第三話 誓い
突きつけられた銃を俺はあんぐりと見つめていた。
ああ、あの地獄の試験を超えた俺がこんなところで死んでしまうのか。そんな感情が渦巻く。
短い生涯とはいえ色んなことをした、勉強だけの人生ではなかったといいたい。
「俺は違うんだ、そんな暗殺なんて大それたこと出来ない」
必死の弁明をするが
「問答無用だ」
葉月は俺に向けて銃弾を発射する。俺は死を覚悟した。
発砲音が鳴り響いた。
「あれ……」
俺は死んでない、それどころかピンピンしてる怪我一つない。
「どうやらお前は本当に無罪のようだな」
「えーっとどういう」
「今弾を発射する素振りを見せた。君が犯人なら殺されまいと抵抗をするはずだ、何もせず目を瞑っていた時点で君はただの一般人と証明されたわけだ」
「よかったあーーーー」
彼女は俺のことを試していたのだ。とにかくこれで俺の命は救われたわけだ。
「僕にとって良くはないんだがな、僕の持っている手がかりが全て途絶えたわけだ」
残念そうにしょぼんとした表情をする葉月楓。さっきまで男装をしているから気が付かなかったが、非常に可愛い顔たちをしているなとかそんなことを思った。
「君は本当は理一を受けようと思ったわけだろう?」
話を振られ現実に戻される。
「ああそうだよ」
「なら頭はいいんだろう? 僕の犯人探しを手伝ってくれ」
「えーーーー」
せっかく命が助かったのにまた命を危険に晒すような真似はしたくなかった。それに何の見返りが俺にあるのだろうか。
「もちろん見返りはある、14%これが何の数字か分かるか?」
「えっと分からない……」
「これはな東京大学理科四類の生徒が無事三年生になれず途中で死んでしまう確率なのだ」
「そんな……」
「教授も常に目を光らせてるがそれでも私闘は存在するのだ。 そして三年生になればお前が元の道へ戻れる方法がある」
「まさか進振り」
「そうだ、三年生まで生き残れれば進振りで工学や医学や様々な学部に行くことができる。 最も殺人学部からそこへ行くやつなんて今までに例はないがな」
それはそうだ、俺たちが殺人学部の存在を知らなかったのもそういう理由かもしれない。
「分かったよ、なら契約だ。 この二年間君は俺の命を守ってくれ。 その代わり」
「私の兄を殺した下手人の犯人探しに手伝ってもらう」
ぎゅっと僕と彼女は握手をした。
一方、それを見ている。男が2人
「Dr.Jよ、無事2人は接触出来たようだな」
「はい、全ては首尾よく回ってます」
「東京大学の事務局に忍び込ませ願書を改竄させたり、地下コロッセオキャンパスの試験場ではお前にバレないように彼を助けるという退任を負わせた」
「いいんですよ、結局生き返れたし」
「そうお前に俺は感謝している、だから」
「死んでくれ」
もう1人の男が指を鳴らすとDr.Jの下半身は消失した。
「ぐわああああああああああグきゃああああああああああああああ」
Dr.Jは絶命した。
「私は誰とも関わりを持つわけには行かぬのだ。 さてこの体もそろそろだな」
男は眼下の二人を見てから去っていった。