戦闘訓練開始!
ついに雅一とラフェスタの戦闘訓練が始まった。
今までと違い、人形は積極的に攻撃を仕掛けてくる。ラフェスタと雅一は人形の攻撃を
避けて行き、隙を見て攻撃に転じる。
ラフェスタ「はぁぁぁ!!」
ラフェスタの攻撃が人形に直撃する。しかし人形はガードをし、威力を抑える。
ラフェスタ「ガードされたっ!?」
ラフェスタ「(この人形、動きが!」
人形の動きはラフェスタの動きを読み回避、反撃、攻撃等多彩な動きを示し、ラフェスタを
苦戦させる。
ラフェスタ「このっ!やぁっ!」
ラフェスタのキックはかわされ、その一瞬のスキに人形の攻撃を受ける。
ラフェスタ「ぐっ・・・。」
一方雅一は木刀を持ち、木刀を持った人形と戦っている。
雅一「そこだっ!」
雅一は斬りかかる。木刀とは言え、動きはしっかりとしているが、中々思うように攻撃を当てれない。
雅一「また受け流されたっ!」
人形もすかさず反撃をする。防御の姿勢をする雅一だが、やはり数発受けてしまう。
雅一「いっ!いってぇ・・・。」
雅一「ぼ、木刀でもボコボコにされる・・・。」
その様子を見ていたガイルは大きい声で動きを指導し始める。
ガイル「ラフェスタ!一発の動作が大きいぞ。隙が生まれてる!」
ラフェスタ「っ!はいっ!」
ガイル「雅一、ただ剣を振るんじゃない、相手の動きをよく見ろ!」
雅一「りょ・・・了解っ!」
訓練は更に続き、二人は汗だくになりながら訓練に励んでいる。
ラフェスタ「ハァ・・・、ハァ・・・。」
雅一「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。」
ガイル「どうした?二人共手が止まっているぞ。実際の戦いの場で相手が待ってくれる事は
無いぞ。」
ラフェスタ「わかってはいるけどっ・・・。」
雅一「無尽蔵に動き回る人形相手は・・・疲れるな・・・。」
ガイル「ほら、また次来るぞ!」
疲れ切っている二人に人形が再び攻撃を仕掛け始める。
ガイルが指導をしているとその訓練の様子を冒険者ギルドのメルが見に来た。
メル「ガイルさん、どうですか?」
ガイル「お、メルか。見ての通り、まだ一ヶ月だが、着実に成長している。」
メル「でもまさか、こんな光景見れる日がまた来るとは思わなかったけど。」
ガイル「私もだ。私も教え甲斐があるというものだ。」
ガイル「しかしメル。まさかこの光景を見るだけに受付から移動したわけじゃないだろ。」
メル「えぇ、この手紙を。他の冒険者ギルドからの報告書。後で読んでおいて。」
メルはそいうと一通の封筒をガイルに渡す。
ガイル「わかった。後で目を通しておこう。ギルマスに報告は?」
メル「私が代わりに伝えておくわ。それじゃあ、訓練頑張ってね。」
そういうとメルはその場を離れて、持ち場に戻る。
その後ずっと戦闘訓練を行い続け、日が暮れてきた。
ガイル「よし、今日はここまでだ!」
雅一「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。もう・・・一歩も・・・動けない・・・。」
ラフェスタ「ハァ・・・。ハァ・・・。くっそ・・・。」
ガイル「二人共遅くまでお疲れ様。今夜はゆっくりと休むと良い。今日教えた事は忘れるなよ。」
雅一「は・・・はい~・・・。」
ガイルはその後ギルドに戻っていき、訓練場では二人だけになった。
ラフェスタ「レートは・・・まだ1000か・・・。」
雅一「やはりトントン拍子で行くわけにはいかないか。」
雅一「俺はもうクタクタで早く帰って休むとしよう・・・。ラフェスタは?」
ラフェスタは少し沈黙した後、口を開く。
ラフェスタ「私・・・まだやっていくよ。」
雅一「おいおい、大丈夫か?もう体動かないだろ?言う自分もそうだが・・・。」
ラフェスタ「自主的にでもトレーニングして少しでも早く強くなりたいの!」
ラフェスタは立ち上がろうとするが体はすでにガクガクしており、立つこともままならない。
ラフェスタ「くっ・・・!力が・・・入らないっ。」
雅一「おいおい、無茶するなっ!ちゃんと休まないと体壊すぞ・・・。」
そこにライフが姿を表した。
ライフ「こんなになるまでよく頑張っておるの。」
雅一「ライフさん。なんでここに?」
ライフ「連絡を受けての。二人がすでに動けないほどまでに疲れているということで迎えに
来たんじゃよ。」
雅一「そ、そうだったのか。」
ライフ「さぁ、早く帰ってしっかり休むと良い。」
雅一とラフェスタはライフの助けでライフの家に戻ることにした。
~一方冒険者ギルドでは・・・。~
ガイルがメルからもらった報告書を読んでいた。
ガイル「もうここまで来ているのかバイラズめ・・・。」
すると扉をノックする音が聞こえてくる。
ガイル「どうぞ。」
そこにメルが現れる。
メル「ガイルさん。ギルドマスターが呼んでる。話がしたいと」
ガイル「あぁ、今から行く。」
ガイルとメルはギルドマスターのところへ移動する。
メル「報告書の内容は。」
ガイル「あぁ、見たさ。もうすでに数カ国バイラズの手に落ちている。このスピードは
異常だ。ギルドマスターもこの事を?」
メル「知っているよ。だからこそ招集されたんだよ。」
二人はギルドマスターのいる部屋に入る。
ギルドマスター「夜分遅くにすまないね。」
ガイル「ギルマスの呼びかけなら応じるしかなかろう。」
メル「さて、報告書はすでに送っていると思うけど。ギルドマスターのフレッドさん。」
フレッド「あぁ、報告書の内容はすでに読んだ。ガイル君もそうだろ?」
ガイル「あぁ、ここ数年で鬼人の街【アフベルト】、精霊の森【ミヒルダ】鉱山都市【ルーベスト】と・・・。今わかってるだけで3つの国が陥落。他のエリアでも魔物の活性化や凶暴化、
更には変異種の確認に上位種の確認等、内容は盛りだくさんだったけどな。」
フレッド「すでに各国では対応に乗り出している国も多い、更に最強種の災害もすでに
何体か動き出しているとも聞く。」
フレッド「聞いた話だと、猫族の里にはキングゴーレムが現れたと聞く。」
メル「えぇ、すでにS級冒険者総出している事も考えると、状況はあまり良くないわ。」
メル「ここが辺境の地だとしてもその影響はいずれ来る可能性もある。」
フレッド「やはり、警戒はしておくべきか。」
ガイル「すでに近くの洞窟や魔物の出るエリアでは警戒態勢を張ってはいるが・・・。」
フレッド「このあたりに出るのは駆け出し冒険者が倒せる魔物しか居ない分、それ以外が出た時に
対処できるのが、私とガイル、そしてレッドぐらいか。」
メル「何事も無ければそれに越したことは無いのだけど・・・。」
フレッド「そうだ、例の新人冒険者希望の二人はどうだ?」
ガイル「いい感じに成長しているよ。ただ、一人前の冒険者になるまではまだまだ時間がかかる。」
フレッド「そうか・・・。ガイル途中で君を相手にした実践訓練を取り入れてくれ。」
メル「え?でもそれは・・・。あまりにもいきなりすぎるんじゃ。」
フレッド「レート5000。半分まで行ったら行うように。」
ガイル「わかりました。」
メル「ガイル!?本気なの?」
ガイル「すでに一人ねこ娘はバイラズに挑む覚悟を持っている。それに協力するという異邦人もだ。」
ガイル「すでにこの報告書の通り、バイラズの勢力が拡大していることも含めると、
そこまでかけれる時間がないかもしれない。」
フレッド「というわけだ。メル。確かに君の言う通り、ガイルとの実践訓練は人形相手の比較に
ならない、だが、異邦人の持っているというその剣の存在を確かめるのにも絶好の機会だ。」
メル「雅一の持っている剣。あぁ、確かにあまり見かけない剣ではあったけど。」
ガイル「あの剣は少し特殊ではあるが・・・まぁその話はまた後日だな。」
フレッド「まぁそんな事で、その二人を急成長させるためにガイル、力を貸してくれ。」
ガイル「もちろん。」
メル「はぁ、仕方ないわね。状況が状況だしね。」