引越し!!
「三日後から、叔母さんの家だから、はやめに荷物まとめときなさーい。」
卒業式も終わりぐーたらしていた僕の耳にお母さんの声が聞こえてきた。
「三日後?」
「三日後。」
返事を聞いて安心した僕は、そっと、読んでいたマンガに視線を落とした。
「はやくにまとめなさいよー。」
はーい。
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僕、光希。引越し前日なのに何の用意もしていないの。何してたんだろうね。ずっとマンガ読んでたね。あはは……
過去の自分に呆れながら、段ボールに服を詰める。もちろん小四頃の自分の服だ。残っててよかったぁ。なかったら朱里の服を着ることになっただろうからね。
「手伝ってあげようか?」
「別にいいよっ!!」
朱里に任せたら、朱里の服ばっかりになりそうだからね……
「…って朱里はなんで段ボール持ってきてるのかなっ!?」
「なんでって……私も付いていくからだよ?中学校も一緒だよっ♪」
「初耳だよっ!!」
中学校生活が心配になってきた。二つ下の妹の双子 (?)として一緒に中学校に行くことなんて想像もしてなかった。というか、こんなことを想像できる人なんているの?
「ほら、速く手を動かすっ!!」
あっ!!言われて気づいたけど、本当に早くしないと、間に合わないかも!!なんで僕はボーッとしてるんだ!!
~~~~~
「ふぅ。なんとか終わったねー。」
良かった……疲れた……持っていくものが服だけで良かった……
体に疲れがどっと来た。今ならすぐに眠れる気がする。お布団はどこ?片付けてないから、多分あるはず……
チラッ、と朱里を見たらスッキリした顔で、僕の部屋を眺め、押し入れに手を伸ばす。
「そこは開けちゃダメっ!!」
間に合わなかった。朱里が押し入れの戸を開けたときに大量に流れてくる動物のぬいぐるみ。かわいくて、つい買っちゃったものの部屋に置くわけにもいかず、仕方なく押し入れに入れていたモノたち。
「ねぇ、光希……これ、持ってっても良い?」
朱里の目は輝いていた。かわいいモノ、やっぱ好きなんだね。そうなったら、僕にはもう止められない。僕は、親指を立てた。
……もう僕の部屋に置いても、別に恥ずかしくないもんね♪
ちなみに全部、朱里が詰めた。なんでそんなに元気なの……