叔母さん!!
引越し当日です。というかもう叔母さん家の最寄り駅です。
「随分短かったね〜。」
「そうは言っても一時間もあったよ?」
「そう?いや〜、歳を取ると時間が経つのが早いもんじゃ……」
「僕より年下でしょっ!?」
「今は同い年でしょっ!!」
こんなやり取りをしながら歩いていると、すぐに叔母さんの家の門の前に来てしまった。
「……どうしよう!!自己紹介とかいるかな!?」
「多分大丈夫だって♪」
……不安だ。多分って言ってるんだもんなぁ。
ピンポーン
「朱里!?まだ心の準備が……」
「いらっしゃ〜い……あら?」
「は、はじめまして?わた、わたしは福本……」
「聞いてるわよ。光希くんも……可愛くなっちゃって。」
「叔母さん、元からですよ♪」
ちょっと!?
「光希……今は光希だったわね?無理に私なんて使わなくてもいいのよ?」
「え?」
驚いて思わず聞き返してしまう。
「でも、僕なんて使ったら変じゃないですか?私、今は女子なんですよ?」
「そこは大丈夫よ。光希ちゃんの個性になるわ。それと二人とも敬語禁止っ!!これから一緒に暮らしていくのに、堅苦しいのは嫌よ?」
「「はーい!!」」
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荷物が届いた。今日の午後予定だったのに……ってもう午後か。
いやぁ、時間が経つのは早いなぁ、ってこれじゃ朱里のこと言えないね。
僕は玄関に出て、トラックから段ボールを下ろし始めた。
「むぎぎぎ……」
横目でひょいと叔母さんと朱里が持ち上げている。心なしか大きく見える気がする。僕も頑張らなきゃな。
……ん?下駄箱の上にフィルムがない飲むヨーグルトの容器が三本ある。二つは空で、残りの一つは無色透明な液体が入っている。何も浮いてないから水かな?
容器の下に付箋がある。箇条書きで、筋肉増強、効果時間改良済、と書いてある。
……もう何も言わない。僕は朱里を信じて、それを一気飲みした。
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段ボールを運び終えた。二人以上で運ばなきゃいけないような重い箱がなかったので、楽だった気がする。服だけだからそれもそうか、と納得してみたけど、違和感を感じる。なんか箱の量が多かったなぁ。
それはそれとして、業者の方に、ありがとう、と言っておく。業者の方が若干引いてたのは、荷物の多さにだと信じたい……
後、部屋は大学生になった従姉妹のと物置部屋みたいになっていた部屋があるらしい。公正なジャンケンの結果、朱里が従姉妹の部屋、僕が物置部屋を使うことになった。正直安心してる。いくら親戚で、しかも昔と言っても女子の部屋はまだ怖いなぁ。
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置いてあったものを空いた段ボールに入れて押し入れに詰め込む。持ってきたタンスに服を入れて、ベッドと机を置いたら、ぬいぐるみをところどころに置いて、模様替え終わり!!
割と殺風景な気がしてかわいいしたいし、なんでタンスとベッドと机があるのかも不思議だけど、なんだかものすごく疲れたから、早いけど、もう寝ることにしよう。
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「光希〜、晩ごはんできた……っておっとクマのぬいぐるみ抱くのは反則だって。」
疲れてたんだろうなぁ。そっとしておいてあげよ♪
パシャリ
「おやすみなさい。お姉ちゃん。」