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第四十九話 いよいよ海の冒険の本番です!

ラテルは振る舞った手料理を喜んでもらい、海の旅も順調そのもの。

しかし船の旅は一つの目的に到達しようとしていて……?


どうぞお楽しみください。

 ラテル一行を乗せた船は、海を順調に進みます。

 操縦はソレイユに代わり、リュンヌが船首で海の先をじっと見つめていました。


「いた」

「そうか。どっちだ?」

「このまま真っ直ぐ」

「よし、行こう」

「う、うん!」

「相変わらずラテルは緊張しやすいなー。俺様がいるんだから安心しろって」


 船の行手にあるものを見れば、ラテルの緊張も無理ないものです。

 大型の海賊船がこちらに向かってきているのですから。

 しかしそれこそがラテル一行の目的でした。


「リュンヌ、相手の様子はどうだ?」

「こっちに気付いた。甲板に集まり始めてる」

「た、大砲とか、撃ってこないかな……」

「そしたら俺様の魔法で叩き落としてやるさ」

「まぁこちらは最新型の外輪船とは言え中型船。本気で沈めには来ないだろう。むしろ金持ちの船と誤認して、拿捕だほしに来る筈だ」

「そこを一網打尽」

「あんまりひどい事しちゃ駄目だよ? 魔王の城の情報を聞きたいだけなんだから」

「だからこそだぜラテル。相手は海賊だからな。こっちが強いって事をわからせた方が、話はうまく行くもんさ」


 フイットの町で船出前に色々と情報を集めましたが、魔王の城に関する情報は不確かなものばかりでした。

 その中で船乗り達からは、海を誰よりも知るであろう海賊に聞いてはどうかという話があり、相談の結果、海賊への接近を試みる事になったのです。


「さて、交渉で済めば良いが……」

「おうおうお前ら! 金目のものをよこしな! そしたら命だけは助けてやるぜ」

「無理」


 船の上からの野太い叫びに、リュンヌが肩をすくめました。


「んじゃ先制、行くぜ!」


 エトワルの眠りの魔法が海賊船を包み込み、甲板の海賊達がぱたぱたと眠りに落ちていきます。


「よし、制圧だ」

「行こうラテル」

「う、うん!」


 リュンヌが投げた鉤縄でするすると海賊船に登り、ソレイユとラテルもそれに続きました。

 眠りこけている海賊達を、ラテル達は手早く縛ります。


「おい、どうしたお前ら!」

「まだ船内にいるな。ふっ!」

「ぎゃっ……!」


 船室から出てきた海賊を、ソレイユがさっと気絶させました。

 それを同じようにリュンヌが縛り上げます。

 こうして海賊船はあっという間に制圧されました。


「な、何なんだお前ら……! ただの金持ちじゃねぇな!?」

「僕はラテル。魔王を退治する旅をしてる勇者なんだ」

「ゆ、勇者!?」

「魔王退治って……、それができたら海から魔物はいなくなるのか……?」

「おいおい、こいつは……」


 ラテルの言葉に海賊達に動揺が走ります。

 しばらく小声で何かを話し合うと、この船の船長らしき男がラテルをじっと見つめました。


「……あんたが世界を救ってくれるのか?」

「……まだ、わからない。でもそのために僕達は旅をしてるんだ。魔王の事で知ってる事があったら教えてほしい」

「……」


 船長らしき男は、しばらくラテルを見ていましたが、やがて大きく息を吐きます。


「……俺達じゃ力になれねぇ」

「……そう……」

「だからお頭のところに連れて行く。お頭ならお前達の力になってくれるはずだ」

「い、いいの!?」

「当たり前だ。魔王が退治されて魔物がいなくなれば、俺達だってこんな仕事しねぇで済むんだからな」

「……きっと退治してみせるよ!」

「頼むぜ、ちっちぇえ勇者さんよ!」

「ち、ちっちゃいは余計だよ!」


 こうしてラテル一行は海賊達の縄を解くと、海賊達をまとめるお頭がいるというアジトへと船を進めるのでした。

読了ありがとうございます。


おかしら……。好きだあ……。

これで何のセリフかわかったら、私と一晩良い酒を飲む権利を差し上げます!

要らない? ですよねー。


次話もよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「あ?ナニがちっちぇだと、こら!」 「え、あ、その…」 「ああっ!!もう一回ナニがちいせぇか眼を見ていってみろ、ゴルァ!!」 「ヒィィィ(´;ω;`)」
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