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青に染まる2

暗殺者とリーファとの戦闘が始まった。

暗殺者が闇のオーラを使い、霧状の攻撃をする。

リーファが触れたら大怪我を負ってしまう攻撃だ。

リーファは距離を取るために後ろへ避けた。


すると、、、

その霧の中から暗殺者が飛び出してきたのだ。

そして一瞬でリーファは距離を詰められてしまった。


時間が迫っているんだ。

早く終わらせる。

暗殺者が突っ込んできながらそう言った。


だがリーファは冷静だった。

闇属性には自分の属性技は打ち消されてしまう。

だが属性がない「物」なら消されない。

それを知っているリーファは

自分が持っているお小遣い入りの袋を

暗殺者の顔面に投げつけたのだ。

暗殺者はその意表をついた行動に動揺してしまった。


リーファは更に追い打ちをかけるよう

暗殺者の足元から植物を勢いよく生やす。

暗殺者は闇属性でガードが出来ずに

吹っ飛ばされてしまった。


それを確認したリーファは暗殺者を視界に入れつつ逃げた。

あくまでも時間稼ぎ。

近づきすぎるのは危険だったからだ。


リーファは思った。

まだ物はあります。

それにあの人は意外と射程が短い。

これを繰り返せば時間は十分に稼げ、、、って、、あれ?

それと同時、リーファに一瞬の浮遊感が襲いかかる。


こけたのだ。

この大事な場面で。

リーファの片方の足元に怪我が見えた。

それは小さな物だったが闇属性がつける特徴の怪我だった。

あの霧にやられたのだろう。

暗殺者の狙いはリーファの体全体でなく、足だったのだ。

それのせいで足に力が入らずリーファはこけてしまった。


暗殺者はそれを見逃さなかった。

リーファに近づいていく足音。

それを聞いたリーファはすぐさま起きようとする。


するとリーファの頭上で炎の球が飛んだ。

それが暗殺者に命中したのだ。

そして、暗殺者は倒れた。


命中!!!

バニングがそう言った。


数人分の足音がリーファの耳に聞こえてくる。

それはアタシ達の足音だった。


アタシは開口一番言う。

バカヤローッ!!!

リーファ!なんでアタシ達の元に行かなかった!?

属性の不利っていうのがどれほど恐ろしいか

お前がこのパーティの中で一番理解してただろぉーが!!!


それに対してリーファが言った。

だって、、、私が一人で行くって言ったんですから、、、

みんなに迷惑かけないためにも

私だけで済まさないといけないでしょう!?


ここでアタシは

リーファが責任を負いがちな性格であると改めて知った。


それに対してバニングが

それで死んだら意味ないでしょ。

リーファねーちゃんはどんな時でも死にたがる、、、

その性格を、、、直した方がいいと思う。

そんなごもっともな意見が飛んできた。


一方そんな会話も興味ないというように

ヤミィが暗殺者に近づく。

そして言った。


抵抗しても無駄だ。

私の羽でお前の動きを縛っている。

質問に答えろ。

お前どっから現れた?

何で私の闇属性対策のサーチに引っかからない?

そんな感じの内容だった。


アタシもそれは疑問に思っていた。

なんせアタシ達は

リーファの街の外れに行った後、

すぐ街に戻って来て、

また街の外れに向かうっていう

奇行を見たから気になってこの花畑に来た。

アタシ達全員が闇属性がいるなんて思って無かったんだ。


しかし、ヤミィの問いに対して暗殺者はジタバタして

はやくっはやくしないとぉっ!!

と言い続けていた。

それを壊れたおもちゃのように繰り返していたんだ。


それに対して

分かった。

お前は痛い目見たいんだな?

そう言ってヤミィが暗殺者に蹴りを入れまくる。


よほどキツかったのだろう。

暗殺者は慌てて

言いますっ!

言いますからぁっ!

とりあえず私を逃がしてくださいぃぃっ!!

苦しそうにそう言った。


だが「逃がして」という言葉が

ヤミィの琴線に触れた。


逃がしてくださいだと!?

逃がすわけないだろうが!!!

何もやってないならまだしも

お前は私達の仲間に危害を加えている!

彼女の足が傷ついてるのをさっき見た!!

私を舐めているのかっ!?

そう言いながらヤミィは暗殺者を更に蹴りまくる。


流石に可哀想になってきたのでアタシが止めようとする。

逃げたい訳ぐらい聞いてからでも良いんじゃないか?

そう言って近づきながら。


だが、そんな悠長なことを

言ってる暇がないっていうのがすぐに分かった。


なんかカチカチ音がする。

嫌な予感がしたアタシはヤミィと暗殺者の合間に入り、

ヤミィを蹴飛ばし、暗殺者から離した。

暗殺者はアタシ達から逃げ始めた。

それと同時、でかい音が鳴り響くと共に

アタシ達は吹っ飛ばされてしまった。


爆弾だ。

魔法の世界に

こんな物騒な兵器が用いられていようとは、、、

暗殺者の方を見てアタシはそう思った。


リーファやバニングは目を背けていた。


そしてヤミィは見たことがないくらい冷や汗をかいていた。


アタシは言った。

ここにいたらアタシ達に冤罪がかかるかもしれない。

痕跡を消してから花畑を抜けて、街に戻ろう。


それを聞いた仲間達は各々の痕跡を無くし、

静かに花畑を抜けて、目立たない場所から街へ戻った。


しばらく経って、、、


アタシ達が宿に戻っていると、

妙な騒ぎがあった。


アタシ達は少しだけ外を見た。

一つの遺体が街の中に運ばれてきたのだ。


それを見たリーファは言った。

彼、、、ですね。

そう、闇属性の暗殺者に殺されていた人だった。


そしてそこで泣き喚く女がいた。

あのアサシネの息子と痴話喧嘩していた女だ。

エド!

エド!

そう言って泣きながら遺体を揺らしていた。

エドというのは

例の木の下で待ち合わせをしていた彼のことだろう。

どうやら彼女にとってエドは大切な人だったらしい。


彼女を制止するものがいた。

それは彼女の父親だった。


彼女の父親は言った。

ウォルター。

そこそこ遅い時間だ。

悲しみに染まるのは仕方ないとは思うが、、、

このまま泣いているとお前が体調を崩してしまう。

エドもそれは望まないだろう?

明日に葬式を開こう。

そこで思いっきりあいつのために泣いてやれ。


ウォルターというのは彼女の名前だ。

アタシはそこで初めて知った。


ウォルターは父の言葉に対して

うん、、、ぐすっ、、、分かった。

そう納得していた。


そうして彼女は父と一緒に家へと戻って行った。


それを見ていたアタシ達は中々虚しい気持ちになった。


場面が変わって、、、

ウォルターはベッドについていた。

いつもはきっちり十時に寝るはずなのに、

十二時を過ぎても目が嫌というほど覚めている。

次第に腹も減ってきたようだ。

晩飯も抜きにしてベッドにしがみついたのだから

しょうがないことではあるが、

ウォルターはそんな自分にイライラしていた。


しばらく考えた結果、

ウォルターはおやつだけ食べて腹の虫を治めようと決め、

リビングへと向かった。


すると、リビングから声が聞こえる。

カンパァーイっ!

そんな声だった。

その声の正体はすぐに分かった。

ウォルターの父親とアサシネの首長だったのだ。


アサシネの首長は言った。

しかし、こんなに騒いでもいいのか?

今はこんな夜更けだが。


それに対してウォルターの父親は言った。

大丈夫ですよ。

うちの娘はきっちり時間通りに行動する子です。

娘の買っていた犬が十数年の寿命を終えた日ですら、

時間通りに寝てたのですから。

それに一回寝たら数時間揺さぶり続けても起きないので

こんな騒音程度ではそうそう起きません。


それに対してアサシネの首長は言った。

そうか。

しかし、本当にうまく行って良かった。

あのエドというガキを始末するのに相当苦労したからな。


ウォルターは耳を疑った。


ウォルターの父は言った。

そうですね。

あなたが仕入れた闇属性化を防止する薬、

そして、光の一族の闇属性対策サーチを防ぐ薬。

それらが無ければ

私はこの計画を立てた時点で闇属性化してしまうし、

光の一族でサーチの対象外である貴方が

直接エドに手を加えることとなっていました。

光の一族は事件性のある事案を結構調べますからね、、、

まあこれだけ回りくどくやっていれば

私達には辿り着かないでしょうが

バレたら私達は光の一族に何をされるか、、、

分かったもんじゃありません。

しかし、、、

あのサーチ防止を施した

闇属性の暗殺者は結局帰ってきませんでしたよね。

あれをほっといても大丈夫だったんですか?


それに対してアサシネの首長は言った。

大丈夫だ。

時間内に帰ってこなければ、体が爆発するように

時限爆弾というものをつけておいた。

今頃爆破して消し炭になって風に吹かれているだろうよ。


ウォルターの父が言う。

本当に流石としか言いようがありません。

長かった。

これでようやく私達の夢が叶う。

これであなたの息子と私の娘は結ばれる。


するとアサシネの首長は涙を流した。

そして言った。

私達の出会いは両方の妻が病気で早くに

死んでしまったことがきっかけだったな。


ウォルターの父親は言った。

ええ、一人しか子供のいない私達は

そこそこ高い身分だったので

優秀な血を絶やさぬように代わりの貴族の妻を用意して

また子を増やさなければなりませんでした。

だがもう私達にそのような力は残っていなかった。

そこで私があなたと自分の子同士を

結婚させようと提案したんですよね。


アサシネの首長は言った。

ああ、お前の娘と俺の子だ!

必ず二人は能力的にも優秀な血を残してくれる!!

今は俺達一族の繁栄を祝おうじゃないかぁっ!!!


その瞬間リビングのドアが蹴破られた。


そして出てきたのは、、、

涙を流したウォルターだった。


お前をもう父親とは思わない。

ウォルターはボソッとそう言って水の渦で

自身の父親の息の根を速攻で止めた。


それを見たアサシネの首長は

恐怖した。

そしてすぐさまウォルターを始末しようと、

光の力を使った。

だが、、、効かなかった。


愛する者を失った。

自身の人生を目の前の二人に狂わされた。

そんなぐちゃぐちゃになった感情が闇属性となり、

そのままウォルターの力となっていく。


ついには自身の家をも破壊し、

ウォルターの闇は天にも届く勢いで大きくなっていた。


それと同時刻、、、


青の街で休んでいたアタシ達。

すると大きな音があり、何事だと驚いた。


アタシが慌てて窓の外から身を乗り出して見てみると

街の光が闇に埋もれて行っているのが見えた。


ヤミィは慌てた様子でアタシ達に言った。

ものすごくでかい闇属性の反応だ!

こんなでかいのは生まれてこのかた感じたことがない!


アタシが言う。

何だあれ!?

あれもしかして全部闇属性の力か!?


バニングも言う。

危なっかしいね、、、

でも幸い距離がある。

みんな、街の外に早く逃げよ!!

そして逃げる姿勢をとった。


だが、ヤミィが制止し、言った。

ここまででかい事案だと光の一族のトップ一人は来る。

緑の街から出る時に会ったあの男チュウジュウはトップだ。

そいつが来たら顔も能力も割れてる私達にとってはやばい。

しかも光の一族はこういう時、

確実に仕留めるため大人数で街を囲むように攻めてくる。

私達はトップの位置がわからん。

逃げてる途中にトップにバッタリ会って

そのまま戦闘に入ってしまう可能性があるのだ。

それはまずい。


じゃあどうすんの!?

バニングが焦る。


それに対してヤミィが言った。

今私が考えてる作戦を聞け。

私達が街の民に紛れて、光の一族が来るのを待ち、

トップが来た瞬間を目で見て確認し、

トップが闇属性と対峙してる間に逃げる。

これが一番いい。

街の外の雑兵なら簡単にあしらえるだろう。

あの男から安全な距離を取れたら良いんだ。


ですが、、、

とヤミィに対してリーファが声を上げた。


リーファが言う。

チュウジュウさん以外の人が来るかもしれませんよ?

トップは確か十人ほどいたはず、、、

彼が来るのは十分の一の確率です。

その低い確率を恐れるのですか?

それに街を囲んでる

光の一族全員が強いわけじゃないでしょうし、

今すぐの逃げを狙ってみるのもありでは、、、?


その意見を聞いて確かにとアタシは思った。


だがヤミィは怒鳴った。

あの男を舐めるなっ!

あの男は順応能力が異常に高い!

あの男に比べたら他のトップなんて可愛いもんだ!!

正直この前の戦い、、、

奴は本気で戦ってなかった、、、ように見えた。


ヤミィの顔は爆破を喰らった時並みに焦っていた。


意見の割れ。

それを無くすためにアタシはみんなにこう言った。

怖い思いをさせるかもしれないけど、、、

戦闘が出来るヤミィがこんだけ焦ってるんだ。

流石にあの混沌の中紛れ込めば、

光の一族の目も欺けると思う。

頑張って少しの間だけ、アタシ達で互いの背中を守ろう。


それを聞いたリーファとバニングは少し悩んだが、

うんと返事をして、

青の街にいることを認めてくれた。


こうしてアタシ達の青の街脱出作戦が始まった。

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