7.ドラゴンさんはお姉さん!
僕とポイがビックリしていると、光っているドラゴンがみるみる人の形になっていく。
「え? ええーっ!」
「ピピピーッ」
キラキラがなくなると、目の前に立派な白い角を生やした黒髪の綺麗なお姉さんが座っていた。
お姉さんは僕たちを見ながら、楽しそうに笑っている。
「ドラゴンが……お姉さんになった?」
「ふふ。名乗っていなかったな。私はドラグネス・ドラドという。グラム村の守り神とやらをしていたが、あの村長はダメな村長だな」
お姉さんは髪をかき上げながら、スッと足を組みなおしていく。
黒い洋服を着ているけど、村では見たことないようなおしゃれなお洋服だ。
長い足がちらっと見えている。
ドキドキしてしまうくらい、とてもきれいなドラゴンのお姉さんだ。
「ええと、ドラグネ……ドラ……」
「言いづらいか? では、ラグとでも呼んでくれ」
「じゃあ、ラグお姉さん。お姉さんは人間になれるの?」
「そうだ。能力……私には人間になれる力がある。村で見せても良かったが、村長に腹が立ってしまってな。つい、怒りのままに火を噴いてしまった」
悪かったと謝ってくれるラグお姉さんは優しくて、僕はブンブンと首を振った。
「しかし、容赦なく矢を放ってくるとはな。私の鱗を剥いでおきながら……図々しい。久しぶりの貢ぎ物だと思って油断した」
貢ぎ物の食べ物の中にラグお姉さんを眠らせるためのねむり草が混ぜてあったんだと思う。
ねむり草は熱が出て眠れない人に使ったりするお薬みたいなものだけど、まさかラグお姉さんの鱗を取るために使うなんて。
「きっと、みんな生きていくのに必死だったんだね。でも、ラグお姉さんをだまして眠らせるだなんて」
「そうだな。しかし私も守り神と言われていたのに貢ぎ物がないことにガッカリして、グラム村の様子を見に行ったりはしなかったからな」
「昔はラグお姉さんのところにも行っていたのかな?」
僕はよく知らなかったけど、きっとグラム村のみんなは知っていることなんだろうな。
ラグお姉さんは、そうだなと少しだけ悲しそうに笑った。
「私の住んでいるところはグラム村から森を通った先にある、崖の近くの洞窟の中だった。昔は人が良く来てくれたが、今は退屈……とても暇でな」
「そっか。ラグお姉さんのところに誰も行かなくなっちゃったんだね」
「そうだな。でも、今はフィロと話しているしな。グラム村の皆も私がいなくなっても文句は言えないだろうしな。これからは私も好きにさせてもらう」
ラグお姉さんはニッコリと笑いながら、おいでおいでをする。
僕がなぁに? と返事をするとラグお姉さんは僕の手を引っ張って近くに座らせた。