ラッペン前線基地
~ブレスト王国 ギガントサンドワーム戦~
同時刻、メルと合流したS級冒険者の綾香とレイシンは長い戦いの末、
ようやくギガントサンドワームの討伐に成功する。
メル「ふぅ・・・。ようやく倒せた・・・。」
メル「ありがとう二人共。助かったよ。」
綾香「それで、説明してくれますか?その格好となぜあなたがここにいるかを。」
メル「あー、そうね・・・。雅一達には言いそびれたけど・・・。」
メルは綾香とレイシンに数十年前に実在したハンターであることを
伝え、ここに来たのもギルマスの判断であることも話した。
レイシン「ふぅ~ん、その強さがあって冒険者ではないんだね。」
メル「まぁ、私が試験を受けた時に色々あってね。」
メル「それで他になにか聞きたいことはあるかしら?」
綾香「いや、良いわ。それよりも、雅一達がどこへ向かったか知らない?」
綾香がそう言うとメルは指を指して雅一達が向かった方角を示す。
メル「雅一達なら向こうへ行ったよ。」
綾香「ありがとう。行こうレイシン。」
レイシン「えぇ~・・・ちょっと休もうよ~・・・。」
綾香とレイシンはすぐに雅一達の後を追い始めた。
メル「はぁ、さてと・・・この状況・・・どうやって説明したら良いかな。」
メルは巨大なギガントサンドワームの死体を見ながら、
どうギルマスに報告するかを考え始める。
~一方ロウドの森 ラッペン前線基地~
ラフェスタの故郷ラッペンに来た雅一達は、ラフェスタ以外の全員が
特殊な縄で拘束されていた。
兵士「ほら、さっさとあるけ。」
雅一「わ、わかってるから・・・。」
兵士に縄で繋がられた雅一達は敵の基地本部へと案内される。
・ラッペン前線基地 本部内
雅一達はついに基地本部にいる大本と対面する。
最高顧問使者「ようこそ、我々バイラズ帝国ラッペン前線基地へ。」
レッド「あんたがここの親玉か?」
最高顧問使者「いかにも、私はこのラッペン前線基地の司令を務める
【シュラスト】だ。どうぞよろしく。」
その名前を聞いた雅一はラフェスタと最初にあった時の会話にその名が
出ていたことを思い出す。
雅一「シュラスト・・・。あんたがラフェスタの故郷を奪った張本人か!」
シュラスト「ラフェスタ・・・懐かしい名前ですね。」
シュラスト「あの時は邪魔が入ってしまい逃がしてしまいましたが、
まさか自分から舞い戻ってくるとは思いませんでしたよ。」
レイラ「それで、私達を捕まえてどうするつもり?」
ペイセル「(私・・・こうやって捕まるの2回目なんだけど・・・。)」
シュラスト「さて、君達には私から一つ提案を聞いてもらいたい。」
雷閑「提案?」
するとシュラストは提案を雅一達に話し始める。
シュラスト「君達、我々バイラズ帝国側につけ。そうすれば命だけは助けてやる。」
雅一「な・・・何をっ・・・。」
シュラスト「君達には今日から我々の仲間になってもらうんだよ。」
シュラスト「君達の持つ特別な力をぜひ我々バイラズ帝国、いや、
ブラッド様の為に使うのだよ。」
レッド「俺達の力を・・・バイラズ帝国の為に使う!?」
レイラ「そんな提案に乗るわけないでしょ!」
するとレイラの縄に強烈な電流が走り出す。
レイラ「あああ!!」
雷閑「姫様!」
ペイセル「ちょ、ちょっと!大丈夫!」
レイラ「くっ・・・。はぁ、はぁ・・・。」
雷閑「ひ、姫様に何をした!」
シュラスト「そう怒るな。ただ電流を流しただけだ。少し生意気な口を
叩いたからね。」
雅一「お、俺達に・・・拒否権は・・・ないってことかよ・・・。」
シュラスト「その通り、ま、あんまりこの手は使いたくはない。」
シュラスト「なにせ、上からはお前達を殺すなという命令なんでね。」
レッド「ほう、殺さないでくれるとは上の者は優しいんだな。」
シュラスト「勘違いするなよ。お前達にここで死んでは困るんだよ。」
シュラスト「それに、お前達がこれから戦おうとする相手がどんな相手か、
わかっているのかい?」
シュラスト「人知を超えた最強の最高幹部に我らのブラッド様。君達が
どんな方法でも倒すことができなかった彼らに勝てると思うのかい?」
するとレイラが再び口を開き始める。
レイラ「ふ・・・ふざけた質問ね・・・。」
雅一「レイラ!」
シュラスト「何だと?」
レイラ「私達が・・・どうしてここまで来たのか・・・まだわからないのかしらね。」
レイラ「私達は・・・。」
レイラ「お前らを全員ぶちのめしに来たんだ!」
すると再びレイラに電流が走る。
レイラ「あ”あ”あ”!!」
シュラスト「まだそんな減らず口を叩けるのか?ブレスト王国の元姫様?」
雷閑「お前らっ!」
すると雅一が小声で待つように伝える。
雅一「待て雷閑。」
雷閑「ま、雅一・・・なぜ止める!」
雅一「いま俺達がここで言い争ってても意味がない。
むしろ状況は悪くなる一方だ。」
ペイセル「じゃ、じゃあどうしたら・・・。」
雅一「こういう時は、相手の言う事に対して無理に反論はしないで・・・。」
雅一はまっすぐシュラストの目を見て話し始める。
雅一「確かに、シュラストの言う通りかもしれない。」
レッド「雅一・・・お前まさか・・・。」
シュラスト「ほう、お前は話しがわかるようだな。異邦人。」
雅一「まぁ、色んな人の話を聞いてきたものでね。」
雅一「だけど、流石に今日言われてすぐに
結論を出すというのは、急すぎはしないか?」
シュラスト「ふむ・・・。」
雅一「俺達にも少し考える時間をくれないか?」
ペイセル「ま、雅一!」
レイラ「な、なんでこいつらの言う事を!」
するとシュラストは雅一の言葉を聞いてうなづく。
シュラスト「よかろう。確かに急すぎる提案であったことは謝罪しよう。」
シュラスト「お前達にも少し考える時間は必要かもしれん。」
シュラスト「今日から3日間だけ時間をやる。その間に結論を出してもらうぞ。」
雅一「(3日間か・・・。元の世界だとめっちゃ短いけど、
これぐらいなら3日もあれば・・・。)」
雅一「えぇ、では、3日後、しっかり話し合いをして結論を出しますよ。」
シュラスト「いい返事を待っているぞ。異邦人よ。」
シュラスト「おい、部屋に連れて行け。」
雅一達は案内された部屋に連れて行かれる。
・本部 宿泊棟
兵士「ほら、ここでしばらく過ごすんだな。」
兵士「良いか、余計な真似はするなよ。」
雅一「しないって、外にはめっちゃ警備いるんだし、騒ぎ起こしたら
すぐバレるでしょ。」
兵士「ふむ・・・それもそうだな。」
兵士は部屋の鍵を閉め、その場を去る。去った後を確認し、
周りに誰もいないことを確認する。
雅一「よし、そろそろいいかな?」
レイラ「ちょ、ちょっと、雅一。本気なの!?」
雷閑「あんな奴の提案にまさか乗る気じゃないだろうな?」
雅一「まさか・・・そんな気はさらさらないよ。」
雅一「あの場面で更に反論すれば状況はよりひどくなっていたと思う。」
雅一「争いを少しでも減らして時間を作る。その間に
ラフェスタやS級冒険者が来てくれれば・・・。」
ペイセル「そうなると、私達も助かる!」
雅一「そういう事だ。それに、バイラズ帝国の中に行くのにも
体力が必要だからな。一度ここで休息を取るとしよう。」
こうして雅一達は雅一の話術により、被害を最小限に抑えることに成功し、
宿泊棟で少しだけ休息を取り始めた。