精霊の舎-18
ホンナは、ポロポロ涙をこぼし続ける
夢のマギを見てほほえんだ。
「で、夢のマギ、君は、その情熱や怒りを
発散する術は知っている?」
「・・・物を書く趣味のことを言ってるの?」
「やっぱり、君も物を書く者なんだね。
よかった。で、そちらはどうなっているの?」
「どうって、ただ書いているだけで・・・
何の成果も得られていないわ」
「・・・そうか」
夢のマギがマギであるならば、
これから物書きとして、どのように大成
していくか事細かに知っているホンナは、
そこで口をつぐんだ。
運命を語ることは、預言者でなければ
許されない。
精霊は、迷える魂を正しく導くことが
仕事で、運命に関しては、せいぜい過去の
事柄を語ることが許されているくらいである。
しかしマギは、精霊ではない。
そこで、彼女はいとも簡単に、夢のマギに
こう告げた。
「あなたは、目覚めた者、創造する者なのよ、
夢のマギ。あきらめないで、物を書き続けて。
それに、生産者という人間本来の仕事は、
あなたには、関係ない。
適当に子供を産んでいる人たちも、
いい加減に見えるかもしれないけど、それが
仕事なの。
自分の考えや魂を重視するより、とにかく
新しい生命を次の世代につないでいく、
という、大変な仕事。
それはそれで、人間という種の中核の仕事
だけれど、あなたは無理してまで、それに
関わる必要はない」
ホンナは自分の口を通して言うべきことでは
ないと知っていたが、マギが言うのは黙って
聞いていた。
夢のマギは、自分なりに薄々そういったことに
気付いていたらしく、更に深く考えこんで言った。
「・・・私は、人間じゃないのかしら?
人間としての幸せは、つかめないように思える。
フィカとも、このまま終わってしまうのね、
そうでしょう?」
続




