさず飲み続けるはずだ。

 本番——建国記念茶会で、王太子殿下を暗殺から庇って「致死毒」を煽り、美しく倒れる自分の姿を夢見ながら。


「致死量の毒をあおって、ただのビタミン剤で耐えきれると思っているなら……滑稽すぎるな」


エスターの口角が、ほんのわずかに歪む。

 前世で限界オタクだった彼が、幾千もの『死に戻り』から学んだのは、「悲劇を未然に防ぐこと」の無意味さだった。


アリスという女は、一度計画を潰された程度で諦めるようなタマではない。

 自作自演の毒殺が失敗すれば、次は馬車に細工をし、それがダメなら刺客を差し向ける。

 彼女が「ヒロイン」として振る舞い続ける限り、推しへの悪意は決して途絶えない。


だから、根絶やしにする。

 彼女自身の「絶対に成功するはずの暗殺シナリオ」の舞台上で、最も惨たらしく、誰からも同情されない形で退場させる。


エスターは立ち上がり、付着した土を完璧に払うと、いつもの「無害で有能な従者」の顔を作って主の私室へと向かった。

 推しの朝の目覚めに、完璧な紅茶を用意するために。

第1話をお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「ざまぁ展開が楽しみ!」と思っていただけましたら、ぜひページ下部の☆☆☆から応援評価や、ブックマーク登録をお願いいたします!執筆の何よりの励みになります!

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