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水霜の精霊使い  作者: 黒本悠希
DE VORIGE DAG
1/9

Proloog

皆様初めまして。

ごゆるりとお楽しみください。


金色に染まった木の葉が、深い藍色に落ちた空に浮かぶ頃、セットファー宮殿から透き通る歌声が聞こえる。


People who burn anger Pray to Wasserleute

People who burn anger Pray to Bergleute

People who burn anger Pray to Feuerleute

People who burn anger Pray to Windleute


怒れる民よ、水の民に祈れ

怒れる民よ、土の民に祈れ

怒れる民よ、火の民に祈れ

怒れる民よ、風の民に祈れ


Wasserleute will purify everything

Bergleute will make a foundation that will not collapse

Feuerleute will burn everything

Windleute will make a way that will not bend


水の民は全てを洗い流し、

土の民は崩れぬ基盤を作り、

火の民は全てを燃やし尽くし、

風の民は曲がらぬ道を作るだろう


People who burn love Pray to Wasserleute

People who burn love Pray to Bergleute

People who burn love Pray to Feuerleute

People who burn love Pray to Windleute


愛する民よ、水の民に祈れ

愛する民よ、土の民に祈れ

愛する民よ、火の民に祈れ

愛する民よ、風の民に祈れ


Wasserleute will heal you and give strength

Bergleute will support you and give rich

Feuerleute will love you and give courage

Windleute will protect you and give wisdom


水の民はお前を癒し、力を与え、

土の民はお前を支え、富を与え、

火の民はお前を愛し、勇気を与え、

風の民はお前を守り、知恵を与えるだろう


Now get up Guardian

Now let’s go Avenger


さぁ、立ち上がれ 守護者達よ

さぁ、いざ進め 復讐者達よ




水霜(フロスティブルー)の髪を持つ少女は、声高らかに歌う。

誰もいないはずの宮殿で、一際大きな噴水が、少女の歌に合わせて踊り出す。


ふと少女の視線が茂みに移った。

酸藍(ブルー・アシード)の瞳は悲しみに暮れ、復讐に燃えていた。

ゆらりと水が模った女性が、少女を後ろから抱きしめる。

少女の首元を飾る逆三角のペンダントに、水の腕が触れる。

次の瞬間、茂みに隠れていた衛兵が、水に包まれた。

少女が興味無さげに視線を逸らせると同時に、衛兵は地面に倒れ、動かなくなった。









「何も殺さなくても良かったのに」


少女は自分を抱きしめる女性に、何の感情もない声で言った。


「下品な男よ。貴女を見ただけでも罪だわ」


話しかけられた女性は慈しむように少女を見つめ、また、対照的な声で言葉を吐き出す。

そして、歌うように囁いた。


「貴女の髪には女神が宿り、瞳は水の民の宝石、声は甘い蜜のよう」


恍惚な表情から一転、目を細めた女性は憎々しげに呟く。


「あぁ――、汚い男の目に触れるだけでも腹立たしい」


眉を潜め、慈しむように少女に手を伸ばす。

柔い頬に手を添え、少女の髪に口付ける。


「貴女は私達の愛しい人」


女性はゆったりと少女から離れる。


「日付が変わるわ。さぁ、お眠りなさい。私の可愛い人」


不安気な、寂し気な顔を見せた少女に微笑む。


「大丈夫。水がそばにある限り、私達が貴女を癒すわ」

「水がそばにある限り」


そっと少女は胸元に手を伸ばす。

揺れた逆三角のペンダントには、薄っすらと水が張られていた。


「おやすみなさい、ウルジュラ」


漸く安心して笑顔を見せた少女に、ウルジュラと呼ばれた女性は、優しく微笑み返した。


「えぇ。おやすみなさい、マルリース」


女性は少女が部屋に戻るのを確認すると、庭に倒れている男性を、宮殿の外に放り出した。


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