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青に染まる3

青の街に戻って来たアタシ達。

そこで目にしたのは逃げ惑う人々。

そして大きな闇の渦を出す女の姿だった。


渦の女に見覚えがある。

ウォルターだ。


何でアイツが闇属性化してるんだ?

アタシはそう思ったが気にしている暇はない。


ヤミィの言っていたトップとの対面。

アタシ達はそれを避けるため、

しれっと街の住民の中に紛れた。


すると、ある住民が声を上げる。

おお、来たぞ!

それと同時に神々しい姿で現れた者がいた。


ヤミィは言った。

私の予想は当たったようだな、、、

そう、ヤミィの予想通りチュウジュウが現れたのだ。

光で作られたでかい猛獣が横に連なっている。

光の一族の雑兵もいる。


チュウジュウは街の民に向けて言う。

お前ら。

どこかへ行っておけ。


こうしてアタシ達が住民に紛れて逃げようとした時、

ウォルターは言った。

光の一族!

私がこうなったのは、、、

あんた達のせいよ!!!


その言葉で逃げていた街の人間の足が止まった。

逃げたいが怪しまれたらいけないと思い、

アタシ達もその場に立った。


ウォルターの言葉を聞いたチュウジュウは

それは闇属性化のことか?

仕方がないだろう?

罪を犯せばなる。

そういうふうに決まっている。

こう言った。


するとアサシネの首長が声を上げる。

そうです!

こんな奴の話は聞く必要有りません!

自身の父親を殺し、

私も殺そうとした女には相応の罰を!


それを聞いたウォルターは睨みつけるような顔をして男に

アサシネ首長、、、!

私の大好きだった人を私欲で殺したお前にもっ!

相応の罪をォォォ、、、!

そう言ってアサシネの首長を渦に巻き込もうとした。


だがトップであるチュウジュウがそんな事を許すわけもなく、

渦は彼の猛獣達によってかき消されてしまった。

そして猛獣達はウォルターを爪で切り裂きまくった。

ガァッ、、、クッァ、、、

苦しそうな声を出すウォルター。


それをこなしながらチュウジュウは言った。

アサシネ首長。

今朝この街で事件があったと聞いた。

犯人を裁くどころか見つかっていないと聞いた時は

「闇属性の位置情報が分かるだろ。

何やってんだこの街付近の光の一族は。」

そう思っていたが、、、

もしかしてお前が殺したのか?

この女の今の発言で俺は驚いたんだが。


チュウジュウはアサシネの首長を街の壁に叩きつける。


アサシネの首長は言った。

今は、、、そんな事どうでも良いじゃないですか!

彼女が暴れて、、、うっ!!!


アサシネの首長の首がチュウジュウによって絞められる。


チュウジュウが言った。

大丈夫だ。

アイツ程度なら片手間で処理できる。

それよりお前が裁くためでなく、

醜い私欲の為に一般の人間を殺したという事が

本当なのであれば、、、

一般人からの信用の損失という罪で

お前は暗い牢屋で一生暮らすこととなるな。


そう言った彼の目は一切の容赦なしという感じだった。


するとアサシネの首長は苦しそうな声で

ある方によって作られた街に仕掛けてある装置、、、!

その中に犯行前と犯行後が写っています、、、!

殺害現場の近くにあった物ですから、、、!

そこに映っている人物が怪しいですっ、、、!

てっぺんの小さなボタンを押して中身を取り出してください!

そう言って街の街頭の方を指差した。


写す?

何を言ってるんだ?

アタシは何か嫌な予感がした。


それを見たチュウジュウが言った。

街頭を指差したということは、、、

もう実装してるのか?


それに対してアサシネの首長が

首を大きく縦に振る。


それを確認したチュウジュウは

アサシネの首長の身柄を猛獣で固めながら、

アサシネの首長と部下と一緒に街頭へ向かった。

そしてボタンが押されるとてっぺんが分かれて、

中から何か出て来た。


見ていたみんなには中身がわからなかったようだが、

アタシには分かってしまった。

カメラが入っていたのだ。


チュウジュウは言った。

トップの会議で防犯用に街に仕掛けると言っていたが、、、

もう仕掛けていたとは。

アイツも行動が早いな全く。


今はそのアイツというのを恨みたい気分だ、、、

何であんなもんあるんだよ!

アタシはそう思った後すぐ行動に移した。


おい、お前ら逃げるぞ、、、

アタシが声を小さくしながら言う。


でも街の皆に紛れてなきゃいけないんじゃ、、、

そう言ったバニングだったが、

そんなこと言ってる場合ではない。


良いから逃げるぞ、、、

そう言ってアタシは無理矢理にでも皆を逃がそうとした。


アタシ達は確かカメラ付近を通っている。

この場で顔の特徴などを街の民に公表されたら

今一番近くにいる街の民にバレるかもしれないからだ。


だがアタシ達は逃げられなかった。

街の民がいきなり逃げていった後

一羽の鳥がリーファに突っ込んできたのだ。

リーファは慌てて緑属性の能力でガードした。

よく見るとそいつは光を纏っている。


その間にチュウジュウがこちらに向かって来ていたのだ。


向こうでアサシネの首長がチュウジュウに耳打ちしていた。

それのせいか!

アタシはそう思った。


チュウジュウは言った。

私の愛鳥よ。

みんなに逃げるサインを出してくれてありがとう。

そして、、、また会ったな。

お前らは何故、、、こうも秩序を乱すんだ?

逃亡だけでなく人殺しもするとは。


アタシは

バレた。と察した。


しかもチュウジュウはアタシ達がエドを殺したと思っている。

アタシの仲間もその事を察し、臨戦体制に入った。


ヤミィが言った。

人殺し?

闇属性の人間が殺してるのは見たが、、、

私達はそんな事をしていない!

私達はこの街を今すぐに出たかっただけだ!


いや

ヤミィ、、、!

この状況で言っても信じてもらえるわけないだろ!?

アタシがそう思った瞬間。

猛獣が攻めて来た。

ワシ、ライオン、ヘラジカなど強力そうな奴ばかりだ。


そしてチュウジュウが言った。

この期に及んで嘘もつくとは、、、

本当に救いようがない。


どうやらチュウジュウの怒りを余計に買ってしまったようだ。


ヤミィは例の羽でライオンなどの猛獣を刺していた。

バニングは鳥を燃やそうとするも

相手が素早く、火球が当たらない。

リーファはヘラジカの猛攻に植物で対抗するも破られて苦戦、

そしてアタシはチュウジュウと対面した。


チュウジュウが攻撃を仕掛ける。

アタシも火属性に切り替えて火球を少し出したが、

奴の方は物ともせず突っ込んできた。

そして奴はアタシの数メートル手前で二匹目のシカを出した。

これには堪らずアタシは体を捻ったが、

少しくらってしまった。



ぐおぁぁぁっ!


思わず声が出てしまった。

だが死にはしなかった。

そしてアタシを通り過ぎた

チュウジュウの方向を向くとある事に気づいたのだ。

奴のシカが前の奴より小さい。



そこでアタシは考えた。


何でわざわざあんな小さいのを、、、?

いや、、、小さいのを作ってるんじゃなくて

小さいのしか作れなかったんじゃないか?と。


アタシが考えている間にチュウジュウは


これで終わらせる、、、

と言って追撃をしてきた。

そしてチュウジュウの乗ったシカが

明らかにデカくなった。

この時にアタシは理解した。

奴は時間をかけて強い猛獣を作るのだと。


それが本当だとすると長引かせたら余計に苦しくなる。

だったら!

そう思ったアタシは、

赤属性と黒属性をすぐさま融合する!

そして火神龍を殺した最大火力のあの技。


アタシはそれをチュウジュウに放った!!!

今回はアタシの余裕がないから速射だ。


それを見たチュウジュウは顔をしかめた。


チュウジュウは言った。


さっき火球を出した時も驚いたが、

本当に属性を自在に変えられるようだな、、、

しかも合わせ技とは、、、



するとチュウジュウはシカを踏み台にして高く飛び、

アタシの目の前まで来た。

その間シカが黒炎によって焼かれ、

アタシは何とかチュウジュウの攻撃を避け、

取っ組み合いに持ち込む。


だが、、、

それも長くは続かなかった。

何かが走ってくる音。

チュウジュウがどこかへ飛ぶ。


そこでアタシの目の前に前に見えたのは

何とあの焼かれたシカだった。

これにはアタシも反応しきれず、

もろに突進を喰らってしまった。


アタシは吹っ飛ばされながら思った。

嘘だろ、、、?

あの炎は敵を焼き尽くすんだぞ!

それをものともせず突っ込んでくるとは、、、


アタシが衝撃で立ち上がれない。

シカとチュウジュウの追撃もくる。

まさに絶体絶命。

そんな時だった。


グサッ

鈍い音が鳴る。

シカの足に羽が刺さっていた。


ヤミィだ。

ヤミィが

猛獣を倒し切ってアタシのそばまで来てくれた。



ボロボロだな。

大丈夫か?


ヤミィがそう言って構える。


アタシも痛みを我慢しながら立ち上がる。

そして言った。


大丈夫。

でもヤミィが言ってたことが少し分かった気がする。

こんなの相手にしてたら死人が出るぜこれ、、、

焼き尽くすつもりで撃ったのに、、、

効果が薄すぎるんだよ。

もしかして一匹一匹あの耐久なの?

盾にされたらもうあいつ倒せないんだけど!?


それに対してヤミィが答えた。


ああ、そうだ。

私は猛獣の弱点を集中して羽で刺してるから

簡単に倒せるが、お前は器用じゃないから無理だ。

そして何よりチュウジュウ自体は動物達以上に

機敏に動くから羽なんて当てられない。


成程、改めてアタシ達が

今会うべきやつではないという事がわかった。


そしてアタシは考えた。

どうすれば奴を突破できるか。

そしてある考えに至った。


組み合わせる属性を増やせば良いと。


もちろん危険だ。

さっきアタシは属性混合をさっきやっている。

この前みたいにぶっ倒れてもおかしくない状況。

だがやるしかない。

チュウジュウを一発で沈めるために

やるしかないのだ。



覚悟を決めたアタシはヤミィに

策がある。

アタシが戻ったらみんなを逃がしてくれ。


そう言って駆け出した。



それを見逃すはずも無く、

チュウジュウがアタシを襲おうとしたが、

何とかヤミィがそれを食い止めてくれた。


アタシが向かったのはウォルターの所。

青属性を手に入れるためだ。

だが問題があった。

ウォルターが猛獣達と雑兵に拘束されていたのだ。

アタシはそいつらに炎を当てて挑発し、

アタシの元に向かわせた。


さっきのシカよりは遅い。

そいつらの行動を見てそう思ったアタシは

すぐさま植物を生やして近くの川に突き落とした。


ウォルターとの対面。

アタシが彼女に歩み寄ろうとすると

ウォルターが言った。


あなたが何者か、、、それは知らないわ。

でもそんなことどうでもいいから力を、、、

貸して欲しいの!


アタシは質問した。


、、、何でだ?

アタシ達は

エドを殺した犯人として疑われてるんだぞ?


続けてウォルターが言った。

暗殺者は、、、爆破されるって首長が言ってた。

その暗殺者が危険を晒して

わざわざ

この街に戻ってくるわけないって思ったから、、、


成程、アタシ達は

アイツに冤罪かけられたわけだ。



だったら!!!

アタシはそう思った。


そしてウォルターに大声をかけた。


ありがと!!!

ぜひ力を貸してくれ!

アタシは生きたいんだ!!!

自分の見たかった景色を見るためにも!!

今危険が迫ってる仲間のためにも!

そして、、、

お前のためにもだ!!!


それに対してウォルターが言った。

私のために?

何で?


アタシがウォルターに言い返す。


人を疑う余裕すらないんだよアタシは。

だから信じて協力するしかない。

お前もそうだろ?



確かに、、、ね。

ウォルターはそう言って口を緩ませ、、、

アタシ達は二人で握手をした。



一方ヤミィ側は厳しそうな状況だった。

ヤミィは強い。

だがチュウジュウはそれ以上だったのだ。

草食動物の突撃、

そしてアタシにさいていた分の攻撃をヤミィに集中させ、

鳥の奇襲攻撃も行っていたのだ。

ヤミィの羽の枚数には限界があった。

羽で止められなかった分は

避けたり蹴りを入れたりでもカバーしていたが、

そんなのが長く続くわけがない。

そしてヤミィはついに一発、

きつい突撃を喰らってしまった。

倒れるヤミィ。

止めを刺そうとするチュウジュウ。

だが、、、アタシがそれを黙って見てるわけがない。 


ウォルターの作った特大の渦と共に

戦場へアタシが戻ってきたのだ。


この光景に少し固まるチュウジュウ。

そのおかげでヤミィは立ち上がり、


逃げろ!


そう言ってみんなを逃がせた。



アタシの願い通り逃げる仲間達。

そして渦の中のアタシとウォルターに

一人立ち向かってくる人間がいた。

チュウジュウだ。

ここでアタシはを確実に落とすつもりなのだろう。


私もそれを察するかのように

隣のウォルターに指示を出した。

彼女の力で街の水を吸収して変形していく渦。

それはすぐに濁流となって

チュウジュウに襲いかかった。


だがチュウジュウはそんなことは気にしなかった。

なんと生み出した猛獣を足場にし、

最速でアタシ達に近づいてきたのだ。

そして言った。


この俺が、

水のせいで身動きが取れないと思ったのか!?

考えが甘いぞっ!!!



アタシ達にどんどん近づいてくるチュウジュウ。

彼の鳥も近づいてきている。



アタシは思った。


良い。

すごく良い。

もっと近づいて、、、


チュウジュウは甘く見ていた。

混合属性の技を使った時に

痛々しい傷を負ったアタシの手。

アタシの今にもぶっ倒れそうな顔。

それを見て近接で挑んだこと。

それがアタシの勝利へとつながった。

炎と水。

それらから作られ、属性は不利ではない。

水周りで起こる急激な温度の上昇により起こる爆発、

水蒸気爆発。

前のコエリにちなんで名付けるなら、、、


くらいやがれっ、、、!スジキバーハ!!!


アタシがそう叫んだ。


それをチュウジュウに放った瞬間、

アタシはウォルターと

一緒に濁流に自ら飲まれにいった。

アタシはこの技が危ないと知っているからだ。


濁流に飲まれたほんのわずか後、

大きな音を立てて

弾けるようなそんな大爆発が起こった。


体力不全で打ったはずなのに、、、

本当に恐ろしい技だ。

アタシはそう思った。


くっ、、、ぞぉぉぉぁぁ!!!

くらって苦しそうな声を上げるチュウジュウ。


しばらく経って、、、

濁流は渦へと戻り、

渦も解除し、アタシ達は綺麗に着地した。

虫の息のチュウジュウ。

どうやら鳥などをガードに使ったようだが、、、

装備も外れ、身体中が傷ついているようだった。

そして間も無くして、、、倒れた。


避難していた仲間達が駆け寄ってきた。


本当にチュウジュウを倒すとは、、、

怖さすら感じるな。


そう言ったのはヤミィだった。



、、、褒め言葉として受け取って良いんだよな?

でもまだやることがあるから後にしようぜ。


アタシはヤミィに対してそう言った。



場面が変わって、、、

街の物陰に隠れている者がいた。

アサシネの首長だ。

チュウジュウが倒され、

猛獣からの拘束が解けたので、

隠れながら

光の一族の増援が来る事を待とうとしていたのだ。


だがそれは上手くいかなかった。

拘束されていたのであまり遠くへ行けていない。

紛れようにも街の民はとっくに街の外へ行っている。

濁流のせいで街も崩壊している。

残ったわずかな隠れ場所では不可能だったのだ。


アサシネの首長はあっさりとアタシ達に見つかった。

ウォルターの殺意を恐れるアサシネの首長。

彼はウォルターの持ってきた街の残骸によって、、、

殴られまくった。


良かった。

あの女が街の瓦礫を持ってきた時点で

リーファと

バニングの目を塞いどいて本当に良かった。


心底アタシがそう思った、、、

その直後だった。


一人の男がこっちに走ってきたのだ。

それは

ウォルターの婚約者、アサシネ家の一人息子だった。



闇属性の気配が

消えてないからもしかしてと思ったけど、、、

親父、、、間に、、、合わなかったか。


息を切らしながら彼はそう言った。


待て。

間に合わなかった?

一人息子のまるで

こうなる事を知っていたかのような口ぶりに

アタシ達は驚いた。



そして一人息子は深くかがみ、

ほんっとうに、、、!

すまなかった、、、!


そう言って謝罪した。



一人息子は続けて話し出す。


俺はある日親父に声をかけられたんだ。

俺とウォルターで付き合えって。

最初は正直その話は興味なかった。

相手との面識がなかったから。

ウォルターに出会ったのは

仕事で寄った青の街だった。

その時は、、、


一人息子がその惚気話をし始めた瞬間。


時間稼ぎか?

光の一族の増援が来るまでに時間がないんだ。


そう言ってヤミィが一人息子を殺しにかかった。

そこで彼にほおに羽の刺し傷ができたのだ。



それに対して一人息子は

すまない。

話がそれてしまった。


そう言ってまた話を始めた。



アタシ含め全員が

普段ならふざけんなと思っただろうが、

今回は違った。

刺されたのに意に返すことのない

一人息子の態度を見て、

彼の死んでも構わないという意志を感じたのだ。


一人息子の話は続いた。


つい最近俺は親父と休暇を楽しんでいたんだ。

そして

酒に酔った親父がとんでもない事を言い出した。


「あのエドってやつぅ。お前の邪魔だなぁ。

死んで欲しいなぁ。殺したいなぁ。」


という感じでな。

驚いたよ。

冗談だと思った。

いきなりこんな危ない発言が飛んできたんだから。


人の死を望むんじゃねぇ!

殺人するつもりなのか親父!?

光の一族の子孫争いの件で結婚関連はトップから

許可貰わないといけないくらい厳しいんだぞ!!!

そんな事バレたら交際話どころか

アサシネ家が潰れるだろうが!!!


その場は俺がこう怒鳴って事を済ませたが、

親父は反省してる様子はなかった。

そこから俺の不安の日々が始まった。

エドという青年のためにも、

仲のいいエドが死んでウォルターが

悲しまないようにするためにも

ウォルターと急いで付き合おうと迫った。

だが一向に距離が縮まらなかった。


あの殺害予告は親父の悪い冗談かもしれない。

そんな事を考えて自分を甘やかす日もあった。

そして今日。

俺の嫌な予感はよりもっと酷い状況として

当たってしまった。

エドが死んだ時点で親父の人殺しを察したし、

ウォルターの親父を恨んだ言動から

俺の察しが確定した事実になった。


同時に後悔と悲しさが溢れてきた。

誰かに話せば親父の計画を止めれたんじゃないか。

俺がウォルターと

付き合えるくらい立派な人間になれたら

こんな事起こらずに済んだんじゃないかって。

まあこんな事を言っても無駄だと知っている。

俺のやった事は到底許されることじゃない。

だから俺は、、、ウォルターに殺されに来たんだよ。


その話を聞いたアタシ達は何とも言えない虚しさを

顔に表していた。

ウォルターを除いて。


一人息子の願いを心地よく叶えたかったのだろう。

ウォルターは

一人息子の要望通りとどめを刺そうとしていた。

一切の容赦なく。


でもそれはアタシがぶん殴って止めた。



何を、、、してるの?


そう言うウォルター。


それに対してアタシは言った。


ウォルターはさ。

何でこの状況で馬鹿息子の言う事聞くわけ?

お前が馬鹿息子を殺して何になんだ。

さっきまで人殴ってたから熱くなってるだけだろ。

馬鹿息子もさ。

何でそんなに責任を負ってんだよ。

罪が許されないんだったら許されるまで生きろよ。

ウォルターに汚れ仕事させて許されたなんて

ほざいてんじゃねーよ!!!


黙る二人。

少しは頭が冷えたようだった。

ヤミィ、リーファ、バニングも

心なしかほっとした顔をしている。


数秒経って

アタシが雰囲気を変えようと

はい!

これでおしまい!

この親父をボコボコに出来たし

もうこの街に用は無いだろ?

さっさと逃げ、、、

そう言おうとした時。



こん ばん はああああっ!!!!!

そう言って何者かが現れた。



ヤミィが驚いて言う。


あの声の張り方は、、、!

トップのうちの一人、、、!!

モディフィカっ、、、!!!



私の作った監視カメラでえええっ!

あなた達のこと見てたんだけどさあああっ!

何か濁流に飲まれて見えなくなっちゃったんだよねえええっ!

だからあああっ!

私直々に来たんだよおおおっ!


そう叫ぶモディフィカ。



アタシは

監視カメラ作ったのはコイツか、、、

そう思った。



何の、、、ようだ。


ヤミィが言う。



それに対してモディフィカは


何ってえええ!

あなた達の事捕まえに来たに

決まってるでしょーがあああ!



アタシ達の予想していた最悪の状況だった。

アタシはもうボロボロ。

ヤミィもそこそこ辛そうだ。

リーファ、バニングの二人も連戦は厳しいだろう。

ウォルターも疲れ切っている。


だが、アタシ達を助けてくれた男がいた。

一人息子だ。

彼はモディフィカにたてつきながら言った。


お願いします!

この人たちは親父に冤罪を着せられただけなんです!



それに対してモディフィカは


知ってるううう!

アサシネの首長が知らないところにも

監視カメラ置いといたからあああ!

家の中とかねえええ!

アサシネの首長が悪い事企んでてえええ!

旅人四人組が犯人じゃ無いのも知ってるううう!

でもさ!

その内三人は大犯罪者なんだよねえええ!

バニングちゃん以外はねえええ!

それにいいい!

ウォルターちゃんはどうするのかなあああ!?

人殺し、ましては親殺しだよねえええ!

私は捕まえないといけないと思うけどおおお!


そう言って私たちを逃さないつもりでいる。


そしてモディフィカが

懐から何かを出そうとしていた。

人の頭だ。

形はモヤっとしているが人だと判断できた。

戦いの始まりに悔しさを覚える一人息子。

構えるアタシ達。


アタシ達がまたこの街で戦いが始まると思った

その時だった。


何かが駆ける音。

それはモディフィカの後ろを

ど突こうとするほどの勢いで

せまっていた。


それはシカに乗ったチュウジュウだった。



そしてチュウジュウ立ち止まって言った。


話は聞いた。

モディフィカ、、、

何故監視カメラで犯人を見ていたのに

報告しなかった?

もしかして都合が悪いから言わなかったのか?



それに対してモディフィカは

やだなあああ!

そんなわけないじゃんかあああ!

チュウジュウ君!

監視カメラは多いいいい!

全部を四六時中見られるわけないだろおおお!

一日中ねぼ、、、

仮眠をとった後からカメラを見て事実を知って驚いた、、、

それだけの話だあああ!



それに対してチュウジュウは言った。


それじゃ監視カメラの意味が無いだろうが。

あともう一つ言いたいことがある。

この場は俺の願いも込めて、、、

アサシネ家の二人を捕まえ、

あの五人の中から一人選んで捕まえろ。

そして余った四人は逃がせ。

拒否するなら

今回のお前の発言と失態を皆にばら撒く。



それを聞いてモディフィカが


怒られそうな事を黙ってくれるんだねえええ!

分かったあああ!

頼むねえええ!


そう言って了承した。



そしてアタシ達は

         

 は?


そんな事を思った。


何勝手なこと言ってんだテメぇ!!!

アタシがブチ切れながら言う。



それに対してチュウジュウは


冤罪をかけた俺からの詫びだ。

感謝しろ。

本来なら全員がそうなってたんだから。

それともなんだ?

その状態でモディフィカに勝てるとでも?


そう言ってきた。



確かにそれはそうだと思うよ。

思うけどさあ。

アタシはそう思いながら口には出さなかった。



チュウジュウが話を続ける。

それに透。

お前の怪我は酷い。

おまえは

捕まるついでに

治してもらったほうがいいんじゃないか?


そしてチュウジュウはニヤついた。



アタシは察した。


コイツぅ、、、!

アタシを推薦していやがる!

負けた腹いせだろこれ!!!

そうチュウジュウを憎みながら。



そこから少しアタシは葛藤したが、


はあ、、、

でもまあ、、、

色集められたしな、、、


アタシはそう話し出した。


それにお前らと会えて本当に楽しかったよ。

思い通りになる事もなかった事もあったけど

今までの人生で一番幸せだったかも。

皆。

元気でな。


別れの挨拶だった。


そしてアタシは仲間達から目を背け、

チュウジュウ達の方に歩き出した。


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