精霊の舎-16
夢のマギは、突然激しく語り出した。
「もう、何もかも遅いわ。
私の心は、絶望に閉ざされて、
狂いかけている。
夢も恋人も、何もかも失った今、
あとは、自分自身が消えてなくなることを
祈っている。
だから、こんな世界に呼ばれて来たんでしょう?
幸せそうな私が存在する、パラレル・ワールドに。
それとも、こっちが本当の世界なの?
だったら、私の怒りは一層・・・!」
マギは、夢のマギの激しい怒りに一向に
動じることなく言った。
「夢のマギ、話してごらんなさい、
あなたは、今、いくつになったところ?」
「・・・29歳と6ケ月」
マギはちょっと考えて、うなずいた。
「三度目の仕事に就いて・・・ちょうど
フィカからの返事を待っているところね」
夢のマギは怪訝そうに、マギをにらんだ。
「・・・どうやら、あなたは、何もかも
知っている、マギの本体のようね」
「ええ、私は、マギという人間の一生を、
すべて知っているわ。
そのマギによって、楽しさや苦しさの
感じ方は違うけれど、どのマギも、
大筋は同じ人生を生きている」
「・・・私と同じ人生で、もっと楽しく
生きているマギもいるの?」
「ええ、もっと苦しんでいるマギもね」
「私は、苦しんでいる部類のマギよね、きっと」
「そうかもそれないし、
そうじゃないかもしれない。
マギという名で、この人生を送っている者は
星の数ほどもいて、そんな簡単に分類
できるものじゃないわ」
それを聞いて、少し微笑んだ夢のマギを、
マギはそっと起こした。
「もしよければ、一緒にお茶でもいかがかしら」
続




