奴隷オークション
第一部「不死の大王-誕生-」
あらすじ
ー古代ー文明都市の一つ西のポリスに運ばれて来た一人の少年「サウロ」。奴隷オークションの末、ポリスの市長に特別に招かれる。市長が「太陽と砂の国」より手に入れた人の姿を入れ替える「秘剣」の力によって新しい姿を手にしたサウロは奴隷の身分を抜け出そうとする。中のポリスでの追い剥ぎとしての生活を経て貴族の屋敷に使えた後、少女「ハンナ」の姿となり東のポリスへ運ばれる。東のポリスで仮初めの力を得たハンナは軍を率い太陽と砂の国を侵略せんとするも業火にやかれ…
(序章)
1話
古代──ポリスという文明都市がいくつも点在していた。ポリスは各々独立した都市であったが、外部との交流も盛んだった。
ポリスの門が開くときがいくつかある。その一つが奴隷をポリスに入場させるときだ。ポリスの門が開こうとしている。
──カーン、カーン、カーン──
扉の開くことを知らせる音だ。
そして、紐に繋がれた奴隷が運ばれてきた。
これから、貴族にとってお楽しみである。
奴隷オークションだ。
ここ西のポリスには何十人もの貴族、そして、何百もの奴隷が住んでいる。
そして、その貴族の長に立つものは市長と呼ばれた。
市長は気紛れだ。
今日のオークションもそうだ。
闘技場に紐に繋がれた奴隷が運ばれてきた。
ざっと二十人。
このポリスの市の貴族には身分の差がある。そして、奴隷の中にはもっと厳しい身分の差がある。
屋敷に使える奴隷をオークションで奪うのだ。
もっとも身分の高い貴族が結局は勝つのだが。
奴隷に見世物をさせる。今日のお楽しみだ。
大きな林檎のよう丸い果物を真二つにする。ただし刃物は使えない。
これが今日の見世物というか、ゲームというか…
貴族にとってはゲーム、奴隷にとっては命をかけた戦いのようなものである。奴隷達が紐で繋がれて出て来た。
闘技場だが、ただ戦うのでは詰まらない。
──新しい刺激が必要だ──
闘技場の真ん中に高級奴隷が真ん中に果物を運んできた。
高級奴隷とは貴族に使える奴隷の中でも身分の高いものだ。
そして、市長が声を上げる。
「さあ、この果物を真二つに割ってみせよ。」
上手く割れた奴隷は貴族に仕える奴隷になれる…かもしれない。