第30話 体力強化月間 演じてみよう編
あたしは女優…出来る、出来るわあたしだけの紅天狗っっ☆
初っぱなから「硝子細工の仮面」北島魔矢でこんにちは阿久津ヒロムです。あたしは今、硝子細工の仮面を被るっっ…!
そんな俺を見て、方々から「魔矢…恐ろしい子」だの「おやりなさい魔矢」だの月陰師匠が量産されております、…てか皆分かるのかあの少女漫画。
さてさて今回は演技指導、何を教わるのやら…。あ、今日の講師は先輩だ。よろしくお願いしまーす。
「1番大事な事は、面は脱ぐな・喋るなだな。」
ををぅ、物凄く当たり前の事を言われても…え 居たの?ショーの立ち回り終わった瞬間、控え室に帰りもせずお客の前で面を脱いだヤツが「おかげでクライアントに怒られるわサイン会目茶苦茶だわでその現場先は他社の物になりましたとさ(怒)」…あー了解です続きをドゾ。
「気を付けるのは…アクションショーだと「目を切るな」。目線を切るなって言った方が分かりやすいか。
敵と交差した後どっちに振り向く?当然敵の動きを追うべ?自分の右に抜けて行ったら当然右に振り向くだろ?立ち回りの流れだけを気にして回りやすい方向って左で振り向くヤツ多いのよ。
顔を敵に向けずにーなんてヤっちゃって下さいって言ってる様なモンだよなー。戦ってる雰囲気なんて一瞬で壊れるし。」
「ほれヒロム、食らえぇー」なんて言いながら先輩がかかってきたので右に流して交差ーーあぁ確かに右に敵が抜ける時って攻めてるにしろ守ってるにしろ自分が右手を出すからその勢いで左に振り向きやすい。
「後は演技で必要な時以外はお客に尻を向けない。背中の演技はよっぽど出来る様になってからかな、やるとしてもリハーサルで他の人に説明して協力必須な。
話す対象者だけに顔を向けない、オバチャンの井戸端みたいになるから。お客さんに向かって説明して「~なんだよね」で対象者にって感じ。
ステージを固まらずにバランス良く使え…かな、前教えたじゃん?ステージ2人しか居なくて台詞の時に相手が自分側に歩いて来てたら、相槌うちつつ交差して反対側にーって。
うーーーーん、ぶっちゃけて言えばこんな風に教える事って無いんだよなー。大体リハーサルでその子が出来ない事に対して教えるってパターンだから。
因みに登場=出る、退場=捌ける。ステージからお客さんに向いて自分の左側を上手、右側を下手と言いまーす。「下手に捌けろー」って言われたら右側に退場ーって事な。
うーん、演技指導…演技…俺は勝手に話を作るかなぁ。
えーと例えば登場人物3人、ビーンジャムブレッドン・ウィルスン・人造バターマーガリン子さん。
ビーンジャムブレッド「許さないぞ!ウィルスン」
ウィルスン「…ハッ、何が悪いと言うのだ!俺はただバクテリア子の為に、通りすがりのヒポポタマス雄のクッキーを頂こうとしたダケだぜ!」
はい、ヒロムや。この2人の台詞に対してマーガリン子さんの台詞を考えるとしたらどの箇所で内容は?」
えーーーとぉぉぉマーガリン子さんの性格だとビーンジャムの後に「そーよそーよ!全くウィルスンったら懲りないわねっ!」ですかねぇ。
「そう。それでもいいし、ウィルスンの後に「ヒポポタマス雄君可哀想」とか、「バクテリア子ったらまた欲しがったのね…」とかもイケるな。
ぶっちゃけよーっぽどキャラクターの性格に反しなければ何でも正解、台詞作れば心の動きが分かりやすくなって演技もしやすくなる。
リハーサルで作った台詞を喋りながら演ると、他の人のキャラクターがそれに反応してくれたりしてもっと2人の台詞ダケのシーンに深みが増すっしょ。本番は見えないから無理だぞ。コレの繰り返しだと俺は思いますな☆
後、演技で大事なのは膝!膝を使うの大事!
ヒロムー、膝を動かさずに両手回して「大きい」表現してみてー、次ー膝を使って演ってみー。…な、どっちが良いか一目瞭然だろ?
でーは、それを踏まえて色々なショーの1シーンをピックアップして演ってみましょーかねー。
ヒロムにも言った事あるんだけど、真剣にやる壮大な大人のごっこ遊びだと思ってます。楽しんでやりましょ☆」
にっかりと笑う先輩がちょっとかっこよかった。
「んじゃあ早速ー、男が多いから嬉し恥ずかし「魔女見習いいろは」やろぅぜぇー。気分出す為に衣装のペチコートだけ着けて演ってみるー?新しい世界の扉が開くかもしれねぇーぜー♪」
先輩ハードルイキナリ高いっすぅぅうう!?衣装箱漁らないぃいいい!!女子の皆さんの目がマグロみたいになってるの気付いてぇえええ!!せめてっせめてビーンジャムブレッドンから演りましょうっ!!ねっ!!駄目ぇぇえ!!不用意にその扉の向こうへは駄目ぇぇえええええ!!!!