表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

空から宝石

11話

サウロは石の追い剥ぎの言葉を後に屋敷に仕える奴隷となった。

藤の沢は病気だった。日々苦しんでいた。サウロに問いかける。

「生きるということは苦しみなのだろうか、それとも楽しみなのだろうか。私には答えが出ない。ただ、一人の娘のことを考える時、この命だけは羽ばたかせてあげたいと思っている。」

サウロが応えた。

「私はかつて片脚を更には命を失いかけにもかかわらず動く事ができる。何かしらの縁で生かされていることに、感謝する気持ちの方が大きいかもしれない。ハンナ様のことは私にとっても美しい希望です。」


藤の沢が夢虚ろに語る。

「ハンナがもし男子であったら、世界を旅させてみたかったものだ。女子として生まれてしまったからには私が許しても世界が許さん。娘は幼い頃から世界の国々のお話が好きだったが、いまでは各国の政治経済まで知識を深めておる。何とかならんものか…何とか…。」



サウロの屋敷に仕える奴隷としての生活は贅沢ではなかったものの、苦しいものではなかった。しかし、こうやって一生を終えていくことに疑問を感じていた。一方で不穏な話も耳にした。藤の沢の影響の強さを欲するがために藤の沢の娘を半ば強引に家の嫁に迎えようという一部の貴族の動きだ。

訪れてはならない日がやってきてしまった。とある夜、屋敷に何者かの特殊集団の侵入を許す。

サウロが気付いた時には手遅れで、藤の沢の寝室への扉は壊され通れなくなっていた。急いでハンナの寝室に向かう。


娘の寝室に入ったサウロがハンナに声を掛ける。

「少し今日は騒がしい夜のようです。なんでも空から宝石が降ってくるとか、どたばたと騒がしいのはそのせいです。」

気を紛らわす話もままならないまま、数人の駆け足の音が瞬く間に近寄ってきた。サウロは一瞬の決断をした。秘剣を藤のハンナの心臓めがけて突き刺す。


ーーーー


特殊集団は寝室に入るとものの十数秒でハンナを抱えて去っていった。


---ー


ハンナの中にはサウロが入っていた。


(第二章─完)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ