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ラフェスタとの約束

雅一達はロウドの森から数キロ離れた川の畔で一度休憩を取り始める


雅一「ゆっくりで良いから。」

雅一はラフェスタにポーションをゆっくりと飲ませる。

他のメンバーも傷を癒やしつつ経路を確認する。

レイラ「それで今どこへんまで来てるの?」

レッド「バイラズ帝国の境界線まではあと少しだ。この草原の先に見えるあの

山脈の麓に行けば・・・。」

雷閑「いよいよバイラズ帝国か・・・。」

レッド「ただ、バイラズ帝国の中がどうなっているかもわからない。

それにブレスト王国から見えた巨大な煙の事も気になる。」

レイラ「えぇ、何事も無ければ良いんだけど・・・。」

するとペイセルのお腹が大きくなり始める。

ペイセル「うっ・・・。」

雷閑「そういえば、朝からここまで来るまで何も食べてなかったな。」

雅一「だったら、一度ここでお昼にしよう。出発前に色々作っておいたよ。」

レッド「お、助かる。」

雅一達は一度腹を満たすため、雅一が用意した弁当をいただくことにした。

雅一「さて、召し上がれ。」

雅一「今回はみんなに折れの故郷の料理を味わってもらいたくてね。」

雅一が取り出した弁当にはおにぎりに、卵焼き、肉じゃが、きんぴらごぼう等、

日本の庶民的料理が並んでいた。

レッド「おぉ、これが雅一の故郷の料理たちか?」

ペイセル「あんまり見たことない料理もあるね。」

雅一「ほら、食べるなら早いほうが良いぞ。」

レッド「そうだな。いただきます。」

みんなで雅一の作った弁当を食べ始める。雅一以外のメンバーは初めて食べる

日本食の味に触れる。

レイラ「握り飯が・・・美味しい・・・。このぱりぱりした食べ物は何?」

雅一それはのりだね。海に生えてる海藻を乾燥させて表面を火で炙ったものだよ。」

レッド「ふむ、冷めても味がしっかりと染み込んでいるこの料理上手いな。」

雅一「それは肉じゃがだね。ただ、味付けが薄かったか?」

レッド「いや、大丈夫だ。逆に体に優しくて食べやすい。」

雅一は横になっているラフェスタに料理を運ぶ。

雅一「ほらラフェスタ。食べられるか?」

ラフェスタ「ありがとう・・・。」

雅一「ゆっくりで良いからな。」

雅一はラフェスタの看病を続け、少しずつ食べ物を口へと運ばせる。

その光景を見た仲間はあることを想像する。

レイラ「なんか・・・雅一、お母さんみたいだね。」

雅一「お、お母さん?」

雷閑「確かに、料理できるし、ちゃんとラフェスタの世話もできるじゃないか。」

雅一「そんな、よしてくれ・・・。そんな立派なもんじゃないよ。」

雅一「一人暮らし始めるまで全く家事を親に任せてたんだから。」

レッド「そうなのか?」

雅一「そうだよ。実家では必ず親が料理を作ってくれたし、洗濯物も干してくれた、

他の家事全般もすべてやってくれてたから何もしてなかったんだよ。」

ペイセル「じゃあ、親元を離れてからすぐは・・・。」

雅一「ご飯は基本外食か、弁当を買って食べてたね。」

雅一「部屋の掃除はまだしも、衣類の洗濯に関してはダメダメだったよ。」

レイラ「随分と苦労したのね。」

雷閑「姫様も独り立ちしたら同じ様になると思いますよ。」

レイラ「ちょっと!雷閑!」

レッド「あぁそうか、レイラは王族で暮らしているもんな。専門の料理人や

メイドとかがすべて世話してくれるし。」

レイラ「わ、私だってやればできる・・・と思う・・・。」

雅一「(そこは自信満々には言わないんだな・・・。)」

するとペイセルが元の世界にいる雅一の両親や親友の話をし始める。

ペイセル「そういえば、雅一がこの世界に来てから数年建つけど、元の世界で

両親や友人は心配してるのかな?」

雅一「さぁ、正直わからないな。多分心配はしてると思うけど・・・。」

雅一「正直、俺がこの世界に来た経緯は未だにわかってないし、

誰が自分をこの世界に呼んだのかもわからないからね。」

するとレッドがさらに踏み込んだ事を話す。

レッド「雅一は、元の世界に帰りたいと思ってたりするのか?」

雅一「・・・。」

雅一は少し考えた後、自分の気持ちを話し始めた。

雅一「正直・・・半々かな・・・。」

雅一「帰りたいという気持ちはもちろんある。でもこの数年間でお前達と共に行動して、

いろいろな出来事があったからね。もちろんその中には死ぬ思いをしたことも

痛い思いをしたこともたくさんあったけど・・・。」

雅一「でも、この世界に来ないとできなかった事にも出会えた。」

雅一「その現実があるがあるから俺はこの世界に居続けたいとも思ってるよ。」

レッド「そうか。」

雅一「なんか・・・中途半端な回答になっちゃったけど、これで良いかな?」

レイラ「別に良いんじゃない。だってそれは雅一の本心なんでしょ?」

するとラフェスタが目を覚まし、雅一の服を軽く引っ張る。

雅一「ん?どうかしたか?ラフェスタ。」

ラフェスタ「居続けたいって本当なの?」

雷閑「なんだ?さっきの会話聞いてたのか?」

ラフェスタ「少しだけ・・・。」

ラフェスタ「それで雅一、さっきの会話って本当なの?」

雅一「あぁ、そうだね。元の世界に帰りたい気持ちとこの世界に居続けたいの

半々な気持ちが今の俺の素直な気持ちだよ。」

するとラフェスタが一つ提案をする。

ラフェスタ「だ・・・だったら、私雅一にぜひ見てほしい場所があるの・・・。」

雅一「見てほしい場所?」

ラフェスタ「そこは、この世界で最も美しいと呼ばれる場所で、私もおじいちゃんに

一度だけ連れられたことがあるの。そこは美しい花々が咲き誇り、眼下には絶景、

夜になれば満天の星空も見れる場所なの。」

レッド「ルイスの丘か・・・。」

レイラ「確かに、雅一には一度見てもらいたいかもね。」

雅一「そんなに有名な場所なのか?」

ペイセル「それはもうね。この世界の住民なら知らない人は居ないよ。」

そしてラフェスタは雅一に少し照れながらある約束を伝える。

ラフェスタ「雅一、この戦いが終わって、平和になったら一緒にルイスの丘に・・・。」

雅一「・・・。」

雅一は少しだけ沈黙するが、答えはすでに決まっていた。

雅一「そんなにいい場所なら行ってみたいな。それに、最初の宿舎でも約束したしな。」

レイラ「約束?」

雅一「この世界が平和な風景をぜひ見てほしいっていう約束。それを

そのルイスの丘で叶えようじゃないか。」

するとラフェスタは小指を立てて雅一に突き出す。

ペイセル「ラフェスタ、それは?」

ラフェスタ「雅一の世界での約束を守る時使うおまじないだよ。」

雅一「そうだな・・・。指切りするか。」

雅一&ラフェスタ「指切りげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます!♪」

雷閑「なんか子供っぽいな。」

レッド「でも、あの表情見てみろよ。いい表情してるよ。」

雅一達はつかの間の休憩を取り終わり、ついにバイラズ帝国の境界線近くまで訪れる。


・バイラズ帝国境界線

境界線につくとそこには大規模な戦いの跡の残骸が残っていた。

レッド「これはひでぇな・・・。」

雅一「生存者は・・・。」

ラフェスタ「駄目・・・この近辺に私達以外に人が居ないよ。」

するとレイラはまだ残っていた旗を見つける。

レイラ「この旗・・・。もしかして連合軍の旗?」

雷閑「そういえば、中央図書館の本で見た旗と同じだ・・・。」

ペイセル「じゃあ、ここにいるのって・・・。」

レッド「あぁ、間違いない。連合軍の成れの果てだ・・・。」

雅一達は少しずつ前に進んでいく。

レッド「あんまりいろいろ見ないほうが良い。」

雅一達は極力周りを見ないようにしながら先へと進んでいく。

するとついにバイラズ帝国につながるトンネルへとたどり着く。

雅一「いよいよか・・・。」

ラフェスタ「このトンネルを越えた先が・・・バイラズ帝国。」

レッド「みんな、覚悟は良いな。進むぞ。」

雷閑「あ、ちょっと待って。馬はここに置いていこう。」

雅一「なんでだ?」

雷閑「バイラズ帝国への入口は複数ある。どこから入ったかわかるように

するためだよ。」

ラフェスタ「馬が襲われたりしない?」

レイラ「魔物は動物を襲う事は聞いたことないけどね。」

雅一「わかった。馬を近くの木につなげておこう。」

雅一達は馬を近くの木くくりつけて、増援が来た時の目印にした。

ラフェスタ「行ってくるね。」

雅一達は馬に別れを告げ、ついにバイラズ帝国へと足を踏み入れる。

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