ロウドの森の番人
ラフェスタの故郷にたどり着いた雅一達は物陰から街の様子を
観察する。すると街中には多くの人影があった。
レッド「あの兵装・・・。間違いない、バイラズ帝国軍の兵士達だ。」
ペイセル「あんなにたくさん・・・。まるで一大拠点・・・。」
雷閑「どうする?流石に街中を突っ切るわけには・・・。」
レッド「ラフェスタ。どこかに迂回路で行けるルートはあるか?」
レッドはラフェスタに迂回路がないか尋ねるが、ラフェスタは黙っている。
ラフェスタ「・・・。」
レイラ「ラフェスタ?どうかしたの?」
ラフェスタ「あ、い、いや・・・。」
雅一「無理もない。ここはラフェスタの故郷だ。占拠なんて
されてたら・・・。」
レッド「そうか・・・すまん。」
ラフェスタ「ううん、大丈夫。ありがとう。」
ラフェスタ「迂回路だったよね。それならここから少し歩いた所に川がある。
そこからなら通り抜けられるよ。」
雅一「よし、じゃあ、物陰に隠れつつ、移動しよう。」
雅一達は警戒している兵士達に気づかれないように物陰に
隠れながら移動し始め、裏道に向けて移動を開始する。
しかし・・・。
~ラッペン バイラズ帝国軍監視室~
監視員A「はぁ・・・暇だ・・・。」
監視員B「何サボってんだよ。ちゃんと仕事しろ。」
監視員A「こんな所監視しても誰も来ないっての・・・。」
監視員B「だとしてもだ。もし俺等の不注意で見逃しでもしたら、
上はめっちゃ怒るだろうよ。」
監視員A「ま、そうだろうね・・・。」
するとモニターの一つに反応が現れる。
監視員A「おや?なにか引っかかったか?」
監視員B「ほら、やっぱりなにかあるじゃないか。」
監視員が早速反応のあった映像を確認する。するとそこには雅一達が映っている。
監視員B「ん?あれ?こいつら・・・。」
監視員A「例の冒険者達だよな。まさか本当にここまで来たのか!?」
監視員B「とにかく、この事を知らせないと。」
別の監視員が雅一達の発見をラッペン拠点の本部に話す。
・ラッペン拠点本部
最高顧問使者「わかった・・・。」
最高顧問使者「裏道を支えば我々の目を欺けると思ったのか・・・。」
使者はすぐに魔法を発動させ、ある魔物を呼び寄せる。
最高顧問使者「いでよ!デスレント!」
デスレント「ギャアアア!!」
使者の魔法により、4体目の災害と言われる魔物デスレントが呼び起こされる。
最高顧問使者「デスレントよ。侵入者をこっちに連れてこい。」
デスレントは命令通りに空へ飛び立ち、雅一達の所へと向かった。
~雅一達サイド~
雅一達はラフェスタの案内のもと、裏道の川の近くまでたどり着いた。
ペイセル「きれいな場所。」
ラフェスタ「ここを抜けたら目的の場所まではすぐだよ。」
雷閑「じゃあ、早速川を渡ってしまおう。」
雅一達が川を渡ろうとした次の瞬間、ラフェスタが何かを感じ取る。
ラフェスタ「待って!」
レイラ「ど、どうしたの?いきなり止まって・・・。」
ラフェスタ「なにかが・・・来るっ!」
ラフェスタが感じ取った気配の通り、雅一達のいる場所の
上空に何者かが飛来してくる。
雅一「お、おい!上空になにかいるぞ!」
雅一達が上空を見上げるとそこにはドラゴンが空を飛んでいた。
ラフェスタ「ど・・・ドラゴン!?」
レッド「こんな所になぜドラゴンが・・・。」
雅一「(これが・・・本物のドラゴン・・・初めて見た・・・。)」
すると雷閑がドラゴンの見た目に注目し始めた。
雷閑「ん、ちょっと待て、あのドラゴンの見た目・・・。」
雷閑「全身に張り巡らせた強靭な鱗、そして銀色に輝く体に、青い瞳・・・。」
雷閑「ま、間違いないっ!こいつは・・・災害!デスレントだ!」
レイラ「さ、災害!?」
レッド「デスレントだって!?こいつが!?」
ラフェスタ「雷閑、なんでそうだと?」
雷閑「デスレントは、元々私の住んでいた国の守護龍だ・・・。」
雷閑「だが、ある時を境に守護龍から邪龍になってしまったんだと。」
レイラ「じゃ、邪龍に・・・。」
雷閑「私も詳しいことは知らないし、昔の写真でしか見たことがないけど・・・。」
するとデスレントが口を開け、火球を雅一達に放つ。
レッド「危ないっ!」
雅一達は間一髪で火球を避ける。
雅一「こ、攻撃してきた!」
ラフェスタ「みんな!とにかく今は逃げるよ!」
雅一達は来た道を全速力で戻る。しかしデスレントが
しつこく攻撃をしながら追従してくる。
レッド「くっそ、無茶苦茶な!ここは森だぞ!炎攻撃なんて!」
雷閑「あっち!」
デスレントの猛攻により、森は更に燃えていき、雅一達の行く手を阻む。
ペイセル「だ、駄目だ!四方を炎に囲まれたっ!」
ラフェスタ「ど、どうしたら・・・。」
すると少し遠くから人の声が聞こえ始める。
兵士「侵入者はこっちだ!急げ!」
雅一「や、やばいっ!騒ぎに兵士達が気づいたのかも!」
ラフェスタ「(四方を炎で囲まれ・・・。背後にはデスレント・・・。
さらに兵士が近づいてきてる・・・。)」
レイラ「ペイセル!水魔法で炎を消せない!?」
ペイセル「そ、それが・・・まだ魔力が回復しきれてなくて・・・。」
ペイセル「魔力ポーションも飲んだんだけど、効果があまりでなくて。」
レッド「魔力障害の効果か・・・まだ残ってたのか・・・。」
雅一達はすでに逃げ道を失い、すぐそこまで敵が迫ってきている。
そんな時、雅一はある行動を起こす。
雅一「ラフェスタ!少し、失礼!」
ラフェスタ「え!?ちょ、ちょっと!」
雅一はラフェスタをお姫様抱っこする。
ラフェスタ「ちょ、お、おろして!」
ラフェスタは雅一に降ろすように言うが、雅一は降ろさずに一言伝える。
雅一「このままだと、全員炎で焼け死ぬか、敵につかまって全滅だ。」
雅一「デスレントがさっきから攻撃してこないのも、おそらくあいつ自身には
俺達を殺す理由がないのかもしれない。」
レッド「雅一・・・。お前一体何をっ!?」
雅一「ここはロウドの森。ラフェスタの故郷だ。ここの地形に最も長けている人物は
お前しかいない。」
レイラ「雅一!まさか!」
雅一「ラフェスタ!俺がここからお前を投げ飛ばす!
そしたら振り返らずに走れ!」
その言葉を聞いたラフェスタは突然すぎる内容に驚愕する。
ラフェスタ「わ、私だけここから逃げろって言うの!?」
雷閑「確かに、一理ある。今ここで全員で逃げたとしてもデスレントが追従してくる。」
雷閑「それにこれ以上炎の勢いが強くなれば、更に脱出が困難になる・・・。」
雅一「あぁ、俺達でデスレントと兵士達の注意を引く。」
雅一「それでラフェスタが逃げれる時間を稼ぐんだ!」
ラフェスタ「ま、待ってよ!だったら私も一緒に戦う!」
共に戦うと言ったラフェスタに雅一は真剣な顔でラフェスタに伝える。
雅一「ここで全員つかまったら、俺達がここまで来た意味が
全部無駄に終わるんだぞ!」
雅一「ラフェスタ。お前はここでつかまって良いわけがない!生き延びて、
ここから逃げるんだ!」
ラフェスタ「そ・・・そんなの・・・」
雅一「ペイセル!煙幕ぐらいなら行けるか!?」
ペイセル「う、うん!」
ペイセルはすぐに煙幕を作り出し、雅一達周辺に濃い煙幕を作り上げ、
雅一達の姿が見えなくなった。
雅一「ラフェスタ!幸運を祈る!」
ラフェスタ「ちょ、ちょっと待って!」
雅一は勢いよくラフェスタを遠くへ投げ飛ばす。デスレントはすぐに
反応を見せたが、煙の中から雅一達がデスレントに対し攻撃を仕掛ける。
雅一「ドラゴンさん、俺達はここにいるぞ!」
デスレントは雅一達に目を向け、ヘイトを向けることに成功する。
その数分後、バイラズ帝国の兵士達が到着し、雅一達を取り囲む。
兵士達「いたぞ!例の冒険者達だ!」
兵士達「取り押さえて連行しろ!」
~一方ラフェスタサイド~
投げ出されたラフェスタは、振り返ることなく、
一目散に涙を流しながら現場を後にする。
ラフェスタ「(みんなっ!ごめんっ!必ず・・・助けに行くから!)」
ラフェスタは森の奥へと進んでいき姿を消した。




