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序
ごうごうと聴覚を揺らす音に瞼を押し上げる。
そこは一面の火の海だった。
夢の中だというのに……
熱い。
それは周囲の、家屋の残骸と思しき木切れを舐めるように焼き尽くす炎の熱だ。
夢の中だというのに………
痛い。
それは、炎の熱が肌を焼いてくるのもあるだろう。
なによりも………………―――息苦しい。
………その理由は。
「それで終わりか?」
重々しい靴音とともに声が聞こえ、堂々巡りであった思考が断ち切られる。
声の主がこちらに向かってゆっくりと歩いてくるのが見えた。
これは夢だ。
それも…………とびきりの悪夢だ。
すぐにでも目を覚まし、彼ら…刀剣男士たちと他愛無い話をしたい。
そう願わずにはいられなかった。