第二十九話「会議」
リース家ラセルナ支部、会議室。
そこには、しらたま、ヴァルター、ルーベン、環の姿があった。
「王命が発令された。これで、いくら教会側も少しの間はおとなしいだろう」
ヴァルターがため息まじりに報告する。
「……あいつら、このままではいないぞ」
ルーベンの声は警戒を含んでいた。
「ああいう手合いは何言ったって通じないからな」
環が腕を組んで言う。
しらたまは、手元にあるタロットカードを静かに見つめていた。
「そのカード、真の風に目覚めたね」
ヴァルターがふと、優しく声をかける。
「……真の風?」
しらたまは顔を上げる。
「おそらく、それが君の正しいギフトの姿なんだ。君の祈りのかたち」
「わたしの……祈りの、かたち……」
しらたまの手が、そっとカードを撫でる。
「とりあえず、これからどうする?」
ルーベンが会議の主旨へと戻す。
「このままじゃ妹が連れていかれちまう」
環の目には焦りが浮かんでいた。
「……王都へ。今はそれが最善策だ」
ヴァルターが短く告げる。
ルーベンと環は無言でうなずいた。
しかし、しらたまは浮かない顔をしていた。
「……苦しいんだね」
ヴァルターがそっと語りかける。
「うん……」
しらたまは感じていた。
周りの皆が、自分を心から想い、守ってくれていること。
しらたまも、みんなが大好きだった。
だからこそ、それを壊そうとする存在を、許せなかった。
しかも──その理由が、あまりにも身勝手で。
そんな者たちに、好きな人たちが傷つけられるのは、もう見たくなかった。
あのとき、聞こえた声が胸に蘇る。
『強くなりたいかい?』
あの声が、また聞こえたとき、自分はまた──力に目覚めるかもしれない。
その希望を心に宿し、しらたまはそっと立ち上がった。
「行こう、王都へ!」




