第一話 勇者に任命されました!
新連載、よろしくお願いいたします。
男装女子勇者が秘密を抱えたまま冒険する物語です。
ベタですみませんがよろしくお願いいたします。
「では勇者の子ラテルよ。そなたを勇者と認め、魔王討伐の命を与える」
「はいっ!」
王様の言葉に答えるラテルは、まだあどけなさの残る十六歳の若者でした。
「お主の父ヴァーラントは、魔王討伐の旅の中で消息を絶った。そして魔物の勢力は広がりを見せるばかりだ。ラテルよ! 魔王を討伐し、世界に光を取り戻すのだ!」
「わかりました!」
「しかし一人ではヴァーラントの二の舞になりかねん。騎士の中でも手練れの者を一人つけよう。ソレイユ!」
「はっ」
「え?」
王様の呼びかけに、全身鎧に身を包んだ騎士が玉座の前に進み出て膝をつきます。
予想していなかった流れに、ラテルは目をぱちくり。
「ソレイユは剣の腕もさることながら、貴族である父親に従って様々な国に足を運んでおる。きっと旅の助けになる事であろう」
「勇者様、よろしくお願いいたします」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
ラテルはソレイユに差し出された手を握りました。
「他にも冒険者の酒場には腕の立つ者もおるであろう。魔法の使える者や、罠や敵の気配を察知できる者などを仲間に加えれば、旅も楽になろう」
「わ、わかりました!」
「それとわずかだが支度金を用意した。これで旅の準備をするがよい」
「ありがとうございます!」
「では行け勇者ラテルよ! そなたの旅の無事を祈っておるぞ!」
「行ってきます! 王様!」
「勇者を頼むぞ! 騎士ソレイユ!」
「必ずやご期待に沿う働きをいたします」
こうして勇者となったラテルは、騎士ソレイユと共に魔王討伐の旅に出る事になりました。
(一人旅じゃないのは予想外だったけど大丈夫! お母さんから男の子として育ててもらったし! 僕が女だって事は内緒にしたままでもうまくやれるよ!)
大きな秘密を抱えたまま……。
読了ありがとうございます。
主人公ラテルはフランス語で『地球』を表す『la terre』から取りました。
ボーイッシュで童顔なので、男女どちらにも見える顔立ちです。
体型はサラシとか色々で誤魔化してます。
それで誤魔化せる範囲なので、色々お察しください。
次話もよろしくお願いいたします。