第二十一話 いよいよ根城に突入です!
いよいよ盗賊退治に向かうラテル一行。
気付かれる前に一網打尽にする予定ですが、果たしてうまくいくのでしょうか?
どうぞお楽しみください。
一夜明けて朝。
ラテル達は装備を整えて、盗賊が巣食う塔に向かって出発しました。
「皆、頑張ろうね!」
「あぁ。規模を聞く限り苦戦する相手ではなさそうだが、油断していい事はないからな」
「けっ。俺様の魔法があれば楽勝だって言ってんのに、まだ俺様の腕を信用できねーのか?」
「魔法封じもあり得る。警戒はすべき」
気を引き締めつつ進む一行。
散発的に襲ってくる魔物を退治しながら進むと、草原の彼方に塔が見えてきました。
「見えた。あれだな」
「流石は外敵察知用の塔。周囲に隠れる場所がない」
「どうしようか。走って突っ込む?」
「だーかーらー、俺様の魔法を信用しろって言ってんだよ。ほれ、隠蔽魔法っと」
エトワルが魔法を使うと、四人の姿が半透明になりました。
エトワル以外の三人は、お互いを見ては驚きの声をあげます。
「え、何これ! すごい! 三人の姿が透けて見える!」
「こんな魔法もあるのだな……」
「覚えたい」
「お前の気配消せる技術の方がすげーっつーの。この魔法は姿を見えにくくするだけだ。足音はするし、存在に気付かれたら今みたいな感じでうっすら見えちまう」
「だが塔の見張りの目を誤魔化すにはうってつけだな」
「見通しが良い分警戒は薄い。突破できる」
「じゃあ行こう!」
こうしてラテル一行は盗賊に気付かれる事なく、塔の入口へと辿り着きました。
扉に耳を当てたリュンヌが、何かを確認して頷きます。
「この階には四人」
「位置は分かるか? そうすりゃ外からでも眠らせられる」
「見取り図があれば」
「ここにあるぞ」
「流石は旦那だな。んで、どこだ?」
「こことここ。それとこことここ」
「よし、任せとけ」
「……おぉ……」
小声で手短に打ち合わせをすると、手際の良さに呆気に取られるラテルの前でエトワルが魔法を放ちました。
扉に再び耳を当てたリュンヌが、
「全員寝た」
と言って扉を開きます。
「よし、入るぞ」
「う、うん!」
「ラテル大丈夫。二階以降の敵もまだ気付いていない」
「安心しな。たとえここに魔王がいたって、俺様が片付けてやるからよ」
「エトワル……」
「頼もしい限りだ」
「自分もいる。ソレイユも強い。大丈夫」
「……うん!」
仲間の心強い言葉を受けて、ラテルは元気に頷きます。
しかしラテル一行は、この塔の上で待ち構えるものをまだ知らないのでした。
読了ありがとうございます。
索敵のリュンヌ。
マッピングのソレイユ。
無力化のエトワル。
……特殊部隊かな?
次話もよろしくお願いいたします。