難民キャンプと一国の王女
雅一はテントエリアに近づいてまじまじとテントを見ている。
雅一「なんだろうこのテント。」
雅一はあたりを見回すと、立て看板を見つけた。そこには難民キャンプの文字が
刻まれていた。
雅一「難民キャンプ!?これが・・・。」
初めて生で見る難民キャンプの規模に雅一は唖然としてしまう。
雅一「もしかして・・・ここにあるテントすべてが・・・。」
雅一が難民キャンプを見ていると身長が低く、太った見た目をした
謎の男性が後ろから雅一に話しかけ始めた。
???「お前さん、ここに一体何のようですかな?」
雅一は声のした方を振り向いた。
雅一「あ、すみません。大きいテントが見えたものですから気になって。」
???「そうか。あんまりおもしろいものではなかったでしょう。」
雅一「はい、まさか難民キャンプだとは思いませんでした。」
???「ここの難民キャンプはバイラズ帝国の侵攻によって住処を奪われた者たちだ。」
???「難民キャンプは今各地に点在しておる。このベーレント難民キャンプ場には
8万人もの人が身を寄せ合って暮らしている。」
そのあまりにも多い人数に雅一は驚きを隠せなかった。
雅一「は・・8万人も!?」
???「全体総数でいうとそれぐらいですな。ここはその一部で8000人を収容しています。」
???「しかし、時間が経てば経つほど難民の数は増え続け、テントも食料、衣服、
医療物資など、あらゆる場面の支援が不足していますよ。」
???「一部ホテルなども解放してはいますが、それでも余った人は・・・。」
雅一「外で野宿ですか・・・。」
???「そうするしかありません。このベーレントはまだ食料に関しては余裕があるので
まだ恵まれている方ですよ。」
雅一はこの時、本当に自分が戦争状態の渦中にいる事を改めて再認識した。
雅一「(これが・・・戦争で居場所をなくした人達・・・。)」
雅一「(元の世界じゃあ、どこか遠い国の出来事って思ってたけど・・・。)」
雅一が再認識している所に男性が質問をしてきた。
???「そういえば、あんたは一体どこから来たんですか?」
雅一「あ、えーっと・・・エルダっていう所から。」
???「あの辺境の街ですね。それで、どうしてこのベーレントに?」
雅一「それが・・・。」
雅一は男性に対し自分達がバイラズ帝国を止めるために旅を続けていることを伝えた。
男性も聞いた最初はとても驚いていたが、すぐに冷静さを取り戻した。
???「そうか、バイラズ帝国にわざわざ向かうんですね。」
雅一「まぁ、自分はその女の子に感化されてついていくことになったんですけど。」
すると男性はあることを思い出し、雅一を難民キャンプの中を案内し始めた。
???「そういえば、お前さんらと同じ目的を持った人物がいるぞ。」
雅一「え?ほ、本当ですか?」
???「ついてきなさい。案内してあげますよ。」
???「自己紹介が遅れたな。私はモーグリ。ここの難民キャンプを管理している」
雅一「佐藤雅一です。よろしくお願いしますモーグリさん。」
二人は軽く自己紹介を済ませ、モーグリの案内で難民キャンプの奥へと案内された。
~難民キャンプ 東南サイド区画~
モーグリの案内でとある二人の紹介をしてくれた。
モーグリ「ご紹介しましょう。こちらはブレスト王国第一王女のアルメス・レイラ」
モーグリ「そしてこちらが同じくブレスト王国のレイラお嬢様の護衛の雷閑。」
雅一「えっ?第一・・・王女?」
レイラ「モーグリさん。その人一体誰ですか?」
モーグリ「あぁ、この人は旅の途中でここに寄った冒険者ですね。」
モーグリ「この青年はバイラズ帝国に戦いを挑むために仲間と共に冒険している最中
とのことですよ。」
雅一も軽く自己紹介を済ませるが、レイラと雷閑の二人はまだ警戒していた。
レイラ「冒険者?その男と仲間がバイラズ帝国から送られたスパイの可能性はないの?」
雅一「(めっちゃ警戒されてるぅぅぅぅ!!)」
モーグリ「それは、冒険者バッジを見ればわかることですぞ。」
レイラはまじまじと雅一の冒険者バッジを眺める。しかし、超至近距離まで
近づいたレイラに雅一は緊張してしまう。
雅一「(き・・・金髪のエルフ・・・。やべぇ、髪の毛サラサラじゃん。)」
雅一「(だめだ、冷静になれ・・・落ち着け、落ち着くんだ俺!)」
レイラ「確かに、これは正真正銘本物の冒険者バッジね。」
モーグリ「そうでしょう。どうです?同じ目的を持つ者同士
協力できそうじゃないですか?」
モーグリの提案にレイラと雷閑は相談していた。
雷閑「どうしますか?姫様。」
レイラ「確かに、バイラズ帝国には冒険者ギルドはない。
スパイという線はなさそうね・・・。」
雅一「(あれ?俺もしかして疑われてる?)」
少しの話し合いの結果、レイラと雷閑は結論にたどり着いた。
レイラ「佐藤雅一さん。待たせてすまない。私達も一緒に同席しても
構わないだろうか。」
雅一「え?ま、まぁ俺は別に構わないけど。」
雷閑「ありがとうございます。我々も命をかけて戦います。」
レイラと雷閑が加わることになった事はいいものの、少し熱意が強く、
雅一は少し引いていた。
雅一「(バイラズ帝国に対する熱量すごいなぁ・・・。)」
モーグリ「では、この難民キャンプ退去証明書にサインを。」
レイラ「わかりました。」
レイラがサイン死に終わると、雅一、レイラ、雷閑の3人は難民キャンプの外へと出てきた。
~難民キャンプ 敷地外~
3人はこのあと、雅一の仲間であるレッドとラフェスタの待ち合わせ場所を
レイラと雷閑にも伝える。
雅一「えっと、集合時間まで後30分か。まだ余裕はありそうだな。」
雅一「それじゃあ、レイラ様と雷閑さんついてきてください。」
レイラ「そんな堅苦しくなくていいわ。レイラでいいわよ。」
雷閑「私も呼び捨てで構いません。」
雅一「そうか。それなら。二人の集合場所に向かうよ。レイラ、雷閑」
雅一の案内の元集合場所に向けて歩き始めた3人。すると雅一がレイラに対し、
ある一つの質問を投げた。
雅一「そういえば、レイラと雷閑ってなんでバイラズ帝国に挑む決意をしたの?」
雅一「やっぱり故郷を奪われたから?」
レイラ「それもあるけど・・・。それ以外にも・・・。」
少し気まずい雰囲気担ってしまい、雅一は焦る。
雅一「あ、いや、言いたくないなら言わなくてもいいんだ。」
雷閑「姫様、もし言いたくなければ私が・・・。」
レイラ「いいえ、大丈夫よ。私が話す。」
レイラ「雅一。私達がバイラズ帝国に挑む決意をした理由は、
さっきあなたが言った故郷を奪われたから取り戻すという理由と、もう一つあるの。」
雅一「もう一つ?」
レイラ「順を追って話すわ。私の故郷であるブレスト王国は戦争とは無縁の土地で
平和そのものだったわ。」
レイラ「昔からバイラズ帝国とは良好な関係を気づいていたし、軍事面でも
支えられていたおかげで、他国や魔物の進軍に悩まされることもなかったわ。」
レイラ「でも・・・私が10歳の頃に、ブレスト王国の王が新しく変わってから、
事態は悪化の一途を辿っていったわ。」
レイラは真面目なトーンでブレスト王国で起きた事を詳細に語り始めた。




