結末
4話
時が過ぎた。動きがない。
西の酉はどうすれば良いか迷った。外に助けを呼びに行くか、それともこの隙に剣を奪ってしまうか。しかし、この結末をみたい。見なくては奪う意味がない。
西の酉が考えている間に少年が目を開けた。そして声にならない叫びを発した。
瞬く間に市長も起き上がった。
市長は此処が何処だかわからないかのように彼方此方を見渡し、言葉にならない声を発した。
少年は叫んだが大人しくなった。
西の酉が市長に聞いた。
「だ、大丈夫ですか?」
しかし、言葉にならない言葉しか出ない。少年がまた声にならない叫びをあげた。
市長がはっとしたようにもごもごと言った。
「私はサウロ。」
西の酉は戸惑った。戸惑いつつ、少年に問いかけをしてみた。
「おい、奴隷!お前も何か喋れるか?」
少年がやっと言葉を口にした。
「私は市長。」
西の酉は更に混乱した。市長がサウロを名乗り!少年が市長を名乗っている。
少年の言葉はもともとわからない。市長の気でもふれたのか、一先ず落ち着くんだ。落ち着いて市長と話をしよう。
西の酉が市長に問いかけた。
「市長は先程から言葉を失っているようですが、一体何が起こったのでしょう?」
市長は何か喋ろうとしたが言葉にならない声となって出た。
西の酉がとっさに高級奴隷に命じた。
「市長がご乱心だ。取り押さえろ!」
そのとき、とっさに市長が動いた。
床に落ちていた剣を取り、西の酉の貴族の心臓目掛けて剣を出した。
西の酉はとっさの市長の動きをかわすことができないまま、剣を心臓に受けてしまった。
そしてまた、剣の刺さっているところからは血は出ず。今度は市長が言葉を失った。剣は弾き出されず、西の酉を弾き飛ばした。
西の酉は倒れかけた…だが倒れなかった。ふらついたが持ちこたえた。床に落ちた剣を取った。
動揺している高級奴隷を一目みて、西の酉は後ろを振り返り、扉を開いて走った。
走りながら呟いた。
「私はサウロ。」