悲しみに染まる2
ヤミィは考えなしに行くつもりでは無かった。
最初からしらみつぶしで探す訳ではなく、
調査という形で数日滞在してから
帰るという慎重な方法だったのだ。
「島の外の地には未知の危険が待ち構えている」
関連する多くの資料にこのような言葉があり、
それを証明するかの如く、
島の周りにも高く頑丈な壁がそびえ立っていた。
それでいきなりの長期調査は危険と判断したのだ。
そしてあのモディフィカの資料が
嘘っぱちの罠の可能性もあった。
だから自分が訳もわからず
死にかけた時のために資料と羽を仲間に託し、
罠だと分かった瞬間、羽がビリビリに紙を破いて
罠を消去する算段だったのだ。
自分のような化け物が死ぬような調査を
仲間に託しても無駄死にだと思ったのであろう。
これだけの準備。
そもそもヤミィに
勝てるような生物は存在しないだろう。
仲間達はそうたかを括っていた。
だが、、、
紙は一日で破られた。
そして二度とヤミィは戻って来なかったのだ。
仲間達がその事に気付いた瞬間。
島の外には出ては行けない。
そのような貼り紙が島中に配られる事となったのだ。
ヤミィが何故死んだのか。
それは物語の中で後々判明していく。
そしてリーファとヤミィが死んだ後に
さらなる悲劇が起こった。
ある日の事だった。
ウォルターが路地裏に入ってから衝撃的な光景を見た。
何とバニングが人の胸ぐらを掴み、燃やしていたのだ。
それを水を出して制止しに行くウォルター。
そしてウォルターは言った。
あなた、、、何やってるの?
いくら何でもやり過ぎじゃ無い?
それに対してバニングはニッコリと言った。
何って弱いものいじめをする奴を成敗してるんですよ。
光の一族の子供を売買してる奴燃やして
何が悪いんですか?
ウォルターは言った。
、、、それじゃ前と同じじゃ無いの。
光の一族がやってた死ぬか奴隷になるかっていう
極端な処刑と一緒よ。
そうならない為に法を作ったんだから、、、
それに対してバニングは言った。
、、、私も我慢してきました。
こいつ何回も裁かれてますよね?
何で反省もしない奴を庇うんですか?
もし光の一族が横暴して無かったら
前の方が良かったんじゃ無いですかね、、、?
それに対してウォルターは声を低くして言った。
あの戦いが無意味だった、、、と言いたいの?
訂正しなさいよ。
後そのリーファの真似事を止めろ。
今すぐ!!!
それに対してバニングは声を高らかにして言った。
何言ってんですかぁ!!!
私がリーファ姉ちゃんになるんですよぉ!!!
弱い立場の人々を守れるような、、、
そんな素晴らしい人間にぃ!!!
その瞬間。
バニングが顔面に高水圧のカッターを喰らった。
だがそれは即座に蒸発し、ダメージは無いようだった。
路地裏を抜けて、
人の目につく場所に出てきてしまった二人。
炎と多量の水がチラついて
周りの住んでいた人々はパニックになった。
バニングが言った。
戦争で使ったあの場所で戦いましょうよ。
みんなを心配させたくありません。
ウォルターも言った。
手遅れだと思うけど、、、
まあ、良いわ。
こうして二人の壮絶な戦いが始まった。
何百メートルもの火柱が立つのは当たり前。
それに対抗できるほどの大きな洪水や氷塊が
できるのも当たり前。
そんな想像もできないような出来事が数日続いた。
そして結局、両者引き分けとなった。
だが確執というものが生まれ、
もう両者が同じ国にいるという事が出来なかった。
バニングは自分に厳しく、
そして誰からの理不尽も受けず、幸せに生きようという
願いを込めたフォーチュネという国を島の内側に作った。
ついてきたのは光の一族の生き残りや
元々虐げられていたような人々。
そして修行を自ら志願しに行く意思を持つ人々だった。
主な代表者はバニングやフィジシャンである。
ウォルターは外周にセパレという国を作った。
外周といってもバニングの国よりはよっぽど広いので
それを取り締まる為にチュウジュウがそこに残った。
チュウジュウの意見としては
ウォルターの国民とバニングの国民も関係ない。
守る事ができるのなら良いという中立の考えであった。
主な代表者はウォルターとチュウジュウである。
境界線はバニングとウォルターが作った
円状の大きな河だった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
数十年後。
バニングがフィジシャンに手紙を渡した。
ある人間に渡せという命令と、
見るなという言葉の釘を刺して。
この頃バニングは寝たきりで
誰がどう見ても死にかけだった。
そして手紙を渡した瞬間。
全てを終えたようにバニングはひっそりと寝た。
“ウォルターへ”
その手紙をフィジシャンは何の容赦もなく手紙を読み、
そして内容を改めて確認してから
ビリビリに破いて燃やした。
そしてフィジシャンは言った。
今更謝ったって、、、遅いですよ。
こうして誰も知らない間に交渉は決裂してしまった。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
そして更に数十年後。
何故かアタシの意識は目覚めた。
でも暗い。
いやまじで何ここ?
アタシ死んだんじゃ無かったっけ?
アタシがそう思っていると何だかもやっと
水の中から聞こえるようなそんな音が耳に入ってきた。
あ、、、たの、、、
能、、、ょくを、、、
調、、、ます、、、
アタシはこれを聞いて理解した。
そしてアタシは
何で能力を?
まあ、取り敢えず出すか、、、
そんな事を思いながら適当に出してみた。
すると誰かが叫んだと思ったら
ボゥッ!!!
そんな音がした。
相変わらずよく聞こえないが何となく分かった。
何かが倒れた音だった。
そして次に
ち、、、っと!!?
だ、、、じょ、、、ぶですか!!?
、、、は、は、、、びますから!!!
し、、、ないでくだ、、、い!!!
さっき能力を調べると言った人の慌てた声を聞いた。
これでアタシはようやく自分が倒れたという事に
気が付いたのだ。
ちなみにこれを書いている
今のアタシはこれが何か分かっている。
これから大切な存在になるあいつに転生していたのだ。
さてアタシ的には物語のひと段落は着いたし、
今回はこれぐらいにしよう。
次回をお楽しみに。
異世界転移転生物語 何かに染まりたい編
完
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「っしゃああああ!!!終わったああああ!!!」
そう叫ぶ透。
「嘘つけまだまだだろう?お前が転生した後も
まだまだ書くべきことが沢山あるんだからな?」
そう言うヤミィ。
「勘弁してくれ、、、!!!
書いてて心苦しい所いっぱいあったんだからなー!?」
そう言って反論する透。
「まあ、適当な遊びでもして
暇になったら始めれば良いんじゃないか?
別に無理強いさせらつもりは無いしな。」
そう言って透を誘ってくるヤミィ。
「よぉーしっ!!!
じゃあまた閻魔様おちょくりに行こうぜ!?」
こうして透が悪人のような事を提案したのだった。
異世界転移転生物語は
閻魔様への報告書みたいな物である。
彼女らの人生が終わってここに来る間に
一体何があったのだろうか。
それは後々彼女達が書いていくのだろう。
それまでひとまずは、、、お休み。