第六話 初めての村です!
初めての魔物との戦闘を終えて意気上がるラテル達。
到着した村で一泊する事にしましたが、ラテルは秘密を守るためにある提案をします。
どうぞお楽しみください。
ラテル達はその後魔物との戦闘はなく、無事に近くの村へと到着しました。
「ふぅ、何とか日暮れ前に着けたな」
「飯食いに行こうぜ! 俺様腹減っちまった!」
「宿の手配が先」
「宿、か……」
ラテルは少し迷って、おずおずと口を開きます。
「あの、さ……。宿では皆一部屋ずつ取って、それぞれで休むってのはどうかな……?」
「何?」
「するってーと、全員バラバラに部屋を取るって事か?」
「う、うん。ダメ、かな……」
同室に泊まれば、女である事がバレる危険が高まるための提案でした。
しかし『宿代が高くなる』『仲間同士の結束が高まらない』などの反論が容易に思い付いてしまうラテルは、強く主張する事ができません。
(皆……、特にソレイユは反対するよね……)
しかし、
「いいんじゃねーの? 俺様も一人部屋希望だぜ」
「ほ、ホント?」
エトワルはあっさり同意しました。
「当たり前だろ。女とならまだしも、野郎同士で一緒に寝たいわけねーんだから」
「ははは……」
実に男らしい理由に、ラテルは乾いた笑いを浮かべます。
すると、
「賛成。敵襲対策に分散は有効」
リュンヌも賛同の意思を示しました。
「リュンヌ! ありがとう!」
「あと一人の方が寝やすい」
「あ、そうなんだ……」
個人的な理由も含まれていた事に若干戸惑いながらも、味方を得たラテルはソレイユの方を向きます。
「ソレイユは、どう、かな……」
「……旅の序盤から路銀を消耗するのは避けるべきだ」
「……そう、だよね……」
「だが」
「?」
「旅慣れない中で無理をして体力や気力を消耗しては元も子もない。今日はそれぞれのんびり過ごすのも悪くはないだろう」
その時ラテルには、ソレイユが兜の下で笑ったように見えました。
「あ、ありがとうソレイユ!」
「まぁ部屋が空いていたらの話だがな」
「聞いてくる!」
宿に走っていくラテルを追って歩きながら、ソレイユは少し声を落としてエトワルとリュンヌに話しかけます。
「……ラテルは何故別室を希望したのだろうか」
「思春期特有のあれだろ。毛が生えてるとか生えてねーとか、そういうのを見られたくないだけじゃねーの?」
「……ふむ、考えられなくはないな」
「親元を離れて初めての旅。一人の時間も欲しい」
「それもあり得なくはないが……」
「何を心配してるんだ旦那? 何かあいつが重大な秘密を隠してるとでも思っているのか?」
「……いや、何でもない」
ソレイユは首を軽く振ると、少し歩調を早めてラテルの入った宿へと進むのでした。
読了ありがとうございます。
ソレイユの抱える疑問とは一体……?
次話もよろしくお願いいたします。