初の異世界とボロボロの少女
ライフ「なんじゃ、また考え事か?」
雅一「あ、いや・・・元の世界でまだ色々やり残した事があったなぁって思って。」
雅一は気持ちを切り替え、改めてこの世界のことを
知るためにライフさんに更に質問をする。
雅一「それより、この世界にいる魔物って具体的にはどんなのがいるんですか?」
雅一「魔物も千差万別じゃな、低級の魔物から最上級の魔物まで、
中には人間と友好的な魔物もいるのう。」
雅一「魔物っててっきり人間に危害を加えるだけかと思ったけど、そうゆうわけではないんだな。」
ライフ「そうじゃ、ただし、この世界に君臨する最強の魔物達
【通称:災害】と呼ばれている奴は別格じゃ。」
雅一「災害?そんなに強いの?」
ライフ「強いどころではない。国一つ滅ぼせるほどの力を彼らは持っている。
まず戦いに挑むものはいない。」
雅一「え・・・じゃあ冒険者ってめっちゃ怖い職業なんじゃ・・・。」
ライフ「安心せい、災害と戦うのはS級の仕事じゃ。そこらの冒険者ではまず戦わんよ。」
ライフ「冒険者の大半は薬草採取、洞窟調査、魔物の討伐依頼、及び生態調査等をやっておる。」
雅一「冒険者って猫探しとかしたり、便利屋みたいに雑用の依頼を受けたりするものだと
思ってたけど、ぜんぜん違うのな。」
ライフ「それは地元の警察の役目じゃよ。冒険者は冒険者としての仕事があるんじゃ。」
雅一「(この世界は、どうやら俺の知っている異世界とは少し違うようだな・・・。)」
馬車は森の中を走り続ける。雅一はふと思ったことをライフに話す。
雅一「ねぇ、ライフさん。この森にも魔物って居たりするの?」
ライフ「あぁ、いるとも。」
雅一「じゃあ、襲われたらひとたまりもないんじゃ・・・。」
ライフ「ハッハッハ、確かに危険な魔物もいるが、
この森にそんな魔物はいないから安心せい」
雅一「そ、それなら良いのだけど。」
馬車を勧めていくと少し馬車の休憩タイムに入る。
雅一もライフさんが持っていた水と軽食をいただく。
・休憩タイム
雅一「(異世界で初めての食べ物か。元の世界とあんまり変わらないのもあるのか。)」
ライフ「馬車はちゃんと馬を休ませないとならんからのう。車さえあればのう。」
雅一「車があるの?」
ライフ「あぁ、一部の発展した都市には機関車もあるぞ。
魔法文明は結構発達しているのだが、
このエリアはかなりの秘境だからのう。馬車が主流なんじゃ。」
雅一「そ、そうなのか。」
雅一「(車に機関車・・・魔法文明とかも言ってたし・・・魔法で動くのか・・・。
なにそれ、超見てみたい!!)」
休憩している所に小さい魔物が雅一達に近づいてくる。
雅一「ん?あれは?」
ライフ「ほう、スライムじゃな。この森に出てくる魔物じゃな。」
雅一「これが魔物か・・・倒したほうが良くないですか?」
ライフ「安心せい、こやつは危害加えることはない。なんなら触ってみると良い」
雅一「そうか、なら安心・・・って、え!?触る!?俺が?」
ライフ「そうじゃ。」
ライフさんは満面の笑みを浮かべる。
雅一「(魔物に触るなんて・・・大丈夫なのか?)」
雅一は慎重にスライムに手を伸ばした。スライムは特に襲ってくる気配もなく
その場に大人しく留まっている。
そして雅一がスライムの頭を軽く撫でる。
雅一「おぉ、触った・・・初めて魔物に触ってる・・・。」
ライフ「ほら、大丈夫じゃろ?」
雅一「そうだね。それに、嬉しそう。(後少し冷たくて気持ちいいな。)」
撫で終わるとスライムが少し移動し、道から外れた所へ移動した。
スライムは俺とライフに来てほしそうにぴょんぴょん跳ねていた。
雅一「ん?どうしたの?」
ライフ「なにやら森の奥に案内しているようじゃ、どうする?
町に行くことを優先するか?」
雅一「町には後どれくらいで着きますか?」
ライフ「少なくとも一泊はしないと厳しいじゃろうな。」
雅一「んー、じゃあちょっと行ってこようかな。
ライフさんはここに残ってもらっても?」
ライフ「あぁ、構わないぞ。何かあったらワシを呼んでくると良い。」
雅一「わかった。それじゃあ、いってきます。」
雅一はスライムの誘導に従い道を外れ、森の奥へついていくことにした。
・森の奥
雅一「一体、どこまで行く気なんだろう。結構深い森だけど、大丈夫か?」
ライフと分かれて数十分後ついにひらけた所へ出てきた。
雅一「ようやくひらけた所へ出たなぁ。ん?何だあれ?」
雅一は開けたエリアの真ん中に倒れ込む一人の少女を発見する。
雅一「えっ?人が倒れてる!?」
雅一は思わず駆け寄る。
俺は倒れてる少女に向かって駆け寄り、呼びかけを行った。
雅一「おい、大丈夫か・・・ってこれ、猫耳?人間じゃない!?」
雅一「いや、猫耳も驚くけど、ひどい怪我・・・早く治療しないと!」
雅一「でも、こんな重症患者俺の手で直せるはずないし・・。どうしたら!」
雅一はある事を思い出す。
雅一「そうだ、ライフさんならなんとかしてくれるんじゃないか?
商人なら治療薬とか持ってるかもだし・・・。」
雅一「しかし、ここを離れるわけにも・・・。」
雅一はスライムの方を見る。
雅一「魔物に・・・伝言を頼むことってできるのかぁ?」
雅一「ええいっ!迷ってる暇はない!」
雅一はスライムにこの状況を伝えてもらうように頼み込む。
伝言を伝え終わるとスライムはそそくさともと来た道を戻る。
雅一「大丈夫だよな・・・。」
~一方ライフサイド~
ライフは雅一の帰りをお茶を飲みながらゆっくりと待っている。
ライフ「雅一遅いのう。」
すると草むらからさっきのスライムが勢い良く飛びててきた!
ライフ「うぉ!な、なんじゃ!?」
スライムはライフに雅一から頼まれた伝言を体を柔軟に動かし、伝えようとする。
ライフ「なんじゃ?人の形で・・・地面に寝てる・・・。」
ライフ「もしかして・・・人が倒れていると言いたいのか?」
スライムはうなづき、ライフは状況を考察する。
ライフ「この森でそのような事が起きる事は考えにくいが・・・。
とにかく、そこに案内してくれるか?」
~雅一サイド~
雅一「ちゃんと伝えられたよね・・・。」
雅一「いや・・・相手はスライムだ・・・
会話もできない魔物に伝言を頼んでどうするんだ・・・。」
するともと来た道からさっきのスライムが現れる。
雅一「おぉ、戻ってきた!ライフさんには伝えた?」
ライフ「おーい、雅一。」
ライフがその後遅れて現場に到着する。
ライフも倒れている少女をみて驚く。
ライフ「こいつは驚いた・・・猫族じゃよ。こんな所で出会えるとは・・・。」
雅一「猫族・・・。珍しいんですか?」
ライフ「こんな辺境の地ならなおさらな。
今はそれよりもこの傷を治療しないとならん。」
ライフ「足に矢も刺さっている所を見るとかなりひどくやられたようじゃな。」
雅一「治療できますか?」
ライフ「なんとかね。」
ライフ「雅一。近くに池があるはずじゃ、そこから水を汲んできてくれ。」
雅一「あ、はいっ!」
こうして、猫族の少女の治療が始まった。
雅一はライフの指示の元動き、治療の手伝いをした。
矢を抜く際もスライムとの共同で出血量を最小限に抑え、治療を行った。
そして治療が完了するとあたりは夕暮れ時になっていた。
ライフ「さて、これで治療は終わりじゃ。」
雅一「この子、目を覚ましますかね。」
ライフ「猫族は人族よりも頑丈だからのう。
しばらくしたら目覚めるじゃろ。」
ライフ「さて、今夜はもう遅い。ここで寝泊まりするとしよう。」
雅一「野営か・・・。」
ライフ「不安か?」
雅一「ずっと、安全で快適なベットで寝ているもので・・・。」
ライフ「野営をあまりしたことないのか、じゃあ、ワシが色々教えてやろう。」
こうして、雅一は異世界に来てから初めての野営を体験することとなった。