十数年ぶりの新人冒険者誕生
すべての試験を終えたラフェスタと雅一は試験の結果発表を待っており、
独特の緊張感が伝わってくる。
雅一「やれることはやったけど・・・。」
ラフェスタ「大丈夫。私達ならきっと合格できるって。」
雅一「実技試験の方は良いとしても、筆記試験のほうがなぁ・・・。」
ラフェスタ「そ、そんなに難しい所とかあったっけ?」
雅一「この世界の人間じゃないから難しいの!」
二人が結果を待っていると、メルが二人の前に現れた。
メル「二人共おまたせ。試験の結果がまとまったから発表するわね。」
メル「二人の結果は・・・。」
メル「おめでとう。合格よ。二人共これで正式に冒険者の称号を得れるわよ。」
メルからの合格通知を聞いた二人は安堵する。
雅一「ふぇぇ・・・良かったぁ・・・。」
ラフェスタ「これでいよいよ。」
メル「では、この後授与式を行うから、二人共講堂に来るように。」
講堂に来るように言われたラフェスタと雅一は授与式に参加するため、講堂へ向かった。
その講堂には2年間研修に付き合ってくれたガイルやレッド、ライフ等、
顔なじみの人が参列しており、他の冒険者や一般市民も参加していた。
~講堂~
ラフェスタ「わぁ・・・人いっぱいだ・・・。」
雅一「ぼ、冒険者の授与式ってこんな盛大に行うものなのか?」
メル「では、新人冒険者授与式を執り行います。ラフェスタさん、雅一さん前へ。」
メルの合図でラフェスタと雅一は壇上へと上がっていく。
壇上に上がると初めて見るギルドマスターと対面する。
フレッド「はじめまして。ラフェスタさんと雅一さん。
私はここのギルドマスターフレッドだ。よろしく。」
雅一「(この人がギルドマスターか・・・。)」
フレッド「さて、エラ・ラフェスタ、佐藤雅一。今ここで二人を
新たな冒険者として認定する。」
フレッドから冒険者バッジが授与され、冒険者としての認定証も受け取った二人。
会場内では盛大な拍手が起きた。
授与式が終わった後、二人はレッドやライフから祝福を受けていた。
~冒険者ギルド~
レッド「改めて二人共、おめでとう。」
ライフ「2年で冒険者になれるとは、才能があるのう。」
雅一「よ、よしてくれ、そんな褒め称える事じゃないだろ・・・。」
ラフェスタ「そうね。私達の本当の目的はバイラズ帝国。まだ始まってもないから。」
レッド「そういえば、そうだったな。」
冒険者となったのは良いが雅一はあることについて悩んでいた。
雅一「これで一応冒険者ではあるけど・・・バイラズ帝国まで行くのには
それなりの準備も必要だし、何よりお金がどれだけかかるか・・・。」
レッド「いきなりは流石に無理だろう。新人冒険者が動ける範囲には制限あるし。」
ラフェスタ「そういえばそうだったね・・・。」
レッド「ま、最初は依頼をこなしてお金を稼ぐ所から初めていきな。」
雅一とラフェスタはレッドやライフから色々な事を聞き、冒険者としての生活が
いよいよ始まったのであった。
しかし、その様子を見ていた者たちがいた。
~バイラズ帝国 とある部屋~
???「それで、これが数十年ぶりに現れた冒険者と?」
兵士「はっ。研修期間はわずか2年。成長速度は極めて早いものかと。」
???「どうするの?この時点で潰す?」
???「我々に歯向かおうとする奴らだ。消しておくに越したことはないだろ。」
???「だけど、今私達も他にやるべきことがあるしねぇ。」
ただならぬ雰囲気が漂う中、一人の男が手を挙げる。
男性「その役、この私にやらせていただけますでしょうか?」
???「あんたが?できるの?」
???「あいつへの忠誠心で入った新参者が随分と大きく出たな。」
???「どうする?ブラッド。」
ブラッド「・・・良いだろう。たかが新人冒険者二人。災害クラスや我々が直々に
行く必要もないだろう。」
男性「おぉ、ありがたきお言葉。必ずやあの二名の首を持って返ってくる所存!」
ブラッド「生首持ってこられても困るが。」
会話が終わった男性はその場を後にする。
???「良いの?あんな事言って。」
ブラッド「まぁ、小手調べさ。お前達が俺に言った英雄と呼ばれる者に
ふさわしいかどうか。」
ブラッド「さてと、我々も仕事に入るぞ。全員解散だ。」
こうしてバイラズ帝国内での不審な動きが雅一達の知らない所で動き始めていく。
一方雅一とラフェスタはレッドに教えられたリーブルの森へとやってきて、
クエスト(任務)を進めていた。
~リーブルの森~
雅一「えっと・・・これがリガル草で、こっちがクチノダケか。」
黙々と森の中の野草やきのこを取っているとラフェスタが少し不満を漏らし始める。
ラフェスタ「ねぇ・・・これ本当に冒険者のやることなのかな?」
雅一「レッドも言ってただろ。新人冒険者が受けれる任務は森の野草採取とか
弱いゴブリン退治ぐらいだって。」
雅一「(まぁ、ゴブリン退治はわからくもないけど、野草採取とか猫探しとかは
俺も違うとは思うけど・・・。)」
ラフェスタ「だってさ。私達の目標はバイラズ帝国を倒すことだよ。
それとこの野草採取が一体なんの役に立つのか・・・。」
雅一「まぁ、言いたいことはわからんでもないが・・・。」
雅一「どのみち、お金が必要なんだ。仕方ないだろ。」
雅一「(異世界でも働かざる者食うべからずだもんな。」
二人はコツコツと依頼をこなしてゆき、少しずつお金を稼いで行く地道な事を
何日も続けていった。そして数週間が経過した頃・・・。
~数週間後~
雅一とラフェスタはリーブルの森で黙々と任務をこなしていた。
雅一「よし、これだけやれれば良いんじゃないか。」
ラフェスタ「まさか、数週間もやることになるとは・・・。」
雅一「でもその御蔭でお金もある程度溜まったし、買えるものも買えただろ?」
ラフェスタ「それはそうだけど・・・。」
そんなたわいない会話をしているとラフェスタが物音に気がつき、
物音のした方向を振り向く。
???「あ、良かった。人が居た。すみません、助けてください。」
草むらから現れたのは一人の男性で、雅一とラフェスタに近づいて来た。
ラフェスタ「あなた何者?」
男性「ちょ、ちょっと、拳を構えないでください・・・。」
男性「私は商人のクルドです。実は冒険者にお願いがあって・・・。」
雅一「お願い?」
クルド「はい、実は私が運んでいた荷物が魔物に奪われてしまったんですよ。」
雅一「あら、じゃあすぐにギルドに報告しないと。」
雅一がギルドに報告しようとするがクルドはすぐに取り返してほしいと頼み込む。
クルド「お願いします。とっても大事な荷物なんです。」
雅一「わ、わかったから・・・。でも報告ぐらいはするからね。」
クルド「あ、ありがとうございます!」
クルドは深々とお辞儀をし、二人を荷物が運び込まれた洞窟に案内する。
~洞窟の入口~
ラフェスタ「この中に荷物を?」
クルド「はい・・・ここから先は私はいけませんのでここまでになります。」
雅一「わかった。クルドさんだっけ。ここは比較的弱い魔物が多いけど、
あんまり屋外で待機しないように。」
雅一「荷物は無事に取り返しますのでご安心を。」
クルド「よろしくお願いします。」
こうして雅一とラフェスタはクルドの荷物を取り返すために洞窟の中へと
潜入していった。




