第十三話 これからも皆と一緒に頑張ります!
大ガエルを一人で倒したラテル。
その喜びを仲間と共に分かち合います。
どうぞお楽しみください。
大ガエルの核を拾って、ラテルは意気揚々と仲間の元に戻ります。
「やったよ! 僕勝ったよ!」
「あぁ、見事だった。特に剣を封じられてから魔法に切り替える判断が素晴らしかった」
「えへへ! ありがとうソレイユ!」
ラテルは満面の笑みでソレイユに答えると、エトワルの方に向き直りました。
「エトワルが声かけてくれたお陰で気付けたよ! ありがとう!」
「俺様は見たままを言っただけだぜ。ま、俺様ほどじゃないにしても、いい線いってたんじゃねーの?」
「うん!」
素直に答えないエトワルでしたが、ラテルは気にした様子もなく、大きく頷きます。
すると横からリュンヌが顔を出し、
「自分とソレイユが援護に入ろうとした。エトワルがラテルを信じろと止めた。信じて良かった」
告げた言葉にラテルが大きく目を見開きました。
「えっ!? そうなのエトワル!?」
「ばっ……! そういうのは言わねーのが筋だろーが!」
「口止めはされていない」
「ぐぬ……」
しれっと答えるリュンヌに苦い顔を向けるエトワル。
そのローブの袖をラテルがきゅっと掴みました。
「……ありがとねエトワル。それにソレイユとリュンヌも」
「……へっ」
エトワルの指が仮面をすり抜けて、鼻の頭をこすります。
「……私は陛下の命令もあって、ラテルを守る事ばかり考えていたが、今の戦いを見て改めて共に戦う仲間だと思えたよ。エトワルのお陰だ」
「!」
ソレイユの言葉に、ラテルの目から涙がこぼれました。
リュンヌが慌てた様子で、ラテルの怪我の有無を確かめます。
「ラテル。どこが痛む」
「え、あ、ううん、違うんだリュンヌ。僕、嬉しくて……」
溢れる涙を拭いながら、ラテルは微笑みました。
「……僕ね、皆がすごすぎるから、僕なんかが勇者でいいのかなって思ってたんだ……」
「! ……ラテル」
兜越しに感極まった声を漏らすソレイユ。
「だから一人で魔物をやっつけられないと、皆と旅をする資格がないんじゃないかって焦ってた……」
「……けっ、そんなこったろーと思ってたぜ」
仮面の奥からぶっきらぼうな、優しい声を出すエトワル。
「でもエトワルに任せてもらえて、リュンヌに信じてもらえて、ソレイユに仲間って認めてもらえて、僕、すごくすごく嬉しいんだ!」
「自分もラテルにすごいと言われて嬉しい」
覆面を通して喜びを伝えるリュンヌ。
四人を暖かな空気が包み込みました。
「……今は、さ……、僕まだ弱いけど……、いつか皆にふさわしい強さになるから、これからも一緒に旅してくれる?」
「……勿論だ!」
「当たり前の事言うなってんだよばーか」
「魔王を倒そう。ラテル」
「うん!」
草原の爽やかな風が、四人を撫でていきます。
その瞬間全員が、胸に秘めた思いを忘れ、心地よい絆にその身を委ねていたのでした。
読了ありがとうございます。
大ガエル「あの、丸呑みぬるぬる展開のために起用されたって聞いてたんですけど、どうなってるんですか?」
うるせぇ氷柱魔法ぶつけんぞ(震え声)。
次話もよろしくお願いいたします。