31.みんなで逃げ出そう!
お兄さんのケガも治ったところでさっさと逃げ出そうという話になったんだけど、上に戻るのは大変だしどうしたらいいのかな?
ラグお姉さんとルナちゃんは、黒い服の人たちをやっつけるのは大丈夫だって言ってたけど……みんながいるから見つからないように逃げるのが一番早いよねってことになった。
「熊、ここに連れてこられたときは上から下りてきたのか?」
「熊……俺か。名はオルソ・アベアだ。熊でも構わないが。こっちに抜け道があるはずだ」
オルソお兄さんが壁に手を当ててグッと手で押すと、カベが横にズレて薄暗い抜け道が出てきた。
ビックリしたポイが僕の肩に止まって、僕の首にすりすりしてくる。
なでてあげると、ポイも落ち着いたみたいでいつもみたいにピッって鳴いてお返事してくれた。
「なんでもいいけど、じゃあオルでいいわね。自己紹介をしてるヒマもないからさっさといくわよ!」
ルナちゃんが声をかけて、部屋に固まっていた助けたみんなに呼びかける。
僕はルナちゃんに言われて、部屋のテーブルの上に置いてあった手持ちのランプを手に持った。
みんな一斉にわーっと僕たちの近くに来たのを確認して、先に抜け道へ入ったラグお姉さんとオルお兄さんの後についていく。
「ラグお姉さんとオルお兄さんは暗い中でも見えるのかな?」
「かもしれないわね。慣れれば見える程度の暗さだけど、一体どこに続いてるのかしら」
僕とルナちゃんは後ろの方から一緒に歩いていく。
真ん中に助けたみんなを挟んで安全に逃げよう作戦! なんだけど、出口どこかなあ?
「麻酔銃で眠らされていたから、うろ覚えだ」
「秘密の出入り口で捕まえた者たちを運んでいただろうからな。そう長くかからずに地上と繋がってるだろう」
ラグお姉さんが言った先に、とびらが見えてきた。
鉄のとびらで重そうだ。
「さすがにカギがかかっているか。このとびらは分厚そうだな。この剣でまっぷたつと言う訳にはいかなそうだ」
ルナちゃんも様子を見にラグお姉さんのそばにいって、とびらをにぺたぺた触って確かめてるみたい。
「魔法でって言っても、溶かすのは時間かかるわよ」
「火を噴くにもこの狭い場所ではな」
ラグお姉さんとルナちゃんがじっととびらを見ながら考えていると、そばにいたオルお兄さんがとびらに両手を当てて二人の間に入り込む。
「押し開こう。少しでも礼がしたい」
「この鉄のとびらをか? いや、今は考えるよりやってみる方が先だ。そろそろ追手も来そうな頃合いだ」
ラグお姉さんが今度は一番後ろに来て、僕の隣に立って見張ってくれるみたいだ。
オルお兄さんは、静かにぐっと力を入れてとびらに立ち向かっていく。




