沈没
掲載日:2021/06/19
吐いた息は、篭もった音の幻聴を耳に届ける。
ぼこり、ぼこり。あぶくはふわふわ浮かんで行って私の胎には戻らない。
嗚呼、息が詰まる。嗚呼、視界が歪む。
私の心は喉を掻き毟り、けれど四肢は痺れて動かない。
自身の死は受け入れがたい、けれど生きることは面倒だ。
水面はもはや遠く、けれど水底に至るのは何時のことか。
嗚呼、息が詰まる。嗚呼、視界が歪む。
孕んだ想いは腐って歪んで、私の胎を溶かしていく。
私の肉に水が浸みる、四肢はふやけて滲み拡散する。
胎は膨れ四肢は融け、それでも生者は沈み続ける。
嗚呼、息が詰まる。嗚呼、視界が歪む。
水底に至るのは何時のことか、あぶくは水面に至るだろうか。




