13.ギルドを探そう
ノイオゾの街は大きくて、僕にとって全部初めて見るものばっかりだ。
キョロキョロしていると、ルナちゃんが頭をグッとおさえつけてきた。
「な、なあに?」
「なに、じゃないわよ! 田舎者みたいにキョロキョロしない! 恥ずかしいじゃない」
「固いこと言うな。フィロはずっとグラム村にいたのだから、街を見るだけでも楽しいのは当たり前だ。随分賑わっているし、良い街のようだな」
ラグお姉さんの言う通り、街の中にはいろんな人たちがいる。
果物を売っている人、大きな斧を背負ってる人、僕と同じくらいの男の子たち。
みんなすごく楽しそうで、見ている僕まで楽しくなってくる。
優しそうなおばさんが甘そうな果物を売っていて、僕のお腹がぐうと鳴った。
「おいしそうだなぁー」
「そんな物欲しそうな顔をしてもダメよ。まずはお金を手に入れなくっちゃ! じゃないと服の一つも買えないんだから」
「ルナの言うこともあってるな。まずは装備を整えた方がいいだろう。フィロも着の身着のままで村を出てしまったからな。冒険者らしい服を買ってやらなくては」
ラグお姉さんは優しいな。
僕の持ち物は今持っているかごだけだ。
村にも僕の持ち物なんて元々なかったんだけど……僕のためにお洋服を買ってくれるだなんて。
「分かってるわよ。だからギルドの建物を探してるんでしょ。っていうか、ラグが変な恰好してるからさっきからやたらと見られてるのよね」
ルナちゃんの言う通り、街の中を歩いているとみんなラグお姉さんとルナちゃんを見ているみたい。
二人ともキレイで可愛いからかな?
でも、二人は人間っぽくしないとって街の中へ入る前に、角と耳と尻尾は魔法で隠してる。
だから、二人が本当はドラゴンさんとキツネさんなのは僕とポイしか分からない。
「ピピ、ピ……」
「ポイもお外が気になる? ごめんね。人がいっぱいいるからもうちょっと隠れててね」
ポケットの中にいるポイがもぞもぞして出たそうにしてるけど、飛び出さないようにお願いしておく。
ポイは残念そうだけど、静かにしてくれるみたい。
のんびり歩きながらギルドの建物を探していると、剣を持っている人たちがたくさん入っていく大きめの建物が見えてきた。
赤茶のレンガ造りで、どしっとしっかりしてる感じがする。
「ねえ、あれがそうじゃない? いかにも冒険してそうな人間がたくさん入っていくわよ」
「間違いなさそうだな。この建物がギルドだな。私たちも中へ入ろうか」
「うん!」
ラグお姉さんの後に続いて、僕とルナちゃんもギルドっぽい建物の中へ入る。
ガシャンガシャンって音を鳴らしながら歩いている人や、とんがっている帽子を被っている人、とにかくいろんな人が集まっててドキドキしてきた。




