表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かわいいモノに囲まれたい!  作者: あるみかん
8/35

新生活!!

 窓から光が入ってくる。カーテン越しのやんわりとした光は部屋を暗くなくするほどだが、朝を感じるには、ちょうどいいや。僕は大きく伸びをする。視界には、まだ見慣れない天井が広がっている。


「そういえば、引越ししたんだっけか。」


 呟いたその一言で、頭が覚める。起き上がりカーテンを開けると、そこには住宅街がある。同じくらいの、と言っても小学六年生ほどの背格好の、帽子を被った子どもが、走っていった。犬と一緒に歩くおばあさんに会釈をしている。


 久しぶりに、僕も走ろうかな。よし!!思い立ったらなんとやら。早速走りに行こう!!


 ぐ〜、と間の抜けた音が鳴る。そういえば、昨日は晩ごはん食べてなかったなぁ。とりあえず走るのは後回しにしようっと。まず朝ごはんを食べないとねっ!!




~~~~~




 朝ごはん食べてる時に思いついたけど、僕も今は女子だから、ごはんのひとつやふたつぐらい作れた方がいいよね?男子に戻っても作れて悪いことはないし!!


「叔母さん。」


「叔母さんなんてのも堅苦しいわね……莉子(りこ)さんとお呼び!!」


 むぐぐ……


「莉子さん、僕に料理を教えて。女子になったんだから、作れた方がいいと思うから。」


「そんなに改まらなくても、もっと砕けていいのよ?まぁ、教えてあげるわ。」


 やった!!


「ただ、女子だから、なんて言うのはちょっと納得できないわね。朱里ちゃんがダメ人間みたいじゃない。普通に手伝ってくれていいのよ?」


「うぐ……」


「とりあえず、今日はもうできてるから、食べちゃいなさい。朱里ちゃん、起こしてくるわね。」


「は〜い。」




~~~~~




 この前、公園で遊んだのと同じ服を着て、ドアを開ける。さすがに靴はピッタリのやつ買わないとなぁ……靴が擦れて若干痛い。今度、近くのショッピングモールにでも行ってみよっかな。


「ちょっと走ってくるね〜。」


「迷子にだけは気をつけなよ。絶対だよ。」


「分かってるって。」


 もう中学生で子どもじゃないんだから。見た目は子どもだけど。それにしても、やけに念を押してたような。




~~~~~




 僕は今よりも小さい頃、何回か来たことこそあるけど、それでも知らない土地なわけで。


「ここ…どこ……?」


 迷わないわけがないよね。しょうがない。うん。知らない土地ではしゃいで、遠出してはいけない。心にそう深く刻んだ。


 ……僕が知ってる建物を見つけないとなぁ。それか親切な人。ただ、早朝の住宅街で人はいないなぁ。そういえば、迷路では左手の壁沿いに進んで行けば、ゴールにたどり着けるんだっけ。ちょっとダメ元で試してみようかな。


 そんな馬鹿なこと考えてるうちに、起きた時に家の前を走っていった人が、角から出てきた。


「すいませんっ!!」


 その人は立ち止まってくれた。知らない人から声掛けられたのに、とても親切な人だ……


「ちょっと道に迷っちゃって。家に帰れないんです。教えてくれませんか?」


「うん、いいよ。おうちはどこにあるの?」


「引っ越してきたばかりで分からないんです…」


「引っ越してきた……そういえば、トラック止まってたな。もしかして、名字は福本だったりする?」


「そうです!!」


 その人はニッコリと微笑んで、


「家が分かったよ。案内してあげるね。」


 親切な人で良かったぁ。




~~~~~




 その人に家まで案内してもらった。結果的に走れたし、無事に帰れたので、最高だね。姿を隠さなくていいって清々しいね。


 その人は、走り去っていった。速いなぁ。もう背中が見えない。


「あ、お礼!!」


 忘れてた。やっちゃったなぁ。そういえば、名前も聞いてないし、帽子を深く被っていたから顔すら分からなかったけど、また会えるかな?毎日走っているっぽいし、また会えるでしょ。


 今度あったら、お礼を言わなきゃね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ