私となろうと小説と
今のなろう小説と言えば無双、転生、やりなおし、愉快痛快が常であって、読者にストレスを与えてはいけないモノになりつつあります。
けれどそんな中でこんな鬱々とした話を書いたのはなぜか。
正直快いものではない事に自覚はあります。
それでもと思ったから書きました、それだけです。
それだけではありますが、さすがにたったのこれだけでは語弊があると思います。
なので、ちょっとだけその仔細を書き綴っておきます。
私にとっての最初の理不尽と言えば、近所に住む同級生でした。
年中短パン半袖でゴリラみたいなやつ、そういうイメージで結構です。
そんなガタイのいいやつに、気が向いた時にボコボコにされていました。
私が比較的豆粒ドチビだったのもありますが文字通りです、加減も何もありません。
酷い時にはそいつときたら段位を持とうという年齢にもなって、竹刀どころか防具もロクにつけていない他人の頭に大会有数の威力で面と一声鋭く竹刀を振り下ろしてきた事もありました。
コテンパンにされて「スポーツマンシップなんてうそっぱちだ」なんて喚いたものです。
しかし、今回の話の本質はそこではありません。
そのあとの「周りが取った行動」が問題でした。
同級生の親は「子供のやる事だから」とこちらの頭にくっきり浮かんだたんこぶを見ながらそうのたまい。
担任教師は「イジメられる方にも問題がある」とこちらに矛先を向けてきて。
あまつさえ同級生の成績優秀さゆえに学校側の応対はおざなりで「無かった事」にされかかった事でした。
さすがに親が怒鳴り込んだことで鳴りは潜まりましたが、今でも鮮明に覚えている話です。
生徒会長の信任投票に不信任と書いた時もそうでした。
私の身体的特徴とどんくささをつついてくる人物だったので不信任と書いて投げ込みましたが、あとから不信任と書いた生徒は担任に呼び出されて「なんで不信任にしたのか」と糾弾されました。
担任は私たちに原因があるとばかり言ってくる、そんなに成績トップの「都合のいい子」が大事か。
有象無象より優遇したいのはわからないでもないけれど、それにしたってそこと比較してこっちを貶してくるのはなんなのか、と思いながら担任に理由を話したものです。
オチがあるとすればその後、生徒会長に「お前の票が無くても生徒会長なれたわ」と正面切って言われたコトでしょうか。
これだけならきっと「俺の方がもっとひどい目に遭ったことがあるし」とか「そんな程度か、もっとすごい事されたぜ」という不幸自慢が始まるでしょう。
笑いのネタにもならない体験談はさておき。
そういう「本人にはどうしようもないこと」というのが出てきた時に、学校という枠組みの中で何が起きるのか。
なんとなくでこうして話を作り始めて、一息に二千字程度。
本編におけるとある「手紙」についてを先に書ききって、そこまで順番に、一回につき二千字程度で分けてそうした理不尽と「直接的には戦わない主人公」を書いてみよう、と思ったのが発端でした。
面白くないと言われたらやり方を変えてみればいい。
変わってると言われたらそれは誉め言葉でいい。
流行じゃないと言われたら最初からそのつもりですと言えばいい。
そんなつもりで気軽に登録して、書き始めました。
理不尽で本人にはどうしようもない事だけど、周りが動くこともある。
時間が解決することもある。
ちょっとした事が口火になる事もある。
そうした体験談を、ほんの少しだけ面白おかしく時々鬱々と脚色して。
文にしてみたい、書いてみたいと思ったからここに来ました。
反応が貰えてうれしかったし、感想が頂けたこともあって。
もう少し書いてみよう、もうちょっとだけ続けてみようと思って積み上げてきました。
今でもゆっくりではありますが書いています。
書きたい事がブレてはいけない。
内容と伝えたいことがぼやけてはいけない。
この人ならこう言うだろう、行動するだろう。
そうした積み重ねを今でも続けています。
どれが正解とかそんな無茶苦茶な事を言うつもりはありませんので、読んで「何か」を感じていただけたなら、それで十分だと思っています。
今回動機については話しましたが、物語における最終的な意図については話しません。
完結していない、というのもありますが。
それも読者の皆様が勝手に思って勝手に判断してくだされば十分かと。
贅沢を言うならそれを「感想」という形にしてぶつけていただければ、と思うくらいでしょうか。
流行り廃りからは遠いし、一風変わっていて最後まで読まないとよくわからない話かもしれません。
それでも、伝えたい事は出来る限りくっきりとした輪郭を持たせてここに載せてきたつもりです。
わかんねぇよ!と仰る方がおられましたら申し訳ありません、私の乱筆乱文実力不足が原因です。
もう少しだけでもいいのであたたかく見守っていただければと思います。
輝かしかったはずの青春に、塗りつぶされたような真っ黒な感情がまるで写真に焼き付いたみたいにこびりついている事も確かです。
竹刀で打ち据えられた事、お前に価値はないと野次られた事、車に撥ね飛ばされた事、生理的に受け付けないと言われた事。
どれもこれもロクなものではない私のカサブタですが、それが作品に関わるエネルギーになっているのだと思って上手にコントロールしている、という側面もあります。
ですが、せめて私の惨めな体験談が物語となって誰かの日々を生きるヒントになれたのであれば、ここにつらつらと書き連ねた甲斐があったかなとは考えています。
ここまで長々と読んでくださって、ありがとうございました。
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