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第40話 そう言えばショーデビューじゃない?

「むかーし昔に各派遣会社渡り歩いて、連者モノのピンクだけ盗んでく不届き者が居たから毎年集まってその年の連者衣装を選り抜きして1セットだけ残して壊す様になったんだぜぇー。…でもコソっと俺マスクドライダー野郎黒の全身持ってるw」


…なんて沖田さんの蘊蓄(うんちく)と犯罪自慢を絶賛聞き流しながら衣装箱運んでる阿久津ヒロムでーす、立ち回り忘れそうなんで話しかけないで下さいでも今度こそっと着させて下さいライダー黒。


祭り会場に到着した途端に山崎さんと土方さんは何処かへ。

「多分クライアントさんに謝罪と打ち合わせだろうから俺等は準備しよーぜ。」って齊藤先輩。沖田さんはって言うと、…何やら山崎さんが持ち込んでた謎の機械を音響席で弄ってますが…何ですかソレ?


SE(サウンドエフェクト)・サンプリングマシーン・サンプラーとも言う、各ボタン押すと色んな効果音が出る優れ物。ドスッとかボコッとか殴ったりした音とか、獣神者なら大獣神の吼え声入れたりとか、今回主に使うのは剣の打ち合いのキンキンカキーンッてヤツ。

まぁココは任せて準備しとけー☆もうすぐ始まるぞ。あ、ショー終わっても着替えるなよ、そのままちょっと仕事があるから。」


そうだ、まったりしてる暇は無いんだった、控えテントに戻って慌てて着替える。演歌歌手さんのオンステージもどうやら次の曲が最後みたい。


あ、山崎さん達帰ってきた!着替え手伝います、背中のチャック上げてマントの止めパッチン付けて面を渡…うわぁ面の口元、下顎部分ガッツリ開いて丸見え…へぇー喋りショー用に削ったんですか何かヘルメットみたい。


全員面以外着替えて円陣、ゴールデンウィークの時も見たけどショーの直前は必ず皆でこうやって士気を高める。


「進行のMCさんに呼ばれずに乱入ってカタチでイキナリ始めるから、呼ばれたら出て来てね。ホントはもうちょっとちゃんとしたショーでデビューさせてあげたかったケド…ま、オメデト☆」


「今回は本当に申し訳ありませんでした、ステージでは堂々と戦闘員で。同僚はリアルの先輩齊藤で上司は会社社長、主役は私。ーほら何の不安も無いでしょう?」


「はっはっはーヒロム、大丈夫だって。主役じゃないしお前得意のモブだし☆お笑いショーだから立ち回り忘れても俺等で何とでも美味しくしてやんよ☆だから全力で楽しめぃ」



ーはい、よろしくお願いします!



控えテントから山崎さんが顔だけ出して音響席の沖田さんに合図、途端に始まる大音響のビットマンOP曲、テントの出捌け口で深呼吸して面を被る山崎さん。少しずつ音が絞られてって…



「ふははははは!この会場は我が支配下にある、(おのの)け!恐怖しろ!我が糧となれ人間どもよ!!」


マイク片手に山崎さん登場、お客さん達はタイムスケジュール的にはハワイアンダンサーズだと思ってるから吃驚仰天。


「ははは!セクスィーなお姉様方が来ると思っていただろう!?残念だったな、「獣神者がダンス習いたがってまーす♪」と騙して足止めに利用しておるから誘拐ではない、安心しろ関係者よ。

兎に角…この祭り会場は我等が乗っ取ってくれるわ!出てくるがよい我が手下、斎藤君と阿久津君よ。」


呼ばれたら…って本名で呼ばれたぁぁあ!?え?こんなに普段のショーと違うものなの?見た目戦闘員なんですけどぉぉぉ?あー子供達からも呼ばれてる…。あわわわわ出なきゃ…。


出ようとした瞬間に戦闘員の先輩に首根っこ掴まれて「やる気ない感じで俺と喋ってる感じで出るぞ。」へ?


そのまま肩を抱かれたまま時折バンバン叩かれながらステージに出る、先輩は空いてる手で「アレがさぁコレでさぁ、それがね〰️」なんて呼ばれてる事マルッと無視でやりながら…ステージ横切って元のテントへ…テントへぇえええ!?


「帰るな手下ぁぁあ!!速やかに駆け足で整列しろぉおおお!!」


「行け」って背中を叩かれたので慌ててステージへ、えーと山崎さん真ん中(センター)だから先輩と俺でやや後方で挟んで3角形の形でいいのかな?取り敢えずペコリと頭下げる。先輩は…ダラダラと歩いて来てヤンキー座りで煙草吸ってる動き。


「全く…これだから中間管理職は舐められて嫌なんだ出世したいブツブツ…。

さて気を取り直して斎藤君と阿久津君、見たまえ地球人の子供達が沢山居るだろう?この年齢層から悪の教育を施していけば悪のエリート戦闘員…行く行くは大幹部…は、我輩より偉くなるから駄目だ…兎に角元気そうな子供を3人ステージに連れて来るがよい、悪の道に引きずり込んでやるのだ。行けっ!」


先輩が客席へ…着いてこいのジェスチャーが見えたので慌てて続く。きゃー☆と嬉しそうな悲鳴?と親御さんに引っ付いてガチ泣きの幼児なお友達達。「この子どうだ?」「どーですかねー?」「身長はこのくらいの…」「ガタイのいいの…」とかゼスチャーしながら、先輩が3人チョイスして舞台上へ。うん、泣かなそうで元気良さそうで()()()()()()()()な笑顔の子達だ、流石先輩。ステージ降りてから背中どつかれたり蹴ってきたりみんな意外と攻撃的(笑)


山崎さんが最初の子にマイクを向ける、ちゃんと膝を付いて目線を合わせる良い人だー悪役なのに(笑)

「よく来た未来のエリート候補生よ…小僧幾つだ?」

「7歳ー☆」

「何連者が好きだ?」

「獣神者ー!!」

「そっかー、獣神者か格好いいもんなー☆…って斎藤ぅうう!!悪のエリート候補を探して来いと言っただろうがぁああ!!」

詰め寄ってくる山崎さんにまぁまぁと肩を叩き耳元に手をやりゴニョゴニョと先輩。


「え、今から洗脳していけば大丈夫?…そうか、そうだよな。よし待たせたな次の小僧、をを中々のイケメンだな。……小僧今日は誰と来た?」

「お母さん…」

「何故照れる小僧、さてはお母さん大好きだな。…此方の小僧のお母様ーいらっしゃいましたら手をお挙げくださーい!」


客席から照れ笑いながらおずおずと手を挙げる女性、俺も思わずおおおぅ美人っって感じのリアクションをとる。てかぶっちゃけ自発的に動けない、恐くて(笑)


「…なんと美しい。おい小僧、いや息子よ…新しいお父さんだよ。お母様、先ずは交換日記からの結婚式は我輩の心の故郷ハワイでゆくゆくは戸建てに犬飼ってパンジー植え…」


ーってステージを降りようとした山崎さんに、絶妙なタイミングで先輩がハリセンで突っ込んでステージ内に転がして戻す。因みに俺は寝言を言い出した時に控えにハリセンを取りに行った先輩に付いていって転がされた上司の横で盛大にタメ息です。この状況、よく事務所で山崎さんと土方さんがリアルにやってるの見た事あるんで(笑)


因みに狙われたお母さんは、横でお父さんらしき男性が「お断りじゃー」と笑いながら抱き寄せて隠してたでござる。


「くそう、またフられた!あぁぁ結婚したーい出世もしたーいこんなブラック企業から転職もしーたーいっ!もーぅ面倒だから3人目は省略!健康か?なら良し採用!さぁ!最初の小僧よ我輩に忠誠を誓え!「やだ」何ぃ!?ならば次の小僧は「やーだーぁ」くぅう!最後の貴様もかっ?「いーよー」…ありがとう小僧略したのに優しいな小僧、でも少し空気読め小僧…。さ、気を付けて席に戻れー。最後の小僧は後で契約書持ってくるからなー。さぁ地球人共ー3人に拍手をするのだ。」


子供達をステージから下ろして定位置に戻る、…アレ?そう言えばビットマンどうやって現れるんだろ?


「さぁ斎藤君契約書作成したまえ、阿久津君ー、家に持っていく茶菓子買ってきなさい。修羅の国名物はやはりピヨコ饅頭かなー?1度基地に戻り店員のアドバイス…「そうはさせないぜ!」ぬぅっ!何奴だ!?」


BGMが鳴り響き赤ビットマンが現れる、ーあ、沖田さんが隠れて喋ってるんだ。


「獣神者から何故かハワイアンダンス習わされてて祭り会場に行けないってヘルプコール貰ってね。みんな!待たせたな、電子の波を(くぐ)って参上☆電子戦隊ビットマン!赤ビット!」


ワッと盛り上がる会場、コソッと裏で剣を持つ俺等。さ・て・と、立ち回り覚えてっかなぁぁぁあ(泣)トチりませんようにー。えーと先ずは俺が斬りかかって受け流されーの………



結果:我等戦闘員はオマケでした☆



戦闘員退却した後は怪人と赤ビットの1対1、フライングニールキックを側転ロンダートで避けて、足元を斬りつけて来たのをトンフェイで交わし真っ向斬りを柳で受け流し…、今までののほほん空気がガラッと変わってどよめくお客さん。


驚いたのは音響席の沖田さん、「はっ!」「せやっ!」「何がハワイだ彼女出来てから言え!」と台詞を言いながら抜群のタイミングで音を入れてる。「うるさい!本気になればこの会場の女性全員我輩の嫁じゃぁぁぁあ」なんてマイク片手に立ち回りながら言い返す山崎さんもある意味凄い(笑)


うん、レベルが違いすぎて俺等居たら邪魔でしかないわー…その後も散々見せに見せつけて「おのれぇえい連者共はいつもいつも邪魔ばかりしよって!今日のところはこの位にしといてやる!あ、バイトの時間だ☆」で怪人は退散。舞台には赤ビット1人… あ、マイク持った。


「応援ありがとな~☆獣神者から会場のお友達に伝言~『今日は来られなくてごめん、ダンス上手くなって来年こそ遊びに来るから待っててな』だってさ☆お詫びにって獣神者の缶バッチ預かって来てるぜっ。

おーい戦闘員の斎藤君と阿久津君、どーせその辺に隠れてるんだろ?敗者は勝者の言う事聞くもんだぜ、配るの手伝いな!」


あ、ソレで帰っても衣装脱ぐなって言われてたのか…。ヘコヘコしながら缶バッチを受け取って子供達に配る。無料配布か…なら300個位は用意するわな、足りて良かった。

沖田さんと着替えた山崎さんをスタッフに写真撮影会、何故か戦闘員2人も赤ビットの横に居ます…ある意味レアなのでお客さんは喜んでたから…ま、良しとしよう。


「さーて、そろそろ獣神者も心配だしパトロールに戻るぜ!みんな!祭りだからって食い過ぎんなよ~、電子の波を潜って参上☆電子戦隊ビットマン!じゃあなっ♪」


赤ビット退場、俺達も逃げ帰る。BGM が段々絞られてって……ショー終了。



終わった?…終わったよね?つ……っかれたぁぁぁああ。

テント内で寝転びたいケド、次のステージに出るダンサーさん達が居るから面だけ取って端っこで座り込む。


「お疲れ様ヒロム君~、うん良くできました~☆」


あー、山崎さんこそお疲れ様です…何時ものやり方と全然違うんで変な所に力入ってちゃって…明日筋肉痛凄そう。


お風呂の時に良く解すんだよーとアドバイス受けながらも撤収作業。衣装片付けるダケだから楽♪全員でクライアントさんに挨拶して車に乗り込…まない?沖田さんに首根っこ掴まれてます何故?


「おーいおーいおーーーい、帰っちゃうの早くなーい?祭りだぜま・つ・り。

オムソバだろー綿菓子林檎飴ビッグ豚バラ串に鶏皮鰻釣りワニ釣りカラーヒヨコに射的に見世物小屋!800円払ってオオイタチみたい大板血(でけぇ板に血糊)!後なんかチーズがにょいーんとしてるアメリカンドックの亜種。そしてビーーール☆氷入ったビィィイーール♪折角財布係が居るんだからさー楽しもうぜぇ。


俺等頑張ったんだぜぇ、いいよなぁ?土方くーん♪」


振り返ると苦虫噛み潰した土方さんと苦笑いの山崎さん。


「1人3個までですからね…」


「うっしゃ言質とったぁぁぁあ♪やってみたかったんだよねー焼き鳥屋台のメニュー制覇~♪♪」と俺放り出して駆け出す沖田さん、「3個までだと言ってるでしょうがぁぁ」と追っかける土方さん。ー、うん良かった理由はどうあれ元気になったみたいだ。


「僕達も行こうかー」と残る3人で後をノンビリ追うのでした、…俺コーンかけ放題のジャガバター食べたい☆お土産に新生姜とか原価知ってると買わないキャラクターお面とか。後、けして1等が出ないくじ引き(笑)




「ところでヒロム君達は何で今日事務所に寄ったの?」



あ、俺落ち込んでたの忘れてた…。











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