第十五話 僕達は四人で勇者一行です!
転移の魔法陣を通って隣国へとたどり着いたラテル一行。
まずは隣国の王様に挨拶を、という話になりましたが……?
どうぞお楽しみください。
祠を抜けた先には城下町がありました。
ラテル一行はこの国の国王に勇者として謁見するべく、城へと向かいます。
「なぁラテル。俺様抜けちゃ駄目か?」
「え?」
エトワルの言葉に目をぱちくりさせるラテル。
すかさずソレイユがそれを咎めます。
「駄目に決まっているだろう。勇者一行としての正式な挨拶なのだぞ? 今後の国同士の関係を考えても疎かにできるものではない」
「そりゃあわかってはいるんだけどさ。俺様堅っ苦しいの苦手でなぁ……」
するとそこにリュンヌも口を挟みました。
「自分も謁見は辞退したい」
「リュンヌも……? 何で?」
「そうだよな! いやー、話がわかる! そしたら二人でこの町の名物の賭博場に行かねーか? 面白いぜ!」
「賭博で家を建てた者は皆無。遠慮する」
「ちぇっ。どいつもこいつもかってーな」
そんな事を言いながら離れようとする二人の裾を、ラテルが掴みます。
「お、おい何だよラテル」
「離して欲しい」
「……一緒に行こうよ……」
ラテルの言葉に、二人は戸惑いながらも言葉を返しました。
「な、何だよ。心細いのか? 大丈夫だろ。お前勇者だし」
「ソレイユもいる。二人でも大丈夫」
「……違うよ」
しかしラテルは手を離しません。
「僕は皆と旅をしてるんだ……。僕達四人で勇者一行なんだ……。だからこの国の王様にも胸を張って、『僕達四人が勇者一行です』って言いたいんだ……」
「ラテル……」
「……」
「だから、一緒に行こうよ……」
その言葉に、ソレイユとリュンヌは観念したように息を吐きました。
「わかったよ。行きゃあいいんだろ? だからそんな心細そうな目で見るんじゃねーよ」
「エトワル……!」
「自分も同席する。ラテルの仲間として認められたい」
「リュンヌ……!」
ぱぁっと顔を明るくするラテル。
エトワルとリュンヌは、照れたように頭をかきました。
それを見て満足そうに頷いたソレイユは、咳払いを一つして話しかけます。
「あー、実はだな、この国の国王陛下は気さくなお方だ。仮面や覆面を着けたままの謁見も全く気になさらないだろう」
「なっ! てめーそれを早く言えよ!」
「憤懣」
「聞くまでもなく別行動しようとしたからだろう」
「……けっ」
「自戒」
呆れるソレイユ、不満げなエトワル、反省するリュンヌを見ながら、
(そうか……。エトワルもリュンヌも、顔を見られるの嫌なのに、それでも僕と一緒に来てくれるって言ったんだ……)
ラテルは嬉しそうに微笑むのでした。
読了ありがとうございます。
ラテルのおねがい! こうかは ばつぐんだ!
しかし王様が顔を見せろと言った場合、まともに顔を晒すのか、それとも……?
リュンヌは消えそう。
次話もよろしくお願いいたします。




