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8.ラグお姉さんも一緒に

 ラグお姉さんの隣に座ると、優しく頭を撫でられた。

 撫でられるのって、すごく安心するんだなぁ。

 

「フィロはいい子だな。私のせいで居場所をなくしてしまったと言うのに。怒ってないのか?」

「どうして? 僕はラグお姉さんと出会えたから嬉しいよ。グラム村に帰れないのは残念だけど……でもこれからどうしよう」


 僕は散歩で森を歩くことはあったけど、村の外にずっといるのは初めてだからどうしていいのか分かんない。

 ポイも僕と顔を見合わせて、ピィーと首を傾げた。


「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」

「ラグお姉さんと一緒に?」

「そうだ。私もじっとしてるのに飽きてしまったし。一緒に広い世界を見回ろうではないか」

「世界かぁ……なんだか楽しそうだね」


 想像したら心配より楽しい気持ちでいっぱいになってきた。

 ポイも嬉しそうに僕の顔にすり寄ってくる。


「可愛い赤い鳥はポイと言ったか……ふむ。可愛い子だな。お前も一緒だぞ」

「ピピッ!」

「ポイもラグお姉さんのことが好きだって。良かった。怖くないって」

「そうか。それは光栄だ。しかし珍しいな。この子ははぐれたのか?」


 ラグお姉さんがポイに手を伸ばすと、ポイもぴょんと飛んでお姉さんの指先に止まる。


「この森の中で蜘蛛の巣に絡まっちゃってたところを助けたんだ。それから、僕の友だちになってくれて一緒にいるんだ」

「ピピピ! ピー」

「私のことも友だちにしてくれるのか? ありがとう」


 ラグお姉さんがポイを撫でてくれる。

 ポイも喜んでるし、これでみんなお友達に慣れた気がする。


「私の記憶ではこの森を抜けたところに街があったはずだ。旅をするならば冒険者になるのがいいだろう。まずは冒険者ギルドに行って登録しなくては」

「ぼうけんしゃ……なれるかな?」

「大丈夫だ。私はドラゴンだぞ? フィロは私が守る。だから共に行こう」


 そういってラグお姉さんは、ニッコリと微笑んでくれた。

 僕も笑って頷く。

 ポイもふわりと飛び上がって、クルクルと飛び回る。

 

「そうと決まれば、腹ごしらえをして休むとするか。明日の朝に出発しよう」

「はい! じゃあ、一緒に食べましょう。パンくらいしかないですけど」


 僕は側に置いたかごの中から、パンを取り出してラグお姉さんに渡す。


「半分でいいぞ。では一緒に食べるとしよう」

「はい、どうぞ」

 

 パンを半分こしてから、ラグお姉さんに渡す。

 ラグお姉さんが食べ始めたから、僕も一緒にパンをかじる。

 ポイも僕のパンを横から突いて食べ始めた。


 みんなで一緒にご飯を食べると、いつものパンも凄く美味しい気がした。

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