第三十九話 驚きの真相です!
アンジェ誘拐がお芝居と知って驚くラテル一行。
明かされた真実とは……?
どうぞお楽しみください。
洞窟の前で、ラテル一行は、サンセルとアンジェ、そして盗賊の元親分・セリホミから事情を聞く事になりました。
「……えっと、セリホミさんとアンジェさんとサンセルさんは知り合いなの?」
「おう! ナフの町に来た時にこの二人が駆け落ちの相談をしてたからよ! そりゃまずいってんで声をかけたのさ!」
「そうなんだ」
頷くラテルにアンジェが話を継ぎます。
「最初は怖い人って思ったけど、駆け落ちした後の大変さとかを教えてくれたから、お父さんを説得しようって話になったの」
「アンジェの親父さんは『男らしい男でないと娘はやらん!』といつも言ってるそうだからな! 俺からアンジェを助け出せば、サンセルを見直すと思ってな!」
「それで狂言誘拐か。まぁ駆け落ちよりは良いが……」
ソレイユが複雑な様子で腕を組みました。
その横でやれやれと溜息をついたエトワルが、サンセルへ水を向けます。
「それで俺様達の登場に慌てたお前さんはこっそりついて来て、この変態筋肉が退治される前に何とかしようと思ったんだな?」
「はい……。勇者様達はとても強そうで、セリホミさんが怪我でもしたら大変だと思って……」
「『強そう』じゃねー。実際強いんだよ」
エトワルは得意げに胸を張りました。
「でも良かった。アンジェさんがひどい目にあったりしてなくて……」
「そこは同意。でもこの後どうする」
「え、どうするって……?」
安堵したラテルは、リュンヌの言葉に目をしばたかせます。
「芝居に乗れば依頼を一般人に横取りされる勇者」
「う、そ、そうか……」
「同時にセリホミはお尋ね者。今度は許されない」
「そ、それはできないよ……」
「セリホミを逃し救出だけなら二人の問題は残る」
「そう、だね……」
「どうする」
「……」
リュンヌの問いかけに、黙り込むラテル。
その難しい表情をリュンヌはじっと見つめます。
「……ソレイユはどう思う?」
「そうだな……。盗賊には逃げられた事にして、アンジェをアンテトさんの元に戻すのが良いと思う。その後はサンセルとアンジェの問題だろう」
「そっか……。エトワルは?」
「俺様達に必要なのはペパの種だ。だからアンジェを人質って事にしてペパの種を身代金代わりにもらって、その後サンセルが救出した事にすりゃいーじゃねーか」
「うーん……。リュンヌは?」
「ラテルの意見が聞きたい」
「え?」
「ラテルはどうしたい。どうするのが良いと思う」
「……僕、は……」
言葉に詰まるラテル。
「……わからないよ。ソレイユのやり方ならちゃんとペパの種を買えるけど、二人は大変なまま……。エトワルのだとセリホミさんはまた盗賊に逆戻り……」
「皆を救いたいのか」
「……うん。アンジェさんもサンセルさんも、セリホミさんもアンテトさんも、皆が幸せになる方法を見つけたい……」
「それがラテルの望み。なら手はある」
「えっ?」
ラテルは驚いてリュンヌを見つめます。
その目には悪戯っ子のような楽しそうな色が浮かんでいるのでした。
読了ありがとうございます。
さて、リュンヌはどんな解決策を示すのでしょうか?
そしてその結末は?
……頑張れ明日の私。
次話もよろしくお願いいたします。