第25話 夏期体力強化月間
「いいか!お前らはクズだ!豚だ!あえて言おう滓であるとぉぉぉ。奮起せよ!邁進せよ!我と我が隊列に死ぬ気でついてこぉぉおいぃぃ。」
先輩が鬼軍曹なんだか某総帥なんだかボウヤなので分かりかねます阿久津ヒロムです、只今事務所から近くの川王公園までの往復をマラソン中でございますぅぅぅう。
練習始める前に走り込んどけーって…駄目だ死ねる。呼吸で肺と喉が冷えるこの感覚が嫌ーいぃぃぃ(泣)取りあえず明日からもっと早めに来よう、山崎さんが来るまでは練習場で寝かせて下さいぃぃ。
「体あったまったー?今日も楽しくはーじめーるよーん☆ホラホラ起きてーみんなもねー」
あぁぁぁあ、山崎さん来ちゃった。待ってー、呼吸整うまで待ってぇ…
「三戦立ち用意!」
ウダウダな空気をスパッと四散するかの様な掛け声で、脳内が考えるより身体が動きます、内側に力を込めて構え…
「どかーーーーんっ☆」
いきなり土方さんが背中からぶつかってきて俺倒されてます、何すか人が頑張ろうとした矢先に、鉄山靠すかお茶目さんめコンチクショウ。
「ちゃんと三戦立ち出来てる人は倒れないのです、慣れてる子達は、他の新人さん達も確認してあげて下さい。
因みに電車で立ってる時とかに練習出来ますんでやってみて下さい。」
………はぁーい。
「んじゃあ強化月間って事で、基本の型ひとつずつやってくよー正拳突きからねー。慣れてる人は新人さんと2人1組で前に立ってあげてー、出来るだけ同じ位の身長の人ねー。」
山崎さんの指示で何故か笑顔の土方さんが俺の前に立つ…、アンタ俺より20センチは高いでしょうが…ハーイナンデモナイデースオネガイマース☆
へ?コブシの握りから違う?親指握りこんじゃ駄目?「その状態で殴ると親指折れますよー」って何で笑顔なんすか相変わらず安心と実績の黒さですね。
「あ、握り直すなら教えておきますね。皆も確認して下さい、殴る時に相手に当たるであろう箇所が第2関節部分になってませんか?キチンと拳頭で殴る様に意識して下さい、小指から順に握り直すとうまく握れますよ。」
えーと同じ身長の相手が居ると思って、鳩尾に向けて引き手に注意しつつ…打つべし撃つべし討つべしぃぃい。ちなみに引き手の高さは乳首の位置まであげるべしぃぃい。「拳頭意識しすぎてニャンコパンチになってますよー。」
ぬぅおおおおおぅ!俺の鳩尾らへんの高さに土方さんのヘソやらエロ細い腰やらでちっくしょおぅうううう(泣)
「んぢゃあ、攻守交ー代ー。新人さん達に受けやってもらうねー土方君ーやってみてぇー。」
山崎さんの指示で俺の鳩尾に拳をあてる土方さん。え?「ちょっとごめんなさいね」?
ぐりぃぃぃぃいっ
俺の無防備な鳩尾に、土方さんがそのまま拳を押し込んで来た!堪らず拳を抱え込むように体勢を崩す。
「はい、ヒロム君そこでストップゥゥ!受けの姿勢はコレです☆抱え込むように!膝を曲げて爪先は背伸びの様に立たせる!顎が前に出てるの分かる?ココ大事ー☆」
…咄嗟の指示を健気に守る俺を誰か褒めてください愛をください(涙)
「この調子で全部やってくぞぉー!着いてきやがれ野郎共ーあーゆーれでぃーがーーーいず?」
「ぃやーーはー!!」
膝から落ちてる俺に返事をする余裕は無く、土方さんに腰をトントン叩かれるのであった。
土方さんソレ局部強打の対処法…




