表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/58

第三十三話 舐められたくはありません!

女である事がばれないように、行商人のたわわな胸を見ていた事を認めたラテル。

すると行商人の矛先はラテルへと向かい……?


どうぞお楽しみください。

 若干傷付いたラテルの前に、行商人はその大きな胸を机に置くように座ります。


「ねぇ僕ぅ。君はあたしの話を聞いてくれるぅ?」

「は?」

「あたしの持ってるじょ・う・ほ・う……。気にならなぁい?」

「……」


 行商人の狙いが自分に変わったのを感じ、不愉快さを顔に出すラテル。


(……胸を見てたって言ったから、僕なら言う事聞くと思われてるのかな……。むぅ……)


 女という事がばれないための発言だったとはいえ、胸の魅力に屈したと思われるのは不愉快でした。

 それに、


(皆にえっちだと思われたらどうしよう……。三人とも優しく言ってくれたけど、心の中で軽蔑されていたら……!)


 そんな焦りと不安が、更にラテルの気持ちを逆立てていきます。


「ねぇねぇ、あたしから情報買ってくれたらさぁ、おまけでぇ、い・い・こ・と教えてあげてもいいんだよぉ?」

「……!」


 そんな高ぶった感情に、行商人の言葉が火をつけました。


「いい加減にしてっ!」

「!?」

「僕達は魔王退治に向かう勇者一行だ! 君の商売に付き合ってる暇なんかない! わかったらとっととどっかに行って!」

「ゆ、勇者一行……!?」


 ラテルの怒りに満ちた言葉に、行商人は驚いた様子で居住まいを正します。


「し、失礼しました! あたし、そうとは知らなくて……!」

「えっ、何、急に……!?」

「あたし達行商人にとって、魔物は商売の一番の妨げなんです! だからその大元である魔王を退治してもらうのが念願で……!」

「そ、そうなんだ……」

「だから協力させてください! よろしくお願いいたします!」

「……」


 態度の変化に驚きつつも、行商人の真剣な姿に怒りが消えていくラテル。


「……じゃあ」


 表情を緩め、手を差し伸べようとしたその時です。


「待てよ。そこまで言うなら、まず情報を先に出しな」


 エトワルがそれを遮りました。


「そうだな。信頼を求めるなら、先の無礼への詫びも含めて、持っている情報は開示するべきだろう」

「信じるかどうかはその後」


 ソレイユとリュンヌもそれに続きます。

 すると、


「……へっ、やっぱ簡単にはいかないか」

「!?」


 殊勝な態度から一変した行商人に、ラテルは再度驚きました。


「いいからとっとと船の情報を教えな」

「さもなくば勇者一行を騙そうとした、と騎士団に突き出すぞ」

「逃げるのは不可」

「あいよあいよ。ま、勇者一行と縁が持てたご祝儀だと思って、話させてもらいますよ」

「……」


 色気、真面目、そして不遜。

 行商人の交渉術を目の当たりにして、ラテルはただただ目を丸くする事しかできないのでした。

読了ありがとうございます。


汚いさすが商人きたない。


次話もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ