表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/58

四十八話 美味しいって言ってほしいです!

いよいよラテルのお料理披露。

そのお味はいかに……?


どうぞお楽しみください。

 ラテルが作った料理が、三人の口に運ばれました。

 その様子を、ラテルは固唾を飲んで見守ります。


(皆の口に合いますように……!)


 すると、まずソレイユが声を上げました。


「美味しい……」

「ソレイユ、本当!?」

「あぁ。しっかりと甘辛い味の染みた鶏肉が、柔らかく口の中でほどける……。これは初めて食べる味だが、何というか落ち着く味だな」

「良かった……」


 胸を撫で下ろすラテル。

 そこにリュンヌが空の皿を差し出しました。


「おかわり」

「え、もう食べたの!?」

「美味しくて止まらなかった。おかわり」

「う、うん! 今持って来る!」


 喜んで厨房に降りようとするラテルの背に、エトワルが慌てて声をかけます。


「おい! 俺様ももう少しで食べ終わるからおかわり頼む! やっべ! うっめ!」

「わかった!」

「その、私も頼む」

「うん!」


 三人の反応に、嬉しさが止まらないラテルは、新たに肉を焼き始めると自分用の料理を三人分に取り分けます。


(やった! やったやったぁ! 不安だったけど作って良かったぁ! ありがとうお母さん!)


 飛び跳ねたくなるような嬉しさを胸に抑えて、ラテルは料理を三人の元に運ぶのでした。




「……いやー、食った食ったー」

「ありがとうラテル。とても美味しかった」

「喜んでもらえて良かったよ」

「晩御飯も楽しみにしてる」

「うん! 頑張る!」


 食事を終えた四人は、穏やかな空気に包まれていました。

 そんな中、ソレイユがふと疑問を口にします。


「これほど見事な料理を、ラテルはどこで学んだのだ?」

「あ、それは……」


 一瞬ひやっとするラテルですが、用意した答えを思い出し、


「おか……、母が料理が得意でね、色々教わってるんだ! 男だって料理くらいはできた方がいいからって!」


 若干慌てながらも答えました。


「そうか。良い教えだな」

「うん! おか……、母の事はすっごく尊敬してるんだ!」

「そうだな。ヴァーラント殿が旅立った後、女手一つでラテルを立派な勇者に育てた方だ。アン王国に戻ったらきちんとご挨拶をしたいものだ」

「……うん!」


 ソレイユに母を褒められて、ラテルは嬉しそうに頷きます。

 するとリュンヌがぴっと手を上げました。


「リュンヌ? どうしたの?」

「ラテルの母上は料理人なのか」

「えっと、違うけど、何で……?」

「この料理ならお店出せる。出したら毎日でも通う」

「そ、そんなに美味しかった……!?」

「毎食あれでも良い」

「そう、なんだ……。えへへ……」


 手放しでの賞賛に、自然とラテルの頬が緩みます。


(魔王を退治したら料理人になるのもいいかな……。なんて気が早いけど)


 そんなラテルに、エトワルが衝撃的な言葉を口にしました。


「確かに旨かった! 俺様が女だったらラテルと結婚してーくらいだぜ!」

「結、婚……!?」


 驚くラテルに、エトワルが慌てて手を振り回します。


「あ、いや、それくらい旨かったって事で! 男同士でどうこうとか考えてる訳じゃなくてだな……!」

「だ、大丈夫! わかってる! わかってるから……」


 そう言いながらも、ラテルの動悸は治まる様子を見せません。


(魔王を退治したら、僕は普通の女の子に戻るって事で、そうしたら結婚とかもできるのかな……)


 そんな気持ちで三人を見つめると、更に動悸が高まりました。


(ソレイユは頼り甲斐があって優しいし、エトワルは面白くて緊張しないし、リュンヌはいつも僕の事大事に考えてくれてるし……、って何考えてるんだ僕はっ!)


 考えまいと思えば思うほど、ソレイユ、エトワル、リュンヌそれぞれと結婚する想像が広がっていきます。


(……馬鹿な事を考えるな! 皆は仲間! 魔王を退治するための仲間! 変な気持ちで見ちゃ駄目だ!)


 頭の中を切り替えようと、ラテルは勢いよく立ち上がると、


「皆! お皿洗うから貸して!」

「あ、あぁ、ありがとう……」

「た、頼むわ……」

「……感謝」


 気圧された様子の三人を背に、厨房へと駆け降りて行くのでした。

読了ありがとうございます。


ラテルから見たら逆ハーレム状態。

さてこの先どうなる事か……?


次話もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんの料理か気になります! 生姜焼きとか! 鶏てりやきとか!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ