卒業!!
今日は、卒業式だ。もう僕には関係ないけどね!!
「はぁ……卒業式でたかったなぁ。」
「卒業証書授与だけはやるでしょ?」
「校長室で!!卒業生が!!一人だけ!!寂しい!!」
「あー。そーゆー。」
友達は元気かなぁ。中学校で、また会えるまでほんのちょっとだけ寂しい。
「じゃ、私は卒業してくるから、お先に失礼♪」
「待って!?ど、どういうこと!?」
「飛び級した!!やったね!!」
手でピースを作りながら、朱里は言った。笑顔で言われてもうれしくない……っていうか、そんなこと、日本でできたっけ?
「ま、とりあえずいってきますっ!!」
「いってらっしゃーい?」
なんか納得できない。
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家の電話が鳴った。お母さんからだ。どうやら卒業式が一通り終わって、みんなら帰ったみたい。これから僕は卒業証書を貰いに行かなくちゃいけない。友達に出会ってしまうかもしれないから、なるべく隠れて行かないといけない。
……なんだか悪いことしてる気分。卒業式をサボっちゃったみたいで嫌だなぁ。
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「卒業証書。六年二組、福本 光希……」
校長先生が噛み締めるように読み上げる。後ろからは、お母さんの涙ぐんでいる感じがひしひしと伝わる。
「……修了したことをここに証する……おめでとう。光希くん。」
「ありがとうございました。」
深く腰を折った。これで、小学校生活が終わってしまったという実感はない。欲を言うなら、友達と一緒に卒業したかった。ていうか、朱里も卒業するんだったら、朱里のフリをすれば……やめよう。僕には無理だ。すぐバレちゃいそう。
「中学校でも頑張ってね。」
扉に手をかけた時に、声をかけられた。
「はい!!」
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これからはどうしよう。
せっかくだから女子になった一年間で、家事でも覚えようかな。
今の友達には……手紙を書こうっと。すぐそっちに戻る、僕のこと忘れんなよ!!って。
そんなくだらないことを考えて、僕は、小学校を後にした。