表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/55

 その後。

 まずは、勇者は、洋服屋で手早く黒のベレー帽を買って来て、ラリサに渡した。

「わぁ! 勇者さんから自分への、初めてのプレゼントっすね!」

 と、明るい声を上げるラリサに、

「そんなんじゃない。ただ、角を隠すためだけのものだ。モンスターだとバレると面倒だからな」

 と、勇者はすげない。

 だが、ラリサはそれでも嬉しいらしく、

「ありがとうっす、勇者さん!」

 と、笑みを浮かべた。

 そして、早速ベレー帽を被ったラリサは、

「どうっすか? 似合ってるっすか?」

 と、頬を紅潮させながら、上目遣いで聞いた。

 勇者は、

「ああ、似合ってる似合ってる」

 と、明後日の方向を見ながら、適当に答える。

 ラリサは、

「もう! ちゃんと見て欲しいっす!」

 と、頬を膨らませるが、勇者は無視して、

「あ、そういや、尻尾もあったな……どうするか……」

 と、ラリサの細長い尻尾を見ながら、呟いた。

 ラリサは、

「ちょっとここで待つっす!」

 と言うと、直ぐ近くの十字路を左に曲がり、周囲に誰もいないのを確認して、何やらごそごそと動いた。

 そして、

「お待たせっす!」

 と言って戻って来たラリサは、もう尻尾が外に出ていなかった。

「へぇ。服の下にしまえるのか」

 と、勇者は言った。街中でどのようにやったのかは分からないが、ラリサは、どうにかして尻尾をドレスの中に収納したらしい。

「えへへ。頑張ったっす!」

 とはにかむラリサを見た勇者は、

(これなら、取り敢えずは大丈夫だな)

 と思った。

 角と尻尾が隠れた事で、一目見ただけではモンスターだと気付かれる事はまずないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ